印刷白書 2000→2001
決断
A4版、150ページ、バインダ綴じ
■ 内容
「印刷白書」は,印刷産業の現状と動向を「統計資料に基づいて」「客観的に分析する」とともに,印刷産業の「時代模様をキーワードによって明らかにする」もので、3章からなっています。
第1章では,印刷関連統計データから印刷産業の状況と技術動向を明らかにするとともに,2000年のトピックスをまとめています。
第2章は,今後の印刷産業に影響を与えると思われる環境変化についての視点と,印刷産業の課題,そしてキーワードをまとめています。
第3章は,印刷産業と印刷市場についての統計データ集で,100点以上の図表データを収録してあります。
本書の統計資料は,他にない以下のような特徴を持っています。
(1)印刷産業の動向把握に必要な公表データを,出来るだけ時系列的に遡って網羅,掲載している。
(2)産業連関表データなど,他に見られないデータが豊富に掲載されている。
(3)各データから何を読み取るべきかの明確な視点からデータを加工,図表・グラフ化し てあり,そのまま計画資料・会議資料等として利用できる。
以上のような内容,特長を持つ印刷白書は,印刷産業動向把握の決定版であり,印刷産業,同関連企業の皆様の経営戦略を考える上での必携の書としてご利用いただけるものと確信しております。
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要旨 (過去の印刷白書の要旨は,こちらからご覧ください)
実感なき景気回復の2000年
印刷産業の売上は、2000年において仕事量の回復に1年遅れて前年比がプラスに転じた。
印刷市場全体の約3割を占める上場製版印刷会社の2000年度上期の売上前年同期比は5.1%増というかなりの増収であった。しかし、この6割は精密電子部品分野での伸びによるもので、それを除く増収幅は2.4%に過ぎない。また、増収ではあっても営業利益は9.3%減の増収減益であった。
中小印刷業の売上前年比は、2000年第1四半期からプラスになり、2000年通期では1.0%増となった。増収ではあったがその幅はわずかだし、受注競争がさらに激化、単価下落が続く一方で用紙が値上がりし、さらなる小ロット化、短納期化が生産性の足を引っ張り収益性が悪化した。
2000年の印刷産業全体の出荷額前年比は1.4%増と推計されたが、景気回復を実感出来ない1年であった。
強い斑模様が見られた品目別動向
2000年の印刷市場を商品別に見ると、強い斑模様が特徴である。バブル期をしのぐかと思われる勢いで伸びたのが商業宣伝印刷関係である。広告業の売上は2桁で伸びており、印刷の仕事量も5%から10%で伸びたと見られる。
一方、底無し沼に入りこんだように低落し続けているのが出版印刷市場である。出版販売金額自体が4年連続のマイナスを続け、市場は4年で9.8%縮小した。上場印刷会社の2000年度上期における出版印刷売上前年同期比は1.2%減であった。減少幅が少ないようだが、1998年の前年同期比5.1%減、1999年の5.2%減に続く3期連続のマイナスであるところが深刻である。
その他の印刷市場は、長期低落が続くフォーム印刷、2%弱の堅調な伸びで推移したパッケージ・特殊印刷、そして2桁で伸びた電子部品分野とさまざまであったが、その背景には、IT化や資源環境問題への対応の動きが明確に読み取れた。
インターネット普及のマイナス影響は見られない
2000年のインターネット広告費は590億円、前年比144.8%増という急激な伸びを示した。しかし、それによる紙媒体へのマイナス影響は見られないどころか、チラシ、DMといった紙媒体の宣伝広告印刷物市場はいずれも大幅に伸びた。
ひとつの要因は、インターネットを使った販売をするにしても、その存在をアピールするためには紙媒体を使わなければならないからである。インターネットの普及は、DMやカタログ、雑誌の広告も増やす、という状況が米国でも見られる。
もうひとつの要因は、経済のサービス化によって総じて規模が小さく限られた商圏で商売をするサービス業が増えるが、このような企業が取りつき易く、しかもそれなりの到達度を期待できる現実的な広告宣伝媒体は、結局、チラシやDMだからである。また、インターネットのような双方向の情報媒体の利用が増えても、消費者一般の情報に対する姿勢が受動的であることも、プッシュメディアであるチラシ、DMが強みを発揮する大きな要因である。
新たな収益性圧迫要因
