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第3回アジア印刷技術情報フォーラム
情報交流会/1998年
韓国レポート

韓国のデジタル化の試練と課題

会長/金 直勝
大韓印刷工業協同組合聯合会

1.韓国のデジタル化の現状
2.韓国のデジタル化の課題
3.未来へのデジタル化トレンド
4.結論

アジアの経済危機の影響にあって,変わり続けて止まることのないデジタル技術は印刷産業に大きなプレッシャーを与えている. まず韓国のプリプレスと印刷業におけるデジタル化の状況について解説し,デジタル化の発展における課題を要約する. デジタル化をアプローチするための長期,短期の方法論として大規模印刷業者ではCTP採用についてのガイドラインが議論されている. 従って,このトピックに関するいくつかの課題も挙げるとしよう.

1.韓国のデジタル化の現状

<1997年以降CTP環境が急に近づく>

CTPのワークフローへ至るステップとして通常理解されているデジタル化について話す前に,韓国が過去数年間にデジタル化にどのように反応してきたかを考察してみよう.
IPEX93とDRUPA95が開催された後,イメージセッタと大型4色印刷機を導入するブームがあった. 人々はつい最近まで,PostScriptのイメージセッタによって編集, レイアウト, フィルム出しを行うためにMac(Macintosh)上でQuarkXPressを使用して, ドラムスキャナで画像をスキャニングするというプリプレスの標準ワークフローで満足していた. オンデマンド印刷のワークフローはインディゴのE-Printの紹介とともに討議されるよりホットなテーマだったが, CTPはそれほど深刻な課題ではなかった. しかしながら,IMPRINTA97とIGAS97の後,CTPの環境はそれほど遠い話ではないと気が付き,大規模印刷業は真剣にワークフローを統合しようと考え始めた. デジタル化へ抵抗するグループの人々がいるにはいるが, ほとんどの人々は競合と顧客ニーズに応じるためにデジタル化を受け入れなくてはならなくなった.
CEPSはまだ日本のプリプレスワークフローにおいて役割を果たしているようにみえる.この事情は韓国においてもほとんど変わらない. というのは早い段階でプリプレス設備に投資した大規模なCEPSを装備する印刷業者は,既にPostScriptと両立できるリンクシステム,あるいは完全なPostScriptワークフローを加えて, PostScript順応のワークフローへ移行したからだ. デジタル化はコンピュータ上のデザインからインキ・キーがデジタルコンソールでセットされるプレスルーム, あるいはデジタル製本の段階へと適用できる.

<基本基準は融通性と生産性>

デジタル化は発展し続けるだろう. しかし,あらゆる段階が最も効率的になるとは限らないだろう. なぜなら国によってそれぞれの印刷事情は異なるからだ. だがわれわれの産業のだれもがダイレクトにフィルムや版,紙,あるいはWebのような他のメディアに直結することができる,フレキシブルなデジタルワークフローを確立することで恩恵を受けることができるはずだ. 従って,「デジタル化とはフィルム,版,紙,その他のメディアへ直結できるデジタルワークフローの確立」と定義したい.
この定義を満たす基本基準は融通性と生産性にある. 今日カラーDTP作業のほとんどはMacのプラットフォーム上でPostScript環境によりQuarkXPressやPhotoshop,IllustratorやFreehandを使用して行われる. しかしモノクロのテキスト業務はPCプラットフォームによって支配されている. マイクロソフトのWordあるいはその他世界で広く使われているソフトよりもハングルの韓国テキストに対してよい機能をもつArehangulのような韓国のソフトやその他の言語処理ソフトがある. フレキシビリティは重要である,というのもPostScript環境でエラーなしでPC業務をサポートするにはまだ問題点があるからである.

