■ASIA FORUM
EnglishJapanese

第4回北京FAGAT
情報交流会公講演レポート

上海印刷産業が都市型産業になるための道
(要  約)

Mr.Che Maofeng /上海印刷技術研究所・副所長

2000年1月20日


上海は急速に発展している. 中国の国際的都市ならびに経済・貿易センターになるべく計画を立てている.上海にはいろいろなメリットがある. 強力な産業基盤, 物理的, 地理的立地条件, 便利な交通機関, 優れた文化的教育施設, 高い科学技術など. 一方, 問題も多い. 例えば限られた土地と増える人口のため, 住宅, 交通に大きな問題があり産業的経済的開発の障害になっている. 上海市では第8期5ヵ年計画の終わりまでには製造業700社, 300万平方メートルが移転する予定である. 上海経済委員会の6つの都市改革計画の中の1つが印刷業の都市型産業への転換計画である.

(1)上海都市産業の主な必要条件

経済のグローバル化によって市場は大きく変化している.そのためには,多品種,少ロット,スピード配送,などによって新しいものが次々と出てくる.

大都市産業の条件とは,

  1. 市民の求める生活水準やサービスの要求を満たす.
  2. 環境にやさしく,エネルギー消費量が低い.
  3. 知識集約型,また労働集約の適切な協力
  4. 小さい面積(土地の有効利用)
これらの要求は市民の労働条件や生活水準の改善するために基づいている.

(2)上海印刷業の現状

上海には現在4115社の印刷会社があり(この中には1999年の営業継続の許可が降りなかった1219社は含まれていない),従業員総数は11万人,年間総売上は97億4400万元(1267億円),これは中国全体の印刷の売上の10分の1に相当する.その中の主力製品はオフセット印刷で,カラー印刷が2425万reams(連rm.,単位500枚),その内書籍が556万rm..新聞が534万rm.,残りはパッケージ関係.製本関係は321万rm.
生産能力は,オフセット関係で(月22日2交代で計算して)3600万rm.,生産実稼動率は67.4%に過ぎない.出版の印刷機は345台(新聞は10セット),パッケージは1102台,4万4138人,1998年46億7400万元(608億円),それ以外の印刷機は2668台で,売上20億元(260億円),3万4594人の人が働いている(1998年).
1979年の開放政策の結果として生産の規模,設備,技術,市場とも拡大. 私達ちは16のキーワードを使って改革を進めた.写真植字,電子製版,書籍のオフセット印刷機,製本加工.

(3)上海の印刷業を都市型にするために必要なこと

上海市が都市型産業の開発プロジェクトを作ったのは最近だが,印刷業は比較的早くから近代化に取り組み,管理の質的な向上,効率をするため管理を強化されている.印刷業は急速に発展したが,問題もある.

  1. 工場建設を何度も繰り返した.
  2. そのため生産性が伸び,余剰生産が増えた.
  3. 乱脈経営が起こり,利益が圧迫された.

それに対応するため再編が行われた.管理を強化した結果,
  1. 1999年の見直し時に,新しい印刷出版の開業を認めない.また1219社は営業の継続を取り消された.
  2. 大型印刷会社のグループの再編と周辺関連業界のスケールメリット化を進めた.例えば23社の書籍印刷会社の関連の工場が統合され,上海印刷グループ有限会社として1995年に設立.今回のフォーラムにも同社から参加している.また大規模なパッケージ印刷会社の再編も行われた.上海紫江集団(Shonghai Zi-Jiang Group)は新しい会社で紫江彩色,紫華白猫彩印,紫丹印務,紫泉包装の4つの工場が統合してできた会社である.この会社は売上6億元(約78億円).
  3. 再編と並行して混雑した都市圏から郊外への移転が進んだ.具体的には浦東地区(pu-dong)です(注1).2つの大きなパッケージ印刷会社(7番目と8番目の会社)が移転した.営業は都心で行い,工場は郊外で.これは新聞印刷会社でも同じです.上海の大きな新聞社であるLiberation Daily, Wen-Hui&XinMing Evening Post, Labor's Dailyなどが都市圏から離れて,印刷している.以前は編集と印刷は一緒であったが今は分離している.その新聞関係の投資額は7億元(91億円).

現在,上海での新聞発行は1400万部.コンピュータ写植だけでなく,電子編集システム,オフセット印刷も使用している. 遠隔地転送システムも導入,編集部から印刷センターにネットワークで直接転送している(512k/per minute).
これらのことは都市型産業の要求を実現したもので,都心の騒音公害,振動を低減することで,市民の生活環境や労働環境を改善する方策が取られている. そのために装置の近代化,新技術の導入,企業の活性化,そして人々の良いサービスの提供する方向に進み,その結果土地の有効利用ができた. 郊外への移転はその地域の雇用の確保にもつながっている. 上海の印刷工場4115社のうち2465社が郊外へ移転している.これは約60%にあたる. 浦東地区での10年間の開発の中で,印刷業は550工場増加した.

