第4回アジア印刷技術情報フォーラム
情報交流会/1999年
フィリピンレポート(要約)
フィリピン印刷産業生き残りの鍵 増産とコスト削減
2000年4月10日
Mr,Melanio S,Torio
Chairman of Printing Industry Board Foundation,Inc,
Director of National Printing Office
フィリピン印刷業は1997〜1999年のアジア経済危機をまともに受けた. その間印刷業は増えておらず,フィリピンのGDPに対する貢献度は低い. 1984年〜1997年の13年間の貢献率は0から5%でしかない.
にもかかわらずこの間の印刷業は生産性を上げたり, 効率を良くして生き残りを模索しており, とくに品質の良いものを上げるため努力をした. ただしこれには2つのネックがある. 技術が遅れていることと, 技能者レベルが低いことである. フィリピンでの印刷機は高価で特別経済区域を除いた, 他の地域の印刷会社の税制上の優遇措置はない. 装置が高い上に最新鋭のものではない.
国内の印刷会社の状況は, 品質より価格重視であるため, 印刷業にとってわざわざ投資をしてまで高価な設備を入れることは冒険である.
技能レべルが低いのはちゃんとした訓練センターがないことである. そのため印刷は徒弟制度として社内で訓練したり, サプライヤーの技術セミナーで技能を学んでいる. 一部の人はドイツ,オランダに留学しているが, 一般の人は無理である.ただ英語が普及しているので, 海外の文献で自己学習できるが, 専門書は値段が高く, 経済的に手に入れにくい問題がある.
●フィリピンの印刷概要
印刷会社は約5000社.その内の70%がマニラで営業. それ以外の印刷会社も都市部に集中している. 規模は150万ドル(1,6億円)以上を売り上げている会社は全体の3%, また300人以上の従業員を持つ会社は同じく3%程度. それ以外の会社は中小企業で修理した印刷機が3〜4台以下, 従業員は30人未満といった状況である.
ここ数年でデザイン, グラフィック画像処理サービスの会社が発展している. これはプリプレス技術, コンピュータハードが飛躍的に発展したこと, 英語が普及していることからインターネットなどによる世界マーケットが開かれたことが原因のひとつである. ただ紙などは, 国内で上質な紙はコストがあわず輸入に頼っている.
●技能のレベル
最近はパッケージ, 新聞印刷, 商業印刷の分野でコンピュータからのフィルム出力が増えてきた. CTP(プレス)はまだ高価な機器であるため, 普及はしていない.
フィリピンでの印刷機は古いものが多く, 平均すると15年から25年のものが多い. 印刷機の10%が1980年〜1995年に作られたもので, 印刷機の75%は1960年〜70年代にかけてのものである. 残りの15%は60年代初期のものである. 印刷機の70%が単色, 20%が2色, 10%が4〜8色機である. 古い印刷機は故障が多く, 安定した納期が保てないので, 周辺諸国へ流れている仕事もある. ここ2年での出版印刷製本の装置の輸入は減っており(−27,6%), 同時期の他の輸入は0,29%増えている. 機械を輸入できるのは大きな企業で経済的にゆとりがあるところである. ヨーロッパ製とアジア製では価格差が大きく, アジア製の輸入が多い. このようは中でも, プリプレス機器とくにPostScript Level3を搭載したものは増えている. これは先ほどいったデザイン, グラフィック画像処理サービスの会社が増えているからであろう.
●印刷作業の合理化
競争力のある環境に挑戦するには, 印刷会社は生産性を上げ, コストを下げることである.そのために新しい技術を投入し, 作業者の専門的能力を上げる必要がある. その他の課題としては, 印刷各工程の標準化, 生産やサービスの特化, クライアント, エンドユーザーの技術教育などである.
技能が不足するということは, いい仕事がないということでもある. これからの印刷の課題を整理すると以下のようなことがいえる.
競争環境の整備, 職人のトレーニング, 政府による印刷技術の長期支援, 最新技術導入のための政府機関の融資, 助成金, 生産方式と作業工程の標準化, サービスと生産の特化, クライアント/エンドユーザーの技術教育, 印刷工と管理者の価値の方向転換, コストの削減など.
(C)Japan Association of Graphic Arts Technology
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