見積もり積算は意味があるか

第25回テーマ(2001年4月号)

一律の見積もり価格は過去のままでさわっていない。
見積もり積算は,そのつど営業で行っている。あらかじめ厳しい競争が予想できる場合は,本部長に相談する仕組みになっている。
社内見積もり表による積算と,実際に出す見積もりのギャップは,提出見積もり案から外部購入費(印刷材料,外注費など)を引いた加工高が,積算表の何%になるかで判断している。
現状の問題点は,スピーディに提出できない,そのつど本部長決済でお互いに仕事がスムーズに流れない,一定の基準がないため提示金額が不安定。
コスティングとプライシングの間の調整は,今のところ打つ手がない。抜本的見直しが必要である。

(佐賀・福博印刷 原健三)


たしかに,見積もり競合の激化により,見積もり積算をして出しても,そのまま通ることはほとんどないものの,わが社では,前・後工程ともに,社内標準単価を改定しつつ,それをベースに見積もり積算をしています。そういう中で,受注額に合わせて,内製か外注かを決めて,一定の利益確保に努めています。
(中堅印刷会社営業部長)


デジタルに移行して,本当に料金がわからなくなってしまった。積算の仕方も単価の相場もわからない。デジタル普及の前には通り相場があって,各社で高い安いはあってもそれなりの値段を出すことができた。しかし,ここ数年で急激にデジタルに転換したことと安値受注競争,顧客からの値下げ要求などが重なってわけがわからなくなってしまった。
しかし,考えてみると,従来の相場というのは,各社が自社の原価をはじいての結果というより,時間をかけてだんだんならされていったものだったものではなかったか?
いま,原価も知らずにドンブリ勘定でやってきたことを改めて思い知らされた。
(匿名希望)


出力センターが,CTPとフルオプションの全判枚葉4色機を使って色校正刷りの商売をするという話を聞いて最初は耳を疑った。しかし,少し考えてみると,1時間で6台も処理できるならば,安値でロットの長い仕事を取るよりも小ロット印刷のほうが売り上げ,利益が上がると気付いた。小ロット印刷というとすぐにオンデマンド印刷機に結びつけて考えるが,それがあちこちの会社でフル稼働するようになるまでは,生産性の高い枚葉印刷機のほうが実際には商売になるだろう。かの出力センターは,かなり早くからオンデマンド印刷機を導入していたと聞く。
見積もり積算が不要だとはいわないし当社でもまじめにやってきたが,それがきちっとできても,先入観でものを見ている限り機会を逃すというひとつの教訓だった。
(匿名希望)


最近では得意先も困難な状況であることがはっきりしている場合は,営業政策を主眼にして価格を決めることもあるが,某証券会社の「飛ばし」のようなごまかしをしているわけではなく,生産部隊がそれを目標にがんばれば,できなくもない線を想定して価格の提示をすることもある。
むしろ今は標準価格を設定していこうという努力よりは,生産工程・外注の見直しや材料調達の見直しなど,提供側の標準をたて直すことに頭を使わざるを得ない。根本的な問題解決は,見積もり提示の積算基準をいくらにするかではなく,これからの製造能力をどうするかのほうに比重があると思う。
見積もり積算は,営業マンが電卓で叩いてお終いという時代ではなく,競合関係を検討した上でないと決められないので,トップのレベルで決めるものが多くなっている。
従来の標準見積もりと,受注の決定額にギャップがあることは,トップが関わっているのだから,十分承知している。
今日の見積もりにおける試練は,今後のモノ作りについて,今までのような経営ではなく,大きなチャレンジをしなければクリアできない段階にあることを表しているように思える。
(匿名希望)


