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印刷白書 2001→2002
=仮説検証=


A4版,150ページ,バインダ綴じ
マーケティング研究会メンバー:10,000円, JAGAT会員:20,000円,一般:30,000円

内容
 「印刷白書」は,印刷産業の現状と動向を「統計資料に基づいて」「客観的に分析する」とともに,印刷産業の「時代模様をキーワードによって明らかにする」もので,3章からなっています。
 第1章では,印刷関連統計データから印刷産業の状況と技術動向を明らかにするとともに,2001年のトピックスをまとめています。
第2章は,今後の印刷産業に影響を与えると思われる環境変化についての視点と,印刷産業の課題,そしてキーワードをまとめています。
第3章は,印刷産業と印刷市場についての統計データ集で,100点以上の図表データを収録してあります。

 本書の統計資料は,他にない以下のような特徴を持っています。 (1)印刷産業の動向把握に必要な公表データを,出来るだけ時系列的に遡って網羅,掲載している。
(2)産業連関表データなど,他に見られないデータが豊富に掲載されている。
(3)各データから何を読み取るべきかの明確な視点からデータを加工,図表・グラフ化し てあり,そのまま計画資料・会議資料等として利用できる。
 以上のような内容,特長を持つ印刷白書は,印刷産業動向把握の決定版であり,印刷産業,同関連企業の皆様の経営戦略を考える上での必携の書としてご利用いただけるものと確信しております。

要旨 (過去の印刷白書の要旨は,こちらからご覧ください。)

下期から急激に悪化した景気

 2001年度の印刷業界の売上前年比は,上期において4月,6月は前年割れになったものの,9月までは,ほぼ横ばいで推移していた。しかし,10月には,1.2%減になり,以降,2002年1月まで4カ月連続の前年割れになった。2001年歴年全体では,前年比0.5%減とわずかではあるがマイナス成長になったようだ。

 バブルの最盛期から2001年年末までの12年間について見ると,実質GDPにしても印刷業の売り上げにしても,その山谷は一つの景気サイクルを経るごとに山はより低くなり,谷はより深くなってきている。2002年度のGDP成長率予測は,前回の景気の谷であった1998年度よりも小幅なマイナス予想になっているが,日本全体ではデフレの進行があり,印刷業界ではプリプレスの加工高の低下があるので,2002年度の売上前年比は前回の谷よりも深いマイナスになるかもしれない。

底が見えない出版市場

 出版物の販売部数は,書籍,雑誌共にマイナス成長が続いている。書籍は3.2%減,雑誌は3.5%減であった。過去20年ほどの出版市場の動きを振り返って見ると,1980年代に入ってから雑高書低の傾向が始まり雑誌のシェアが年々拡大していった。書籍販売部数は1988年,雑誌販売部数は1995年をピークに急速に減少したが,この3年間の減少幅は雑誌の方が書籍よりも大きく,1980年代の雑高書低とは逆の傾向が見え始めた。

 出版界では,2001年11月,12月に書籍雑誌販売額が2カ月連続で前年を上回ったことを受けて長期低迷も下げ止まりにきたといった見方も出てきているが,楽観はできない。なぜなら,現在の出版市場縮小の主要因が,コミックス,雑誌といったそれまでの拡大市場分野を支えた読者が,パソコン,インターネット,携帯などの新しいコミュニケーション手段に時間,支出配分をシフトしてきていることにあるからである。また,メールマガジンの普及は,雑誌のコンテンツの金銭的価値に影響を与えている。

1年しか続かなかった広告市場の成長

 株式会社電通の『平成13年日本の広告費』によれば,2001年の日本の広告費総額前年比は0.9%減と,わずかではあるが前年割れになった。マスコミ4媒体はすべて前年割れで,4媒体全体としては2.1%減であった。一方,総広告費の1/3を占めるSP広告も0.2%減となったが,DM(5.4%増),折り込み(0.3%増),交通広告(1.2%増),POP(0.2%増)といった媒体が健闘してわずかな落ち込みに止まった。上記のように,広告費全体がマイナス成長になる中で,DMはかなり高い伸びを維持している。

 「展示・映像他」は,バブル期の1985年以降1990年までの5年間急速に拡大した。しかし,1991年をピークに1994年までは坂道を転げ落ちるように市場が縮小し,1995年以降はバブル前の水準で横ばいで推移している。一時は広告費全体の10%程度までシェアを上げたが,それはまさにバブルの仇花であり,バブルが弾けて広告費全体におけるシェア6%弱という本来の水準に戻って落ち着いたということである。

好調な伸びが続くDM

 SP広告分野で安定して伸びているのはDMとチラシである。景気状況によって多少左右されながらも基本的には需要は拡大し,広告媒体全体におけるシェアも上昇している。中長期的な視点で見ると,日本経済のサービス経済化はDM,チラシには追い風になり,今後も景気変動の影響を受けながらも伸びていくと見られる。それはなぜか?

 サービス経済化とは,産業全体の中でのサービス産業比率が高まることである。サービス産業には対事業所サービス業(会計事務所,ビルのメンテ会社など),対個人向けサービス業(学習塾,旅館,娯楽施設)共に非常に多様な業種が含まれる。しかし,その多くは小規模事業所であり,商圏が限られている業種や顧客が特定される業種が多い。このようなサービス業の事業所が使ってそれなりの費用対効果が得られる媒体は,決してテレビではないし,新聞広告でもなく,結局,DMか折り込みになる。2001年のチラシの需要動向を見ても,景気後退が現われた下期ではシェア第1位の小売業は0.7%減,第3位の不動産業は2.3%減であるのに対して,サービス業からの出稿は2.2%とプラス成長になっている。

 チラシの場合には,景気変動にかなり影響される小売業のシェアが高いので,2002年は全体としてはマイナス成長の可能性が高いが,DMに関しては折り込みよりも影響は少ないと期待できるのではないだろうか.

