印刷業定点調査 各地の声(2016年3月度)

掲載日:2016年6月23日

3月の売上高は2カ月連続の増加となる+1.3%。先月号でも伝えたように、仕事は2015年の年末~2016年の年初にかけ減少、3月の年度末にかけてやや持ち直すような経過をたどったようだ。

地域別では、首都圏が実に7カ月ぶりのプラス。2月に6カ月ぶりのマイナスとなった名古屋圏は+4.2%と早くも復調。大阪圏は2015年9-10月期以来の2カ月連続プラス。3大都市圏が揃ってプラスになったのは2014年3月以来と、都市圏の仕事は全般に堅調だった。

業種・業態別では、商業印刷(+0.7%)が2カ月連続のプラス。出版印刷(△3.3%)は再びマイナスに転じた。地方に多い業態の総合印刷(+1.4%)は3カ月ぶりのプラス。2月まで2カ月連続でマイナスだったが、そのマイナス幅は1%未満と小さく実質的には業種業態別で最も堅調である。紙器・事務・その他は3カ月ぶりのプラス。

仕入額は、用紙(△0.8%)が6カ月連続の減少。数量面の減少もあるだろうが用紙代の下落が影響しているようだ。インキ(+0.8%)は8カ月連続の増加。CTP/PS版(+3.5%)は3カ月ぶりの増加。

受注件数は12月から4カ月連続のマイナス。減少幅は2%に満たない小幅ながら微減状態が続いている。

3月にかけて仕事は一時的に増えたものの、4月から5月にかけて仕事が一段落するのでは?という懸念が一部で聞かれた。

【印刷会社経営者の声】

茨城:商業 

内外の変化に対応して組織を見直している。顧客のニーズの変化のスピードが速い。

東京:商業

生産工程、機械メンテナンス方法を再チェックし、工場の見える化に努めたい。特に成果が分かるような指標の選定や表示方法などに知恵を絞っていきたい。

長野:総合

受注先からの要望で企画・デザイン制作の業務が増えてきています。デジタル領域の提案まで求められるので、デジタルマーケティング的提案(ARや動画、webサイト制作等)ができる人材育成を進めます。

岐阜:その他

スピードとクオリティーを両立させるのは難しい。そのために必要なのはスキルでしょうか。克服すべき項目はまだまだたくさんあります。

岐阜:総合

3月から新しい期をスタートさせています。経営計画どおり推移すればいいのですが、毎年なかなかそうはいきません。長期的ビジョンを持ちながらも、短期的に今年やらなければいけないことを確実に実行していくようにしたい。

兵庫:商業

3月に就職フェアに出展したところ、優良な他業界各社を差し置いて当社ブースに学生が殺到した。印刷業もまだまだ捨てたものではないと嬉しくなった。若者に魅力のある業界づくり・会社づくりを推進していきたい。

和歌山:商業

「JAGAT info」4月号掲載のJAGAT中部大会の報告「各社各様の中で、絶対に必要なのはスピード感」の記事から大きな学びを得ました。経営者にしかできない全体最適の視点から今年の残り3/4で実践していきたいと思います。