小見出しの配置方法

掲載日:2014年10月27日

日本語組版とつきあう その38

小林 敏(こばやし とし)

小見出しの利用

見出しのレベルの数が多くなり、5段階や6段階にもなる場合、大きなレベルの見出しでは中扉や半扉を利用するとともに、小さなレベルの見出しで、その配置を工夫する必要がある。
最も一般的な小見出しの配置方法としては、図1の例のように、見出しだけを独立した行として配置し(別行見出しという)、見出しの書体をゴシック体等にし、その前を1行アキとする方法である。縦組の書籍でも横組の書籍でも、この配置方法はよく見掛ける。

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 図1

別行の小見出しの書体と文字サイズ

別行の小見出しで、書体にゴシック体を使用した場合、本文と同一サイズとする方法(図1の右の例)と、本文より1段階小さくする方法(図1の左の例)がある。新書判や四六判などでは、1段階小さくした例をよく見掛ける。

ゴシック体の場合、同一サイズにするとやや強調されすぎて、バランスがよくない、ということであろう。

なお、活字組版の時代には、仮名のゴシック体でよいものが少ないということから、漢字はゴシック体とするが、仮名はアンチック体とした例がそれなりにあった。現在でも、この配置方法としている例もある。しかし、今日では、ゴシック体も洗練されてきているのだから、漢字と仮名は同一の書体とした方がよいであろう。

また、一般に本文の段落の先頭行を1字下ガリとしているが、小見出しでも、これとそろえ、本文の1字下ガリとしている。1字下ガリとしないで、天付きにしている例もある。

別行の小見出しの前の1行アキ

小見出しは、改丁・改ページとしないで、前の本文に続けて配置するが、たまたま小見出しの直前でページが改められた場合、1行アキをどうするかが問題となる。次のような3つの考え方がある。

(1)なりゆきで処理する。
前ページの本文の最後が版面末尾まである場合、次の先頭ページの小見出しの前は1行アキとする。前ページの本文の最後の版面末尾が1行アキ(または見出しを版面末尾に配置しないように2行アキ)となる場合、次の先頭ページの小見出しの前は1行アキとしないで、版面先頭に配置する。

(2)版面の先頭にある小見出しの前は、かならず1行アキとする。
この場合、前ページの本文最後は、版面末尾まである、1行アキ、または2行アキのいずれかである。

(3)版面の先頭にある小見出しの前は、1行アキとしないで、必ず版面先頭に配置する。
この場合も、前ページの本文最後は、版面末尾まである、1行アキ、または2行アキのいずれかである。

一般には(1)の方法であるが、なかには(2)または(3)の方法を採用している例もある。(2)または(3)の方法は、処理法としてはやや面倒である。
(3)の方法は、版面の先頭では、版面の前(縦組)、または上(横組)に余白があるのであるから、1行アキにする必要はないという考え方からである。どちらかといえば、横組で、この考え方をとる例がある。(2)は、見出しの前の1行アキは必ず見出しに付属しているという考え方からである。

同行見出しの利用

小さなレベルの見出しが多くなる場合、同行見出しを利用するとよい。同行見出しとは、見出しを独立した行とはしないで、本文の行の先頭に配置する方法である。この場合、見出しに続く本文を2行または3行にする方法がある。窓見出しとよばれており、新書などで利用されている。

ここでは、窓見出しでない、見出しに続く本文は1行である同行見出しの例を図2に掲げる(図2のような見出しは行頭見出しとよばれることもある)。

例1は本文と同一サイズのゴシック体、例2は本文よりは1段階小さくしたゴシック体、例3は番号をつけ、その番号だけ強調した例、例4は番号はつけるが、本文と同じ書体を使用した例である。

例3のように、番号だけを強調する例は、別行のゴシック体の小見出しのさらに下位のレベルの小見出しなどに利用できる。この番号だけ強調するという方法は、少しだけアクセントをつけたい場合に便利な方法で、別行の小見出しでも利用できる。。

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図2