第3回アジア印刷技術情報フォーラム
情報交流会/1998年
フィリピンレポート(要約)
フルデジタル化への試練と課題
Philippine Printing Technical Foundation
元会長/Bernabe A. KitaneU氏
フィリピンのフルデジタリゼーション
●技術トレンド吸収への対応に後れ
フィリピンの国立統計局(NSO)のデータによれば,印刷・製本機械と部品の輸入は,1997年上期の30.51百万ドルに比べ98年の同期は22.08百万ドルと27.6%の減少を示している.年度をベースに,印刷関連機器全体で輸入の伸びを見ると,1995年の63.12百万ドルから96年には62.55百万ドルと0.9%減少して,97年には62.73百万ドルとわずか0.29%しか成長していない. NSOによって提供される輸入データはこの数年来フィリピンが最近の技術トレンド吸収にいかに対応が遅かったかを示唆してくれる.
しかしオンデマンド印刷技術は業界で地位を確立し,デジタル印刷はゆっくりではあるが普及を期待されている. オンデマンド印刷の生産プロセスは時間短縮と高品質出力をもたらし,短納期が至上命題のフィリピンの製造業とパッケージ産業に貢献した.
●新技術は上位企業に限られ,ローエンドユーズ
コンピュータtoフィルム技術はとりわけパッケージサービス,新聞,商業印刷の分野においてまだ支配的である. 一方で多くの印刷業者がコンピュータtoプレートシステムの分野へ参入しているが,クイックプリンティングのようにローエンドユーズに限られている。以上の設備導入は,上位5社の範囲に限られ,国内サプライヤによれば市場の反応は活発なものではないという.
●価格競争,消費者を含めた低い品質への自覚
フィリピンでは際限ない価格競争,品質標準の自覚が低い,技術への投資の欠乏,不適切な技術トレーニングなどの問題がある. また印刷産業分野ほど激しい価格競争に見舞われている分野はない.
しかしながら,同時に非難されなければならないのは,消費者の質である. つまり二通りのタイプの消費者がいる. 一つは価格を気にせず,品質さえよければいいとするタイプ,もう一方は価格さえ安ければ品質は気にしないタイプ. 多くの産業人は80%が後者のタイプに属していると考えている.
●品質の統一,標準が不在
産業による統一標準がないため,小規模印刷業者が出現して,招待状のような低い品質の印刷物の生産に従事して,市場を混乱させている. 通常の印刷業者の間でも,アウトプット品質がどのようなものであるべきかの規範がない。そのことが印刷理論の確立,実際生産,さらに社会的に見て害をなしている.
●設備導入は価格により,サプライヤも無責任
ヨーロッパでは機械は導入後5〜7年で入れ替えられるが,フィリピンの場合,コストをカットする理由から,印刷機械は5〜7回売られ,流通する.
印刷業者にとって,コストの高いハイエンドのデジタル機器を入手することは利益を生むどころか,破滅を意味している. 外国のサプライヤはフィリピンでの設備導入の決定要素は価格にあるとみている. 設備の可能性についてはほとんど考慮されない. これはサプライヤ側にも責任がある. 顧客が安ければ買うことから,他国では役に立たない設備を売りつけることがあるからだ. それどころか,特別高いソフトウエアを,システムに欠かせないと偽って売りつけることさえある.
●教育機関には資格をもつ教師,設備が不足
印刷について学習する機関に資格をもった先生がいない,あるいは設備がないために適切な教育を施せない. 学校ではPCを導入して,印刷業界ではMacを使っているので,ミスマッチがあるとインストラクターは不平をこぼしている.
社会的に恵まれない人々はほとんど印刷の教育を受けられない. 印刷の職業的なコースを提供しているDualtechトレーニングセンターのようなわずかな学校が貧困層を受け入れている. Dualtechによって用意されているシステムは初級者向けの実践訓練のため,業界の協力やスポンサーが必要だが,パトロンがなかなかつかず,政府の援助もなく,印刷産業は優先産業のワクに組み込まれていない.
●IdNがデジタルアートを推進
しかしながら,コンピュータグラフィック産業は前進している. インターナショナルデザイナーズネットワーク(IdN)・フィリピンはデジタルアートを活発に推進している. IdNは現在ワークショップをもつクリエイティブイメージングのフィリピンセンター確立のために活動を進めている.
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