索引の作成と組版処理

掲載日:2015年9月8日

日本語組版とつきあう その45

小林 敏(こばやし とし)

索引の作成

実用書や学術書では読者の利用を考慮し、できるだけ索引をつけるのが望ましい。
どんな項目を索引として抽出するかは本の内容による。一般的にいえば、読者が知りたい、あるいは調べたいと予想される項目が抽出されている必要がある。読者が索引で調べようとした際に、“該当項目が索引にない”といったことがないのが理想である。

そのためには、本の内容を最も詳しく理解している著者が索引項目の抽出を行うとよい。実際には、担当編集者が著者の指示のもとに行う場合もある。

索引項目の表示

事項索引で、1つの索引項目にページ数が3つも4つもついている索引がある。せっかちな読者は1回の操作で該当箇所を見てみたいと思うので、できるだけ限定した索引項目にし、各項目につく該当ページ数を少なくしたほうがよい。
また“原稿整理”といった場合、読者は“原稿”で索引を引くだけでなく、“整理”で調べるかもしれない。両方が予想される場合は2つとも掲げるという方法もある。
また、一般には親項目と子項目のように階層を設けたほうが利用しやすい。

索引の版面サイズと行間

索引は、一般に項目とページ数をセットにして掲げるので、1行の字数はそれほど必要としない。そこで、本文が縦組でも、索引は横組とし、段組とする場合が多い。
索引版面は、本文版面とほぼ同じサイズにする。まったく同じとはならないので、本文版面との差は、天地・左右に平均に割り振ればよいが、天地の差は下部にとってもよい。
索引の文字サイズは、8ポイントか7ポイントくらいである。行間は、一般に索引に使用する文字サイズの二分とする例が多いが、索引の分量が多い場合は、二分よりもやや狭めてもよい。

数字を区切るコンマ

1つの項目のページ数が2つ以上になる場合、コンマで区切る。このコンマの配置例を図1に掲げる。
 (1)四分ものコンマを使用、後ろはベタ組
 (2)四分ものコンマを使用、後ろは四分アキ
 (3)全角ものコンマを使用、(字幅は二分と考え)後ろはベタ組
 (4)全角ものコンマを使用、(字幅は二分と考え)後ろは二分アキ
和文との混ぜ組に使用するアラビア数字の字幅は、一般に二分である。このような字幅の文字を並列する場合は、一般の和文の配置法と同じ(4)では空き過ぎである。逆に(1)のように四分ものコンマを使用し、後ろはベタ組にすると詰まり過ぎに見える。
そこで、(2)または(3)のように、コンマの占めるスペースとしては、二分にするとよい。
図1で使用したフォントの例では(2)と(3)の差異はほとんどない。どちらを使用するかは、フォントのコンマのデザインを考慮して決めればよい。

本文中の数字を区切るコンマ

アラビア数字を並列する例は、横組の本文中にもでてくる。この場合も、他の和文と同様に図1の(4)のような配置にすると空き過ぎである。
このような例でも、図1の(2)または(3)のようにするとよい。横組でこのような処理をした場合、1字のラテン文字を併記するときも同様な処理にするのが望ましい。

項目とアラビア数字の間

図1では、項目とページ数の間は全角アキである。一般に、この間は2倍アキとしている例が多い。
項目とページ数の区切りが分かればよいのであるから、このアキは全角で十分であり、2倍にする必要はないという考えからである。
また、ページ数を行末に配置し、項目とページ数の間にリーダーを配置する、または空白にする処理法もある。しかし、読者は、項目を見ると同時にページ数を知りたいわけであるから、わざわざ、離す必要はないであろう。

子項目と折り返し

親項目と子項目方式にした場合、子項目における親項目との共通部分は、一般に2倍ダーシで示す。子項目は、親項目より1字下ガリとすると区別がつく。
長い項目あるいはページ数が多い場合で、折り返す必要がある場合も行頭から1字下ガリ(子項目の場合は2字下ガリ)とする例が多い。

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(図1)

日本語組版とつきあう (小林敏 特別連載)