当社の見積もりは営業が個々にそのつど対応している。すべて手で計算している。見積もりソフトは使っていないし,導入予定もない。見積もりは料金表を基本に作成するが,営業の意思を表すものであるからエンピツをなめながらが良いと思う。単純なものは料金早見表で良いと思う。
最近は料金表どおりの積算が通らない顧客が増えているが,市場価格がどうであれ正しい積算のあり様は変わらないと思うし,これを正しく教育することは大切だと思う。すべてではないが営業が自分の努力不足を価格競争に置き換えて言いわけに使っている場合もある。価格の問題は問題点を分類しないと良くわからない。例えば官公庁の場合,競争入札か指名か談合しかない。指名と談合は誰も文句をいわない。競争入札の場合だけ安い安いという。競争入札の形式をとる限り価格は安くしかならない。これには対策はないと思う。
営業が自社の設備能力とお客様の品質要求度を正しく理解をし,正しい積算基準を理解しておれば安値対抗的なパニックもある程度は防げると思う。
今後インターネットでオープンにして見積もりをとる顧客は増えてくるだろう。すると値段がますます安くなる一方で,今までのような貸し借りでの調整はできなくなる。こうなると従来のように年間の売上計画を金額だけでつかむのではなく見積もりの形態,つまり標準見積もり,競争入札等の割合も含めて計画に盛り込まなければいけないだろう。
見積もりと受注のギャップに対しては社内仕切り価格をとっているので通常は特に調整はしていないが,見積もり価格が100万円以上で申告があり,営業戦略的な価格が必要と判断した場合のみ社内仕切り価格の調整をしている。作業伝票ごとの部門別の社内価格,仕入れ,外注,売上金額,営業差益の月別一覧表で営業差益のマイナスはわかるようになっている。営業差益計画はあまり高くなく15%程度。加工高比率は62%。月のトータルで稼げば良いことにしている。
社内料金表の見直し期間は特に定めていないが,昨年全面的に改定をし,不備であった点も補充をした。良い料金表が完成したと思っていたら,市場価格がますます下がり対応に苦慮している。しかし,市場価格にある程度対応した料金表と,経営の意思としての料金表の差をどうしたら良いかまだ結論が出ていない。
当社の料金表の第1ページにはJAGAT塚田最高顧問の書籍の中から「ingの考え方と手法,コスティングとプライシング」を抜粋して書いてある。この考え方を全社に徹底したいと考え,営業にはことあるたびにプライシングの考えを話し,製造部にはコストの話をしているが,ある程度徹底するにもまだまだ時間はかかりそうだ。時間がかかっても諦めずにやるしかないと考えている。そして営業と製造が議論をしながらレベルを上げていくしかないと考えている。
(地方都市・商業印刷)


印刷発注業務を担当して半年になるが,業者さんから出てくる見積書の書き方が各社まちまちでかつ,価格差が大きい。印刷物というのは業者によってこれほどまでに異なるものなのか,いつも疑問(疑念というほうが正確かもしれないが…)を感じる。チェックのしようがないので,従来の業者で一番安い見積もり額を出した業者に決定せざるを得ない。印刷会社はどのような制作方法に対して,どのような積算基準を設けてやっているのだろうか?
(匿名希望 発注担当者)


社内査定基準を用いて業者の見積書をチェックしているが,時々計算間違いを見つける。印刷会社はどうしてコンピュータを使って見積書を作らないのか不思議だ。
(匿名希望 発注担当者)


見積もり積算は利益に直結するから意味がないということはあり得ない。ただ,あまりにもマーケットの価格が不安定なことに起因すると思うが,発注者の予算など都合に合わせるしか手立てがないのも事実である。こんなことをいつまでもやっていては,会社経営が成り立たなくなるという不安を感じているものの,これといった手立てを思いつかないでいる。
(匿名希望 経営者)


見積もり価格が不安定なのは,原価計算がよくなされていないからだと思う。ただ印刷原価は常に変動するので設定しづらいだろう。工場のほうでもっと的確な標準原価を示してくれないと,どこまでの値引きに応じてよいのか,いつも迷っている。顧客には自信をもった見積もり額で接しないと信用がなくなるのではないかと不安になることがある。
(匿名希望 営業経験2年)


印刷会社は製造業だから,見積もり積算をする意味がないわけはない。同業他社が利益を度外視した見積書を提示するようなケースに遭遇することがあった時は,営業戦略上対抗せざるを得ないと思うが,はたして自分の会社がどの程度,利益を度外視しているのかもわからない面も多々ある。決してよいとは思わないが,とどのつまり,経験と勘で対応するしかない。
(匿名希望 営業部長)


わが社では,見積もりは原則的に新人を除いて営業個人個人の判断に任せていたが,最近,営業マンごとの評価(利益貢献度)を付けようと思い,料金表の見直しをしようとしたが,原価計算の資料作りと分析があまりにも難解で膨大な作業となりそうなので二の足を踏んでいる。
かつての印刷会社は,儲かる業種だと思っていたが,これからは業態の変化に伴う需要不足が予測され,ますます消耗戦が続くだろう。業界団体では料金の指導はできないのだから,この機に思い切って,生き残りのため社内のコスト削減も含めた料金の大改定を行わざるを得ないだろう。
(匿名希望 経営者)


(C)Japan Association of Graphic Arts Technology

HOMEJAGATについて