電子媒体と紙媒体の特性

 2001年度も,情報技術,サービスの先端ではさまざまな動きがあり,その中でブロードバンド化が大きな話題になった。この世界については,技術的に可能であることとビジネスとしての成否は別物であることを幾度も思い知らされてきた。しかし,ここ数年の経験の中で,ホームページやメールなどの電子媒体と紙媒体の位置付けに一つの方向が見えてきたようだ。 電子媒体の一つの特性は「プルメディア」としての性格である。自らがインターネットにアクセスすれば,従来では接することもできなかった膨大な情報の中から必要とする情報を得ることができる。紙メディアは,「プッシュメディア」と位置付けられる。自分は何のアクションを取らなくても,新聞折り込み,ダイレクトメールという形で情報が送りつけられてくる。消費者はそれらの中から自分に興味のある情報のみを選べばいいことになる。このように異なる性格をもった媒体に対する接し方は情報ニーズの強さで異なる。一人の人間においても,仕事の上ではその必要性から日常的にネット上で情報を取りに行くが,個人生活ではパソコンをネットに常時接続して使うことはなく,送られてくるDMやチラシに目を通すだけで十分ということは当然ある。

はっきりしてきた紙媒体と電子媒体の棲み分け方

電子媒体のもう一つの大きな特徴は,誰がどのようなニーズをもっているかをリアルタイムに捉えることできることや双方向性にある。例えば,通信販売事業者が登録者向けに設けたサイトで交されるさまざまな会話や各登録者のアクセス状況から,顧客のニーズや関心事といったマーケット情報を得ることができる。また,メールを使って,ワンtoワン的なコミュニケーションを迅速に行うこともできる。

一方,そのようなWebサイトに最初に顧客を導くためには紙媒体が有効だし,商品によってはやはり印刷物のもつ訴求力が購買決定の大きな促進力になる。 つまり,印刷物とインターネットの使い分けは,「プッシュ媒体」であり「訴求力」がある印刷物と「プル媒体」であり「双方向性」が生きるインターネットとを,対象となる利用者の情報摂取に対する姿勢に応じて使い分けるという方向でそれぞれの役割を有効に生かす,あるいは両者の併用によって相乗効果をもたらすという使い方が有効であるということが分かり始めた。

誤解だらけの印刷のIT化,e-ビジネスの理解

 2001年,マスコミ報道は,それまでのIT,ECフィーバーが一転してIT不況,ECバブル崩壊一辺倒になった。印刷業界でもECやIT化への関心はこの2年間で急速に盛り上がり,急速に萎んでしまった。しかし,マスコミ一般の報道に惑わされてはならない。IT不況とは情報通信設備にかかわるハードの需要不振という景気の話しであり,ECバブルとはベンチャーキャピタルから多額の資金を引き出してネット上だけで商売をするECサイトの倒産が相次いだことをいう。

 前者は印刷業のIT化には関わりのないことである。後者については,米国の印刷産業の場合,ビジネスモデルが明確になっていない中でシステム構築とマーケティングに多大の費用を一気に投入したが,それが短期に過ぎて収支バランスが取れなかったこと,そもそもあり得ない数のオークションサイトができたことが主原因である。しかし,問題はそのようなことではなく,多くの印刷企業が印刷の「e-ビジネス」をインターネット上でオークションすることと矮小化して理解し「取り組みの意義なし」と誤った判断をしたことである。

 印刷のECとは,顧客や協力会社あるいは資材調達先とのネット上でのコラボレーションを含む全体最適化を図るためのインフラの一つである。それは,個別業務の改善では果たせなかったコストダウンを実現すると共に,レスポンスの早さという価値提供や顧客のクロスメディア展開を支援する印刷業のe-ビジネス実現の要素である。ただし,このような印刷業のe-ビジネス実現は5年,10年先のことであり,実現できる企業も半数にも満たないということも事実ではある。

資源環境問題を巡る動きが示すものは何か

 ここ数年で矢継ぎ早に出され施行されてきた環境問題関連法規の内容を見ると,今後の環境問題への対応は,以前の公害問題への対応とは大きく異なるものでなければならないことが分かる。

 それは,例えばグリーン購入法が,表面は環境負荷が大きいと思われる製品を使わないようにする運動を広げるということであっても,根っこでは各企業の環境問題対応の方針設定,明確な責任体制構築,実現可能な計画立案とその確実な実行という環境マネジメントを問うているのであって,グリーン購入基準やガイドラインを満たす諸資材さえ使っていれば済むわけではない,というところに典型的に現われている。

 環境マネジメント,あるいはISOシステムが求めていることは,対外的なポーズではなく,経営者が本気で積極的,能動的に課題に対して行動することを決意し,それを世の中に堂々と表明した上で,実質的な効果をもたらす行動計画を作成し実行していくことである。 新しい企業社会の枠組みの中では,企業の存続基盤として,企業の社会的責任,経営者の理念とリーダーシップが非常に重要なものになるということを読み取るべきである。

印刷白書[2001→2002] 図表

印刷白書[2001→2002] 目次

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