<CIDはデジタル化へのよい兆候>

ここでフォント問題について論じておかなくてはならない. 韓国はPostScriptフォントがきわめて広範に行き渡っている国で,韓国のフォントとともに中国文字を一緒に使用しており,多くのフォントデータは英語と中国語を元にしている. SoftMagicやYoonデザイン,Seoulシステムはそれぞれ100以上のタイプフェイスを所有しており,通常はシーズンごとに新しいタイプフェイスを数セット発売している. フォントベンダーはTrueTypeフォントを安い価格で売り,スクリーンフォントは無料で供給し,PostScriptフォントは非常に高価に販売している. このことは印刷業者には大きなトラブルをもたらさないが,すべての種類のフォントに対してアウトプットサービスをしなくてはならないサービスビューロにとっては頭の痛い問題である. 多くの場合,フォントへの投資がイメージセッタのためのRIPへの投資の3〜4倍を越えている.
ほとんどのPostScriptフォントのベンダーはダウンローダーを供給しないで,顧客を訪問して直接ダウンロードしている. その意味から,CIDフォントの開放は融通性のあるオープンデジタル化へのよい兆候とみなすことができる. CIDフォントはアドビ社によるもので,東南アジアの市場の要望により対応しているコンポジットType1の新しいフォーマットである.
CIDで調整されたフォントはよりシンプルな構成をしており,あまり記憶容量を使わず,速い. OCF(Original Composite Format)に勝るいくつかの長所はフォントサイズがより小さいこと,インストールが容易なこと,レベル2あるいはより高いPostScriptのインタプリタによる大幅に改善された作業性,簡単に文字セットを追加あるいは修正できるフレキシブルなエンコーディング,そして広い互換性である. 発売されたいくつかのソフトにより,画像やページをインターネットやCD-ROMあるいはPDFに転換することが実用段階に入ってきた. というのもオンデマンド印刷ではファイルは圧縮され,ネットワークにより遠隔地に送られるからだ. CIDフォントを使ったPostScriptファイルは品質を損なうことなく圧縮が可能である.

<PDFの需要が増加>

現在では発売されるCIDフォントは正規PostScriptフォントの10分の1の価格で利用できるし,PDFの需要は増加しつつある. アドビはMacとWindowsプラットフォームで一般的に最もよく使われるフォントベンダーとタイプフェイスについて調査して,かれらのCIDフォントライブラリに含め,アドビのソフトウエアを未来においても供給できる契約を結んだ. アドビのAcrobatにおいてサポートされた中国語と韓国語の開発は他の言語の場合より遅れた. 韓国のアドビ社によれば,PDFをサポートする韓国のドライバは1999年春には実用化される見通しである. 多くのデベロッパはその遅れについて苦情を呈し,あるソフト会社は既にQuarkXPressあるいは他の編集ソフトを韓国語の編集フォーマットにおけるPDFにコンバートできるソフトを開発した.

<PDFはフルデジタルの新しい標準>

アドビのPDFがデジタル化のための新しい標準フォーマットであるという認識は一般的である. PDFは含まれたテキスト,フォント, 画像をすべて出力するのに必要な手段をもつデバイスインディペンデントなファイルである. PDFファイルはそれを作るのに用いられたアプリケーションから切り離していつでも見られるし,編集もできる. それらは簡単にリオーダーしたり,他メディアへの利用を拒めるように各ページインディペンデントを維持している. そこにはPDFのPortable Job Ticket Format(PJTF)を利用してjob ticketの組み込みができる. PDFファイルは信頼できるし,PostScriptを越えた状況を提示している.
一方PostScriptは本来印刷に根ざした技術である. PDFは高度に自己充足型で,出力においてよりハイレンジでフレキシブルなフォーマットである. PDFは異なったメディアへ多数の出力をしなくてはならない出版人の間で真剣に取り組まれてきた. PDFは時間と金を即座に節約できる. 例えば毎週紙に印刷する雑誌とWebを通してWebzineを発行している出版人,あるいはCD-ROMを生産している教育教材の出版人にとって,同じ情報源をインターネットと印刷メディアに使える. 出版人は大して投資をせずにかれらの出版印刷にメディアフォーマットを追加しようと提案することにより,出版に価値を付加できる.
今日のカラー印刷の手順は以下のように流れてい. 顧客はオリジナルのイメージカラーとデジタルファイルをサービスビューロかプリプレスの仕事ができる印刷会社へ渡す. ここで顧客が電子プリプレス設備を用意していないことから,クリエイティブ業務を外注することもできる. ドラムスキャナでスキャニングしなくてはならない画像はオリジナルフォーマットで渡され,他の画像は顧客側がフラットベッドスキャナでスキャンしてテジタルフォーマットで持ち込む.