印刷産業のプリプレスのデジタル化は、1997年中頃が業界全体としての普及の出発点であったが、それ以降、先進企業はフルデジタル化を推進し、2000年に入って一気にCTPを導入する企業が増加しプレートセッタ導入台数は500台を越えた。
CTPの導入は、さらなる低価格、短納期、小ロット化への対応策であるが、先行者利益を享受する間もなくプリプレス工程での付加価値要素をまたひとつ減らし、印刷産業の出荷額を押し下げたということでもある。
1999年7月から一部の価格上昇が見られ始めた印刷用紙は、その後2000年4月までに2段階にわたって上昇した。1999年時点では、その影響は見られなかったものの、2000年度には価格上昇分がまるまるコストに反映され、特に対売上用紙費比率が高いオフ輪企業への影響はかなり大きく出た。
懸命に踏ん張る中小印刷業
中小印刷業の1999年度の1人当り売上前年比は0.9%増で3年ぶりのプラスになった。対売上外注加工費、原材料費ともに低下し加工高比率がやや上昇、1人当り加工高が増加した。
設備関係の経営数字を見ると、1998年,1999年の2年間、設備投資が控えられたようだ。1人当り人件費はやや上がったが、1人当り加工高が上昇しているので、人件費/加工高(労働分配率)は前年よりも若干低く押さえられた。以上の結果、売上営業利益率は3.7%で、わずかではあるが2年連続で改善がなされている。中小印刷業は、利益確保に懸命な踏ん張りを見せている。
ただし、規模別格差が非常に大きく、9名以下の事業所では、売上高がこの4年間で2割程度減少し、1997年度以降赤字経営が続いている。
ポイントは営業機能の強化
1990年代に入ってからはオフ輪の小ロット化対応が進み、枚葉印刷機とオフ輪とのロットの境界線はかなり下がってきた。また、オフ輪が、折りまでインラインで処理できて短納期対応力に優れていることから、印刷の単価がオフ輪の方に引っ張られるとともに、従来枚葉印刷機で刷られていた仕事がオフ輪に流れる傾向が年々強まってきた。
JAGATが毎年行なっている経営力アンケート調査の結果によれば、オフ輪保有の好業績企業は、健全な財務体質をバックに高い設備能力を持って工場の労働生産性を高め、その上でソフトサービス事業の展開を含む営業力によって売上を2桁で伸ばしている。
ここ数年の中小印刷業界の経営指標は、バブル崩壊以降の縮小均衡もそろそろ限界で売上拡大をしなければそれなりの利益確保もむずかしくなってきたことを示している。一方、コスト面では、販売管理費比率や労働分配率といった指標が収益性により大きく影響を与えるようになっているから、今まで取り残されてきた販売管理費の分野,あるいはホワイトカラーの生産性向上によるコストダウンを先送りすることはできなくなった。
以上を総合すると、今後の利益確保のためには、営業機能を強化して営業部隊1人当りの価値的生産性を上げつつ、売上げ拡大を図ることが大きな課題になってきたといえる。
急増したISO9000の認証登録
2000年はISO9000,ISO14000認証登録件数が急増した。と同時に、認証登録の準備を始めた企業が一挙に増加した。東京都が、印刷物の入札においてISOの認証登録をしている企業には、そうでない企業よりも有利な取り扱いをすると発表したことに端を発したものである。官公庁の動きが、中小印刷企業を動かすという状況はSGML,XMLでも見られ始めた。
何をやるにも、具体的に動くときにはそのタイミングが非常に重要で何もかも先頭を走る必要は毛頭ないし、他社に遅れて取り組むこと自体は問題ではない。しかし、変化が早い時代においては、環境変化に対する感度と自立性を欠いた経営は企業がズリ下がっていく最大要因となる。
本番を迎える環境問題への対応
2000年4月1日から完全実施となった容器包装リサイクル法だが、完全施行前から指摘されていたいろいろな問題が噴出している。しかし、企業、行政の対応の動きはあらゆる面で進んでいる。2001年には、グリーン調達の法制化問題が出てくるが、資源環境問題に関しては、今後とも法制化が進むたびに1歩1歩先に進んでいくことになる。
この3年、容器包装市場全体はやや縮小したが紙製容器は増加している。ダイオキシン問題等の影響で、いま、「紙は環境にやさしい」というイメージが出来あがりつつあり、それが追い風になっている。しかし、環境に配慮するということは、いろいろな意味でロス、むだを排除していくことであり、それは値段が下がっていくことでなければならない。
