印刷業定点調査 各地の声(2014年6月度)

掲載日:2014年10月29日

2014年6月の売上高は△0.2%と消費増税以来3カ月連続のマイナスながら、ほぼ前年同水準を回復しつつある。

マイナス幅は2カ月連続で縮小、売上高は少しずつ回復の傾向を見せている。ただし、消費増税の影響があるから、実質的な売上高は消費増税分3%弱程度が上乗せされていることを割引いて見る必要があるだろう。

地域別には、甲信越静と名古屋圏が2カ月連続のプラスと輸出産業が盛んな中日本が全体の回復を主導している。首都圏は3カ月連続のマイナスだが、マイナス幅は2カ月連続で縮小した。

業種・業態別には、商業印刷は回復傾向を示している。地方に多い業態の総合印刷も回復傾向だが、商業印刷の回復ペースには劣っている。紙器・事務・その他は2カ月連続のプラスと回復が最も早い。従業員規模別には、ほぼすべての規模で±0前後以上の伸びとなっているが、唯一30~49人規模だけが売り上げを大きく落としている。

受注件数は3カ月ぶりのプラスになった。売上高の回復に先行して受注件数が回復している可能性がある。増税以来、売上高は回復傾向にある一方、用紙の仕入額は2カ月連続で減少した。また、労働時間は依然として低水準で推移している。増税は見かけ上の売上高を押し上げているものの、工場の稼働率は売上高の回復ほどは戻っていない様子が浮かび上がる。

【印刷会社経営者の声】

・茨城:商業
5、6月と比べて仕事量は増えていますが、まだまだです。クロスメディア対応の付加価値を付けたビジネスモデルでの受注増を目指しています。

・東京:商業
まだまだではあるが、やっと上向いてきた感があった。

・長野:総合
アイデアをプラスできる、という能力が必要です。まずコミュニケーション力を持って変化に対応するだけでなく、変化を先取りし、自ら変化を作り出していくところまで実践することが求められている。成果を出すこと!

・岐阜:その他
一部組織を変更し、新しい期を迎えた。当面は変更により生じている「違和感」を払拭することに注力し、その後、軌道に乗せたい。

・岐阜:総合
今期から経営理念に基づいた経営姿勢や行動指針、人事方針など、いわゆるクレドを作成し、仕事をする上での目的、目標、指針の共有を全社で図っています。社員や私自身が判断に迷った時の拠り所となれるよう、しっかり自分たちのものにしていきたい。

・和歌山:商業
7、8月の気温とは裏腹に、印刷業においては売り上げが伸びない「冬の時代」が訪れます。お金、時間とあらゆる制約をして対応していきたいと思います。