<プリフライトチェッカーの使用は限られている>

外付けハードディスクドライブ,Jazz,Zipドライブ,CDsがもっとも一般的に用いられ,インターネットあるいはオンラインサービスはテキストの配送やレイアウト変更に時々使われている. レイアウトは通常クライアントサイドで行われる. 定期的に,あるいは大量の仕事をもたらす顧客に対して,サービスビューロは営業マンかまたは速配サービスによってデータと画像を取りに行く.
ここでの問題はクライアント,デザイナーもサービスビューロもプリフライトチェックのソフトを使いたがらない点である. サービスビューロはPhotoshopファイルのカラーセパレーションセッティングやQuarkXPressのトラッピングセッティング,ページセットアップ,フォント入手などに関するページ業務のガイドラインを問うリーフレットを準備したり告示する. サービスビューロのオペレータはファイルを開くが,経験に従ってほとんどチェックをしない. 彼らは目でチェックしたほうが速い,あるいは簡単という. しかし実際に使わない理由は,プリフライトチェッカーの必要性が広く認められていないことにある, フライトチェッカーの使用はDTP制作会社に限られており,市場の注目を集めるほどは売れていない.
サービスビューロはまた大型フォーマットイメージセッタが盛んになったことから,ある種の面付けソフトを使うようになった. というのはサービスビューロにとってストリッピングはフィルムロスを防止するために使用するものであり,面付けは通常印刷会社で手仕事によって行われてきたからである. フィルムが作成されると,サービスビューロは顧客に見せるため外部校正サービスを使う. 他の校正がない場合,再版のPS版が用いられた本刷り校正が低価格で広く利用されている. というのも他国へ輸出している印刷業者はアグフアのPress Match Dryや3MのMatch Printを契約上の校正として使用する. レイアウト校正は顧客側でQMSのようなレーザプリンタで行われる. しかしカラープルーフを受け取った後の段階で訂正と変更がしばしば起こる. DRUPA95の後でプロッタの装備が増加した. HP750とEncadのNovaJetが人気があるが,市場はHPのCP2000モデルに置き換えられた. しかし,これらのプロッタの95%はポスター印刷に適用され,プルーフに適用されているわけではない. というのはテキストのわずかな直しに対して,通常はサービスビューロも印刷業者も競合の関係から多額なフィルム修正の費用を請求しないからだ.

<1998年末にCTPは5ユニット導入>

次にCTPワークフローのデジタル化で韓国がどの段階にあるかを概観しよう. 1998年の終わりまでに,最大で5ユニットのCTPが設置されるだろう. 現在1ユニットが設置されているが,まだ稼動していない. 世界全体では900〜1200のCTPシステムが設置されていることからすれば,韓国はCTP採用では遅れているというべきである. 導入されない理由は,所有するためには高コストで,フルデジタル化はプリプレス,プレスの大会社で確立されていないからだ. 市場で利用されるCTPシステムはいくつかあるが,他社よりも早くこのワークフローを適用している会社は,自動プレート搬送やオンラインの処理システムなどのフル自動のシステムを求めている. 印刷産業の調査によれば,約30の印刷業者と新聞業者が2年以内にCTPを採用することを考慮中という. CTPはビジネスフォーム,カタログ,名簿,文書,ラベル,新聞を含む多様な市場をセグメンテーションすることで導入しやすくなる.イメージセッタ設置のピークだった1996年以降,イメージセッタの設置は経済危機のみならず成熟とサービスビューロ間の過当競争により,減少しつつある.

<印刷業者はプリプレスに投資しない>

しかしながら印刷業者は印刷工程に投資している関係から,プリプレス部門には投資しない. 50人以上の規模の印刷業はこの数年間に最新印刷機に多額の投資をしている. 現在彼らは会社を長持ちさせるためより高い為替レートで支払わなくてはならない. 印刷機械への大量な投資に比べて,かれらは1ユニットか少数のユニットのイメージセッタを有するだけである.
CIP3の印刷手順におけるデジタル化に関しては,デジタル・インキ・キー・セッティングの採用がスタートしたが,まだ手によるキー・セッティングがほとんどを占めている。デジタル化はまた製本処理で活発に進んでいる.
1997年10月以降の経済危機によって,IMFのプログラムの下で,ほとんどの印刷業者は印刷機械に対する最近の投資の支払いと材料の価格の高騰に苦しんでいる. 大きな印刷業でさえ,破産して,機械は海外に売られている. しかしながら生産性を改善するためのデジタル化は現在も注目されている.

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2.韓国のデジタル化の課題

<多くのドキュメントがPDFフォーマットへ>

既に多くのドキュメントがPDFフォーマットへ移行している. 特に国際企業における生産と市場情報に関するマニュアルの英文ドキュメント,インターネットからダウンロードするドキュメントなどは,PDFフォーマットになっている. 効果的で融通性に富んだものと認められているが,ドキュメントが韓国語に訳され,印刷される時にPDFのための韓国ドライバが用意されないといけない. 一度ファイルがPDFに変更されると,通常は以前のアプリケーションに戻る必要はない. しかしながらページに順応したもので,ページ内やページ間に多くの修正があった場合,ユーザは正規のアプリケーションソフトを適用して作業するほうを選ぶだろう. ファイルが異なるアプリケーション間を行ったり来たりできる融通性がPDFのデベロッパに求められているものである.
経済問題の影響で,印刷業のデジタル化は遅れるだろう. しかし同時にもし生産性の増加やプレート準備のページ業務の改良に通じるRIPのアップグレードのような最小の投資で済む改善が準備されるなら,可能性のある技術が維持してゆくことに役立つものと思われる.

