印刷業定点調査 2014年「年末アンケート総評」

掲載日:2015年3月3日

JAGATでは毎年、会員企業のうち印刷を主力とする印刷会社に「今年はどのような年だったか」「来年の業績予想」「来年の重点施策」「来年の抱負」などについてアンケートを実施している。2014年末アンケート(38社回答)の一部を紹介する。

①2014年はどのような年だったか
消費増税前後で状況が一変したとの指摘が目立つ。「厳しい」と表現した会社が1/4の9社を数える。売り上げは横ばいもしくは伸長したものの、用紙代・電気代などのコストアップが収支を圧迫した会社が多い。

昨年同期の調査では「アベノミクスは印刷会社に波及していない」との指摘が多かったが、今年はほとんどなく、功罪含めて何らか波及はあったようだ。

特に中国地方では「ベネッセショック」の影響が大きかった。2014年はベネッセの動向が全国的に話題に上ることが多く、さまざまな観測や憶測も流れた。

「BPOが功を奏した」「ビジネスモデルがヒット」「大型案件を受注」「売上高が3年連続増加」など、例年より事業の順調な会社が多い。

②2015年の重点施策
「提案」をキーワードに揚げた会社が5社。「体制」と「組織」は同義に近いだろうが、各4社。組織と体制を再構築、人材教育を重視して、営業におけるコスト吸収力を高めようとのスタンスが多い。昨年までに比べて「ソリューション」重視が減り、「提案」重視が再び増えてきた。

コスト対策では、円安進行による燃料費・材料費の上昇を背景に「見える化」「数値管理」「MIS導入」「変動費抑制」「ミスロス対策」などが挙げられている。

売上高対策では、「ワンストップサービス」「トータル提案」などがある。また、「カテゴライズされた市場の中で徹底的にNo.1」「特化型通販」「地域に特化、業種を絞る」と、ターゲット市場をより明確化、差別化志向の多いことも2015年の特徴といる。

③2015年の豊富
実に7社がキーワードに「チャレンジ(挑戦)」を挙げ、例年になく前向きな姿勢が見られる。あるいは変革まったなしの状況の裏返しかもしれない。他に人材についての言及も例年より多い。リーマンショック以降の縮小均衡のトレンドが大きく転換した印象を強く受ける。

“デフレ脱却”、“ブラック企業”、“物価上昇と増税で実質所得減少”といった言葉が世間を賑わせた1年であった影響があるかもしれない。「2015年も(人材に)継続投資」「従業員の実質所得増」「頑張った人に報いる」「社員をもっと幸福にする」。「事業承継後の初めての新年!あらゆる問題に手を付け改革」「自社の成長と市場の縮小とのチキンレース」など、覚悟の感じられる姿勢も目立つ。

「印刷業の未来は決して暗くはない」という心強い見方も見られる。きちんと好業績の裏付けを持って強気の見方を示す印刷経営者が少なからずいることを知っておきたい。

④2015年の業績予想
2015年の売り上げ伸び率予想は+0.5%~+4.3%のレンジと、昨年同時期の予想(△2.2%~+1.7%)を大幅に上回っている。予想中間値は+2.6%と、昨年同時期の調査(+0.5%)を2ポイント程度上回る。回答者の希望的観測を差し引いても、増税に身構えていた昨年の今頃に比べれば新年への期待は高い。特に5%以上の高成長を見込む会社が増えている。

営業利益予想は「増益」48%、「2014年並み」37%、「減益」19%。「減益」予想が昨年同期より半減した。要因には、①不況下で進めた構造改革の奏功、②景況感(心理面)の改善、③統一地方選などが考えられる。

このまま物価が上昇するなら、デフレ局面より成長投資とコスト管理の重要性が増す。状況の変化と好転を味方にするよう経営姿勢も変えていきたい。

『JAGATinfo1月号』「印刷経営ウォッチング」より一部抜粋