(4)都市型産業に印刷業が脱皮するためには,従来印刷を打破する必要がある

印刷業が都市型産業に変わるには時間がかかる.ある日突然に印刷業が都市型に変わることはない.しかし印刷業はすでに都市型産業の要素を持ち合わせているが,本格的に脱皮するにはまだ時間がかかる. 都市型産業の育成は上海市の大きな方策だが,これは3センター構想に基づいている.上海の国際的な立場を強化することが目的.
国際都市上海のあるべき姿を考えてみたい. 印刷市場において90年代以降大きな変化が生じている.都市型需要を満たすため個性的,可変データの印刷,オンデマンド印刷などが出現し,時間とコストを解決した.印刷業はますます情報産業とミックスしている. このような背景をもとに,印刷業を新たに定義しなおさなければならない.デジタル化,ネットワーク化はホットなテーマであり21世紀の核となるものである.これらは都市型産業の要件となるもので速さ,多様化,個性化,インターネット,時間と空間の新しいコンセプトなどである. しかし現在の上海の印刷業の全体は依然として従来の印刷技術の中で行われている.そして紙媒体がメインです.しかしながらプリプレスおいてコンピュータ植字はかなり普及しており,電子画像処理もある程度利用されているが,デジタル校正などはまたまだで,ましてやCTPはまだである.デジタル印刷は2-3設置されているが稼働率は低い.

オフセット印刷のメインは枚葉印刷で,1998年末で1914台.その中で半歳(folioサイズ)の4色が241台,2色が284台,1色が1384台,フルサイズ(全判)サイズは4色は5台だけである.Webオフセット機は新聞印刷や2-3のカラー書籍印刷を除いて,商業印刷では始まったところである. それらの条件である,少ロット,多品種,短納期という市場の要求を満たすことはまだ無理である.ましてやオンデマンド印刷などは難しい. 海外での新技術の話題はプリプレス,プレス,ポストプレスの統合である(CIP3).これらの技術に背を向けてはならないが,現状のワークフローとの間にはギャップがあり克服は可能だが,大切なのはコンセプトやマインドのギャップを補うことである.経済の発展や需要の現実を考えるならば大きな行動は取りべきではないだろう. 上海の印刷業の一般的な生産能力は,供給能力を上回っているが,しかし,高品質な印刷の生産能力は高くないため,他の都市に流れている.その点において顧客の満足度を満たしていない.平均的なカラー印刷は外国では受注してから48時間以内で納品されているが中国では遅い.

生産の過剰,価格の下落は印刷工場の問題であるが,外国での印刷・製版会社は市場の開拓を自らやらなければならない.新しい機械や技術,ソリューションが生まれて直ぐには,人々の理解もないし要求の方向もわからない.デジタル校正,デジタル印刷,オンデマンド印刷がまさにそうである.
上海の4000社の印刷会社の中で,植字,印刷はコピーショップが1400社を超えている.その経営者は常に厳しい状況である.しかし再編が適切に行われたならば,必ず技術力のアップとなり都市型需要のクイック市場に対応できるであろう. アメリカでは1億USドルのクイックチェーンショップが当たり前のようにある.この変化は上海の都市型産業を考えるとき大きなステップとなる. もう一つのポイントは,コンピュータデザインの導入は進んでいるが,パッケージや出版印刷での高いレベルでの利用は少ない.上海でのパッケージデザインの会社は10社しかない.そこに100人のデザイナーがいる.フリーランスのデザイナーが3-400人.これらのパッケージ設計がビジネスの上で大きな役割を果たしているとすれば専門家を育てる必要があるし,資格のあるコンピュータデザインセンターを作り,各レベルを上げ都市に活力が求めれている.

経済のグローバル化によってデジタル化,ネットワーク化に対応することで,印刷市場の国境の制約を打破できる.上海の印刷需要だけでなく,海外の需要にも応じていくには,従来の印刷技術を突破しなければならない.そのためにも改革・再編は維持されなければならない.そのために28ワード(語)の新技術の研究が必要である.プリプレスのデジタル化,ネットワーク化,高い効率のカラー印刷,ポストプレスの多様化と自動化,高い品質と継続できる設備と材料である.
高い技術と新しい技術を印刷に合体させるためのプランが以下の項目である.

  1. デジタル校正を徐々普及させ,その上でCTPへ移行させる.この目的はデジタルおよびネットワーク化されたフローを構築することです.
  2. 具体的計画を立てることで,クイックプリンティングの再編成を図ること,またそれらの会社の設備,技術をアップグレードすることである.そしてオンデマンド印刷,可変印刷を推進する.
  3. コンピュータデザインやクリエイションの専門家の養成である.そのためのコンピュータデザインセンターを作り,パッケージ及びブックケースのデザインの美しさや技術の向上をはかる.
  4. 多色オフセット印刷の割合を増やし,自動化を促進する.それによって品質と効率を向上し,納期を早める.これによって多品種少量という短納期市場の要求に対応する.
  5. 以上のような前段階を踏まえ,CIP3にような革新技術へ移行すること. 恐らく5年はかかるであろう.デジタル化,ネット技術への対応がどれだけできるかで,CIP3への移行状況は大分変わってくるだろう.

都市型産業への移行は大変難しいことであるが,印刷業にとっては大きなチャンスである.上海の国際化は印刷業へ直接影響を与えるであろう.移行過程では現実をよく踏まえる必要があるが,目を広く世界全体に向ける必要がある.もし.見方やアクションを従来型の印刷だけに固執すれば将来的にはがっかりする結果となるであろう.スタートは小規模でよいと思う.大所高所から見て進めることが大切である.

注1:上海・浦東地区
中国の金融市場の中心地として整備がすすめられている.外国の銀行,ホテル,商社,など内外の企業オフィスが多く作られている.88階の世界最高のホテル(グランドハイアット上海)や浦東国際空港が今秋オープンし,新しい中国の顔となりつつある.


(C)Japan Association of Graphic Arts Technology


HOMEJAGATについて