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印刷営業の「売り込み方」教えます

山田英司(山田英司事務所 営業戦略コンサルタント)

「価格競争で見積が太刀打ち出来ません」「最近、印刷の発注を減らしているみたいです」・・・皆さんの耳に営業現場からこんな声が聞こえて来てはいないだろうか。これは裏を返せば「値段でしか勝負ができないほど、私には営業力も企画力もありません」「お客様は何か言いたげなのですが、本音を聞き出す方法がわかりません」という意味でもある。あなたはこのような営業現場の声に次の一手をどのように示しているだろうか。

■営業活動に工場や設備機械の話は要らない
 少々語弊があるので言い換えると「営業の初期段階では、工場や設備機械の説明は要らない」にしておく。営業活動には、売り込み用の商品が必要なのだが、今はどの会社もそれがない。まず、営業用カタログの「当社の主な製品」という案内欄を見るとそれが一目瞭然である。

【某印刷会社3社の場合】
X社 ダイレクト印刷・はがきプリントシステム・フィルム封筒・オリジナルポリバック
Y社 データベース設計・Web配信事業・社内文書作成フロー構築
Z社 名刺・封筒・オリジナルカレンダー・チラシ・カタログ等、商業印刷全般
 
会社概要に出す情報ならこれでいいかも知れないが、初回訪問時に出す営業用チラシにはこれでは全く通用しない。例えばこんなのはどうだろう。
・スーパーでの平日祭事集客用チラシ企画・制作
・医療メーカーの新規開拓用DM
・住宅展示場での新規客プレゼンテーション用カタログ
少しでも具体的に書いてあげると、お客様からはわかりやすくなる。ひとつひとつの事例写真と活用場面写真などを付けて表現すれば、上々である。

■あなたは、営業マンに輪転機をかつがせる気か?
 印刷会社の経営者と話をしているとそんな感じがしないでもない。会社案内やパンフレットにも設備の写真がこれ見よがしに掲載されている。しかし上述のように、情報を少しお客様側に立って見やすくすると、初期段階でのアポイントの獲得率が確実に変わる。早速、試してみてはいかがだろうか?

 「ウチは強み商品がないんです」と言う経営者や幹部の方は多い。しかし強み商品の守備範囲は広いのだ。考えようによっては、元気で明るいスタッフが提供するサービスも商品と言える。「えっ、それが商品?」そんな顔をしないで欲しい。何故なら、お客様が欲しいとイメージするモノすべて「商品」と言うことが出来るのだ。そう考えると先ほどから出てくる高価な設備施設は、お客様が欲しいモノからは一番遠いことがご理解いただけるだろう。

 例えば、営業スタッフや、制作スタッフの明るい顔写真とコメントを入れた営業ツールを新規開拓の武器に使っている印刷会社は少ない。

 『写真掲載中の5名の営業スタッフから、どうぞお好みのスタッフをお選び下さい!そのスタッフをあなたの会社の担当とさせて頂きます!』

 私の指導先では、こんなキャッチコピーの営業ツールを初回訪問で印刷物の発注窓口である担当者宛に置いてくる。そして、次の日に電話をするのだ。大概の会社はそんな営業ツールなら一度は目を通してくれる。
 営業マン「昨日、弊社の案内を置いておきましたが見ていただけましたか?」
 お客様 「この写真の中で、あんたはどれ?」
 営業マン「私は、左端です。」
 お客様 「私は、右端の方の人がいいなぁ・・・。」
 営業マン「そうおっしゃらずに・・・。」
 営業経験がある方なら誰もがこんなシーンを想像できるはずだ。緊張しながら初めてのお客様に電話をした時、相手から会話があればとても救われる。商品(笑顔のスタッフ)を掲載する意味が、お分かり頂けただろうか。

■受注活動を、流れと目的を持ったストーリーにする
 営業の流れ(「出会い」から「受注」まで)について細かく設計できていない印刷会社が多い。怖いくらい行き当たりばったりという感じだ。これは、当然「既存の深堀り」や「受注促進」の営業にも影響する。具体的な方法を指導していないため、ほとんどの営業活動ができていないというのが実態。提案営業など論外である。そもそもお客様の話も聞けていない状況がある。また同行営業をするとわかるが、お客様の方も営業マンにあまり期待をしていなかったりする。

【新規開拓マニュアル事例】
・最初の訪問では、コレを持っていって、「●□〜」とだけ言ってきなさい。ここでも目標は名刺(担当者のモノでなくてよい、但しその場合は担当者の名前だけ聞くこと)を頂くことだ。

○窓口担当者がいた場合
担当者にその場で会えたら、ツールを渡して無駄な話はせず、次回アポをとり訪問したい旨のみを伝えること。いきなりの訪問なので、絶対自らは滞在時間を増やしてはならない。

○窓口担当者がいない場合
担当者に、あくる日に必ず電話で着荷確認を取ること。ことづけたツールが担当者の手元に行っているかどうかをチェックするためだ。

 私の指導先では、このようなマニュアルを「出会い」から「受注」まで作成し、持参する営業ツールを確定させ、受注獲得率を2倍以上引き上げている。あなたの会社も是非この設計図づくりをはじめて欲しい。

■印刷は工程が命!しかし、営業では工程をまるで無視!
 この厳しい時代に「行って来い!」の掛け声だけで受注が取れるほど甘くはない。先ほどの新規開拓マニュアルは一つの目安であるが、私はさらに現場で細かい指導をする。とにかく、最初の出会いシーンの営業目標は件数を稼ぐのが使命である。悠長に印刷や紙の話などしていられない。相手のお客様企業の名刺とターゲットである発注担当者の名前さえわかれば、もう用はない。

 こうして、見積もり依頼に漕ぎ着けるまでの仕事を全部ひとつひとつ分解し整理すれば、それぞれの仕事は単純な業務になる。たとえ新規開拓の営業と言えど、印刷の工程と同じで細かい業務の積み重ねに過ぎないのだ。

 これは、言わば階段のようなものである。もちろんお客様の方が階段を上がる。階段自体が営業の設計図。一段一段が各々の業務(名刺獲得・ターゲット名前獲得等)である。お客様が下から上を眺めて、登っていくわけだが、お客様の方が何故か第一歩の段が見つけられないで立ちすくんでしまっているというのが現実。それは、印刷会社の営業マンが用意する、最初の第一歩目の階段が、あまりにも高すぎてお客様からは見えないということである。各段に用意される営業ツールも同じ。訳のわからないものや専門用語だらけのものも多い。営業用名刺・セールスレター・営業用チラシ等、これら全部がその階段を上がりやすくするための手伝いをしてくれるのだ。ここだけの話、現実は今の営業ツールが、営業の邪魔になっている会社も多いのではないだろうか。

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