印刷業界は、再生紙や大豆油インキの利用を進めてきたが、環境面からもコスト面からも紙容器が社会的に認知される状況を築いていくことが、印刷業界全体としての環境対応の本番である。個別企業単位で見れば、この対応力の差が大きな企業格差になっていくことになる。
eビジネスとは新しい土台作り
2000年は、印刷業界でもIT(Information Technology)やeビジネスが話題になったが、その理解には誤解や偏見が多い。eビジネスは、ECベンチャーの株価のバブルとともに消え去るものではないし、打出の小槌でもない。
技術の変化と印刷の成熟化が印刷企業の利益の構造を大きく変えつつあり、いま、印刷産業は混沌の真っ只中にある。それは、パラダイム転換と言われるようにいままでの土台が崩れつつあるからである。eビジネスとは、ECの販売、生産、流通に加えて、ERP,CRMなどの経営の諸機能をIT(インターネットとパソコン)を駆使して統合化、最適化することであり、ITによって経営システムを再構築していくことである。eビジネスがeビジネスたる所以は、その再構築を、自社だけではなく顧客や協力会社を含む企業間の新しいコラボレーションの形を作って達成しようというところにある。
ITとコラボレーションからなる新しい土台作りのロードマップを描いて、小さくてもいいから明らかにプラスの成果を出せる具体的課題を設定、実行することを積み重ねていくことがポイントである。
■ 目次
第1章 2000年の印刷産業を振り返る
1.1 データで見る2000年の状況
1.1.1 実感なき景気回復の2000年
1.1.2 品目別動向
1.1.2.1 出版市場
1.1.2.2 広告宣伝印刷物
1.1.2.3 その他の印刷物
1.1.2.4 電子出版1月12日
1.1.3 印刷産業の経営状況
1.1.3.1 経営数字に見る問題点
1.2 2000年の注目すべき動き
1.2.1 フルデジタル化からCTP化へ
1.2.2 大きく響いた用紙価格上昇
1.2.3 急増したISO認証取得
1.2.4 話題となった印刷のIT、EC
1.3 技術動向
1.3.1 テクノプロフィール2001
1.3.2 プリプレス
1.3.2.1 DTPの内と外
1.3.2.2 ネットワーク,データベース
1.3.2.3 フォント
1.3.2.4 RIPからワークフローへ
1.3.2.5 標準フォーマットの模索
1.3.2.6 デジタルカメラ
1.3.2.7 スキャナ
1.3.2.8 ワークフローツール
1.3.2.9 カラーマネジメントシステム
1.3.2.10 校正・刷版
1.3.3 印刷
1.3.3.1 平版印刷
1.3.3.2 デジタル印刷システム
1.3.3.3 特殊印刷
1.3.4 製本・加工
1.3.5 CIM
第2章 印刷産業を取り巻く環境変化と課題
2.1 印刷産業を取り巻く環境変化
2.1.1 IT、EC、eビジネスの意味
2.1.1.1 EDIからECへ
2.1.1.2 不可避のIT化
2.1.2 メディアビジネスの現状
2.1.2.1 メディア変化の方向と新たなビジネス
2.1.2.2 バラ色ではない新ビジネスの現状と課題
2.1.3 資源環境問題の現状
2.1.4 印刷の融業化
2.1.5 印刷の国際化
2.2 印刷産業の課題とキーワード
2.2.1 印刷の将来展望
2.2.1.1 印刷産業の目標と市場予測
2.2.1.2 市場予測と目標の背景
2.2.2 印刷産業の課題
2.2.2.1 土台の再構築
2.2.2.2 新しいビジネスの開拓
2.2.3 キーワード:決断
第3章 印刷産業関連統計
資料1 印刷産業の景況
資料2 印刷産業関連機材生産/出荷状況
2-1 印刷用紙出荷量
2-2 印刷インキ出荷量
2-3 印刷関連機材
資料3 産業構造
3-1 印刷産業の業種別構造
3-2 印刷産業の従業員規模別構造
3-3 印刷産業の地域別構造
資料4 マクロ指標と印刷需要
4-1 印刷産業出荷額とGNP
4-2 印刷産業の業種別需要
4-3 印刷産業の印刷品目別需要
4-4 主要印刷品目/同関連市場
資料5 経営
5-1 収益構造
5-2 原価構成
資料6 印刷の国際化
6-1 印刷物の輸出入金額の推移
6-2 国内出荷額と輸出入額の比較
6-3 1人当たりGNPと1人当たり印刷出荷額の国際比較
マーケット資料リスト
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