<より献身的なプロバイダと組むことが必要>

ほとんどのデジタル化のソフトやハードはヨーロッパや日本,アメリカから輸入されている. 多くのシステムソリューションプロバイダは既に消えている. これまでより献身的なプロバイダと組むことが重要である. プルーフはデジタル処理の中で最もトラブルの多い分野である. コンティニュアストーンやハーフトーンに利用できる品質の高いプルーフィングが数多くある. それ以上に,印刷プルーフに匹敵する品質,設備価格,消耗品であることが重要課題となっている. またどんなプルーフも,どこで出力しても共通であることをCTPワークフローの中で考慮されるべきだろう.

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3.未来へのデジタル化トレンド

<PDFをワークフローへ組み込むことが必要>

長い目で見ると,PDFでさえ入門的な段階であり,多くの開発が起こり,未来のデジタル化へのアプローチはどのようにして,いつPDFを各社のワークフローの一部に組み込むかに集約される.
未来トレンドの中でフルデジタル化する最も重要なことは,PostScriptがデジタルプリンティングワークフローの標準になったとしても,PDFにあると思われる. デジタル化のワークフローがより生産性が高いためには,次に来るファイルがPostScriptであろうとなかろうと,ワークフローにおいてできるだけ速くPDFを翻訳すること,そしてアウトプットされるまえにすばやく見たり,編集したり,管理され,チェックされる必要がある. というのは多くの価格競争に直面しているサービスビューロ,広告代理店,制作代理会社にとって,PDFオリエンテッドなワークフローは投資を付加することなく,さまざまなマルチメディアの出力サービスを提供して,彼らのサービスを通常のPostScriptオリエンテッドなフィルム出力から差別化することが可能となるからである.

<CTPアプローチには5つの条件チェックを>

短期的な見方をすれば,継続的にデジタル化,とりわけCTPにアプローチするためには,印刷業者は以下の条件をチェックすべきだろう.

  1. 十分に経験を積むこと,そしてエレクトロニックプリプレス環境に基づくPostScriptのノウハウをもつこと,そしてPDFコンパチブルのワークフローを築くこと.
  2. 入ってくる仕事をデジタルフォーマットで受けてCTPシステムを稼動させること。できる限り顧客のデジタル化を正しく推進することが重要. プリフライトチェッカーはデータを正す上で必要なステップである.
  3. 印刷業者は少なくとも3台の印刷機をもって,以前よりも多くのデジタルプレートを生産しなくてはペイしない.
  4. 印刷業者はデジタルプルーフを経験して,顧客を教育することが大切である.
  5. 漸進を続け,ステップバイステップでアプローチすることが大変重要である. プレート準備のページネーションを行うためのソフトを採用して,OPIとファイルサーバを確立して,印刷サイズに合うプレートセッタと同じフォーマットのイメージセッタを使用してカラーマネジメントを行うことは採用をスムースにするだろう. フィルムは未来にも使用されるだろうから,フレキシブルなバックアップシステムは必要ということもまた重要だろう.
<デジタル化は2つの方向へ進む>

韓国では,デジタル化のトレンドはこれまで述べたユニークな事情で2つの方向へと進むだろう. 1つは,サービスビューロとデジタルイメージング会社の場合で,マルチメディア制作とオンデマンド印刷,オンデマンド印刷ワークフローへと発展していくことになるだろう. 主としてこれらのマーケットは限られているので,CTPを装備できないし,多種多様な顧客グループに合致することにはならないだろう. もう1つは,大規模印刷業と新聞社の場合で,CTPのワークフローを確立していくだろう.

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4.結論

<顧客ニーズに従ったデジタル化を>

CTPやオンデマンド印刷から得られるものは,よりよい品質,時間短縮,よりよい投資に対する見返りである. マーケッターとコミュニケーションのクリエイターはよりユニークで多様な印刷物のアウトプットを必要としている. これらのニーズを満たすのに,一つの魅力的な解決法や手段などはない. それぞれの分野や企業はかれらの顧客のニーズに従ってデジタル化をアプローチすべきであり,そしてできるだけオープンでフレキシブルなワークフローを完成すべきである.
今後はプリプレス,プレス,ポストプレスのあらゆる分野におけるデジタル化の現状を分析する,詳細な調査が行われるべきである. 同様に,FAGATメンバー国のフルデジタル化成功のケーススタディが知らされれば,より効果的なアプローチを行う上で役に立つだろう.商業印刷業,プリプレス産業,スモール・クイック印刷産業などそれぞれの分野についての研究が今後なされるべきだろう.

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