『DTP豆知識(199904)』

1999年5月1日


第12期DTPエキスパート認証試験は8月に行われます。本コーナーでは試験に向けての対策講座として,DTPエキスパート 岸本正治氏に問題を解くうえでのポイントなどを解説していただきます。試験勉強の参考にご活用ください。

問1 出力エンジン

 プリンタや写植機など,出力機からインターフェイスや制御機構を除いたメカニカルな像形成機構を出力エンジンという。像形成方式には電子写真,インクジェット,サーマルなどいくつかの種類がある。次の文は各方式について述べたものである。該当する方式を選びなさい。
原理
A.色材を含むインクリボンを熱してリボンの色を紙に転写する。 [1:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]
B.染料を塗布したインクシートを熱し,専用用紙に染料を気化させて発色する。
[2:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]
C.インクの微細な粒子を飛ばして紙に付着させる。
[3:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]
D.一様に帯電させた感光層に露光して潜像を形成し,感光層にトナーを付着させて現像し,紙などに転写する。
[4:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]

特徴
E.網点を発生しなくても連続階調表現が可能で,グラビア印刷程度の色再現域を持ち,色校正にも使われる。
[5:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]
F.低価格のパーソナルカラープリンタとしてもよく使われるが,色材の選択範囲も広く大サイズへの印刷が可能である。多様な形態があり,品質を向上させたものは色校正にも使われる。
[6:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]
G.一般のコピー機と同じ原理であり,高速で大枚数の複製が可能である。原理的には2値表現しかできないが,技術的工夫により階調再現を行っている。卓上型から巻き取り式までさまざまな製品がある。
[7:(1)電子写真 (2)インクジェット (3)昇華熱転写 (4)熱溶融転写]
 
    【出題の分析】
     一般事務で使うように,プリンタから出力したものを最終物とせずに,印刷の中間物,すなわちカンプやプルーフの役割を持たせるものとしたとき,プリンタ出力の結果が印刷物と相似になることが望ましい。
     プリンタは出力エンジンの違いにより,数種類に分けることができる。いずれも技術的進歩により,高品位のものが出力されるようになってきた。

    【解法のポイント】
     原理と特徴は1セットにして理解しておくのがよい。原理を理解することで,その特徴が自ずと分かってくるところもある。出力エンジンについての絵はDTP関連の雑誌や書籍に多く掲載されている。それらも参考にしてほしい。

    【問題解説】
     AはBの問題とセットにして理解しておくとよい。Aはインクをしみ込ませたリボンを熱の力で紙に転写する。
     それに対し,Bは熱して気化した染料を紙に転写するものである。温度によって気化する量を変えてやることで,解像度が粗くても,濃淡を出すことができ,グラビア印刷のように写真的な連続階調のものをきれいに出力することができる。
     この昇華熱転写の特徴はEということになる。
     Cはインクジェットを選択する。インクシートやインクリボンが間に介在しないため,大サイズへの出力が容易となる。大量の枚数を必要としないポスター出力に使われている。すなわち,該当する特徴はFとなる。
     Dは電子写真を選択する。ドラムの感光層にトナーを付着させて紙に転写する方式で,コピー機が同じ原理を持つ。
     また,最近のオンデマンド印刷機も基本的に同じような原理でプリントする。電子写真方式にあたる特徴はGである。

    【解答】
    1.(4) 2.(3) 3.(2) 4.(1) 5.(3) 6.(2) 7(1)

    【重要用語】
    出力エンジン,インクリボン,熱溶融転写,トナー,電子写真,昇華熱転写,インクジェット, 連続階調表現


問2 露光と調子

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
 リバーサルフィルムを使用した写真撮影時に,露光量が多すぎるものを,[1:(1)露光オーバー (2)露光アンダー (3)ハイコントラスト (4)ローコントラスト]といい,全体の調子が[2:(1)暗く (2)明るく (3)強く (4)バランスよく]仕上がる。極端に[1]な原稿は[3:(1)ソリッド (2)シャドウ (3)キャッチライト (4)ハイライト]側の濃淡変化がなくなる。この場合,いったん調子を失った部分からオリジナルの調子を復元することは[4:(1)簡単 (2)難しいが可能 (3)ほぼ不可能]である。
 写真撮影時に露光量が少ないものを[5:(1)露光オーバー (2)露光アンダー (3)ハイコントラスト (4)ローコントラスト]といい,全体的に[6:(1)暗く (2)明るく (3)強く (4)バランスよく]仕上がる。このデータから印刷物をよい方向に修正することは[7:(1)簡単 (2)難しいが可能 (3)ほぼ不可能]である。  白昼の海岸風景のように明部も暗部も含まれた画像は,一般にコントラストが[8:(1)強い (2)弱い (3)ない]。画像を原稿よりも硬い調子にするには,コントラストを[9:(1)強く (2)弱く (3)なく]するとよい。


    【出題の分析】
     DTPの時代に入ったからといって,原稿を受け取るときの注意点までがすべて変わってしまったわけではない。カラー写真を受け取ったとき,特にその写真に補正を必要とする場合など,どこまでが可能か,おおよその見当をつけておく必要がある。

    【解法のポイント】
     この問題について言えば,さまざまな写真に見慣れておくことが必要である。ただ無関心に写真を受け取るのでなく,果たしてその写真は適正であるのかを考え,シャドウ,ハイライト部をよく観察する日常の姿勢が求められる。

    【問題解説】
    1. カメラで言うと,絞り5.6,シャッタースピード1/500が適正である。それにもかかわらず,4や2.8のように絞りを広げて多くの光が入るようにしたり,反対にシャッタースピードを1/125や1/60のようにして,シャッター幕からフィルムに露光する光の量を増やしたりすると,露光オーバーの写真ができてしまう。
    2. このとき全体の調子は明るくなり過ぎ,像の一部が消失する状態になっている。 3.4. このように消失してしまったものについては,補正してよい画像にすることは不可能となる。
    5.6. これとは逆に露光量が少ないものを露光アンダーという。全体的に暗く仕上がる。
    7. よく見ると,暗いながらも像が写っている場合が多い。像が写っている,あるいは残っている場合は,まだ何とか補正が可能である。
     露光オーバー,露光アンダーと間違いやすいのがハイキー,ローキーである。ハイキーな写真は濃淡の階調を保った適正写真であるが,ハイライト領域が広いものをいう。ローキーな写真はその逆の場合をいう。
    8. 白昼,天気がよいときの海岸風景などはコントラストが強い場合が多い。つまり,メリハリのきいた写真になりやすい。すると硬い調子になりやすいが,コントラストを強くするほうがよい。


    【解答】
    1.(1) 2.(2) 3.(4) 4.(3) 5.(2) 6.(1) 7.(2) 8.(1)9.(1)

    【重要用語】
    露光オーバー,ハイライト,露光アンダー コントラスト



問3 専用システムとDTP
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
 高度な画像処理機能を持ったシステムとDTPソフトとを組み合わせて,作業性と画像品質の向上を同時にはかる方法として,アルダス社(当時)が提案した[1:(1)API (2)OPI (3)ATM (4)DCS]がある。高品質のスキャナを取り込んだ大容量の画像データを直接出力サーバに入れて,DTPでレイアウトをするための[2:(1)スキャン (2)低 (3)中 (4)高]解像度のデータを同時に作成する。そのデータを使ってDTP側でレイアウトして出力するときに,貼り込まれた[3:(1)スキャン (2)低 (3)中 (4)高]解像度画像を,サーバ側で保持していた[4:(1)低 (2)中 (3)高]解像度画像にすり替える。作業上の注意点としては,画像を修正しても,出力前の差し替えによってオリジナル画像が出力されてしまう。
 レイアウトソフト上に低解像度データを割り付けて拡大・縮小や回転などができるが,画像の倍率を変更すると,画像の[5:(1)移動 (2)劣化]が起きる場合がある。画像のすり替えを行うためには,割り付ける低解像度画像ファイルの名前が元データのファイル名と[6:(1)異なって (2)一致して]いなければならない。


    【出題の分析】
     大量の画像データの入った印刷物を制作するとき,それなりの合理化をはかり,仕事をスムーズに流すことを考える。これは,DTP生産システムをどうするのかということになるが,その中のひとつにOPIがある。

    【解法のポイント】
     OPIの原理をよく知っておくこと,つまりその特徴(便利な点,そうでない点)をしっかりとつかんでおくことが必要となる。

    【問題解説】
    1.2.3. 当時のアルダス社が提案したものにOPI(Open Prepress Interface)がある。これは,写真をスキャンした画像を出力用サーバに入れると,レイアウトソフトに貼り込む低解像度データを生成するものである。この低解像度データを制作側がもらい,レイアウトデータを仕上げる。
     この方法の場合,制作側は重たいデータ(元データ)をハードディスクにためておく必要がないため,元画像の管理から解放される。そして,出力するときに高解像度データに差し替えられる。
    4.5.6. ただ,よいことばかりではない。制作側で使う低解像度の写真を補正,修正しても,出力結果には反映されない。だから,補正,修正の必要があるものは元画像で行ってからサーバ上に戻し,そのうえで低解像度データをもらうようにする。
     また,新製品カタログのように間際まで写真の差し替えや変更がある場合は,その都度サーバ上の画像を差し替えて,重複する写真の名前がないように管理を徹底する必要がある。


    【解答】
    1.(2) 2.(2) 3.(2) 4.(3) 5.(2) 6.(2)

    【重要用語】
    OPI,高解像度,低解像度

(出典:プリンターズ・サークル 1999年4月号より)



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