第12期DTPエキスパート認証試験は8月22日に行われます。本コーナーでは試験に向けての対策講座として,DTPエキスパート 岸本正治氏に問題を解くうえでのポイントなどを解説していただきます。試験勉強の参考にご活用ください。
問1 シャープネスの設定
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
画像の鮮明さとは,ディテールの情報が多いことであり,濃淡変化が起こっている部分の変化量を[1:(1)強め (2)弱め]れば鮮明さは向上する。
画像の見かけの鮮明さを向上させる機構を一般に[2:(1)ボケマスク (2)ガウシアンブルー (3)アンシャープマスキング (4)モーションブルー]という。通常の製版スキャナでは,ディテール強調をする方法として,光学式の[3:(1)ボケマスク (2)ガウシアンブルー (3)ラプラス変換 (4)ピーキング]を使う方法と,電気的処理の[4:(1)ボケマスク (2)ガウシアンブルー (3)モーションブルー(4)ピーキング]とがある。
シャープネスの強さは原稿から判断して調整しないと,シャープさが失われたり不自然な感じになることがある。一般に人の顔(肌)などはシャープネスを[5:(1)強め (2)弱め]にし,金属の表面などは[6:(1)強め (2)弱め]にする。また倍率に応じても調整する。
【出題の分析】
DTPのフォトレタッチソフトのメニューのなかに「シャープネス」の項目がある。これは従来,製版工程でしていたものを,フォトレタッチソフト上でできるようにしたものである。実務的には,シャープネスをかける画像種とその割合が重要になる。
DTPで混乱することのひとつに,「シャープネス設定時点」の問題がある。変倍の前にシャープネスをかけてしまったり,結果的にスキャナ側と制作側の両方でシャープネスをかけてしまうというケースがある。
【解法のポイント】
シャープネスをかける方法は歴史的な流れとともに,3つの方法があることを知っておく必要がある。ボケマスク,ピーキング,フォトレタッチ上での処理である。用語の説明になるが,シャープネスをつけるのにもかかわらず,なぜ「アンシャープマスキング」というのかについて理解しておく。
【問題解説】
1. ここは「強め」を選択する。もともと眠い画像は,鮮明さを必要とするデータが欠落しているので,本来の鮮明さを取り戻すことはできないが,濃淡の変化部分を強調することで,見かけの鮮明さを向上させることができる。
2. ここは「アンシャープマスキング」を選択する。これはボケマスク,つまりアンシャープマスクを使ってシャープネス効果を上げるもので,この処理のことを,アンシャープマスキングという。
3. 「ボケマスク」を選択する。なぜボケたマスクが鮮明さ(シャープネス)に貢献するのかというと,濃淡の境界部分の差を増幅する働きをするからである。まず,写真をカメラ撮りして,ピンの甘いネガを作る。当然,境界部分は明確でなく,なだらかな濃淡の曲線を描く。このネガと写真を重ねてカメラ撮りすることで,シャープネス効果をあげることができる。
4. ピーキングを選択する。これはコンデンサーでの電気信号の遅れを利用し,演算処理をしてシャープネス効果を作り出すものである。
5. シャープネスは原稿を見て判断する。人の肌などにかけると,ざらついた感じになる場合があるので弱めにする。金属などは強めにすると,それなりの効果がでる。
【解答】
1.(1) 2.(3) 3.(1) 4.(4) 5.(2) 6.(1)
【重要用語】
ディテールの情報,シャープネス
アンシャープマスキング,ボケマスク,ピーキング
問2 モアレとスクリーニング
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
複数の規則的なパターンが重なった時に,新たに別のパターンが発生することを一般に[1:(1)版ずれ (2)モアレ (3)色ずれ (4)ドットゲイン]という。網点は規則的に並んでいるため,この問題がつきまとう。
各色版を印刷で刷り重ねる際には,[1]が目立たないようにするために,フィルム上で各色版の[2:(1)スクリーン角度 (2)スクリーン線数 (3)網点濃度 (4)網点密度]を変える。一般には,例えば45度にBkを置き,それに対してシアンと[3:(1)C (2)M (3)Y (4)Bk]の各版をそれぞれ[4:(1)15度 (2)30度 (3)45度 (4)60度]ずつずらして置く。そしてこれら3色のうちのいずれか2色の中間に,目立ちにくい[5:(1)C (2)M (3)Y (4)Bk]を置くというようにする。
従来のスクリーニングは,網点の[6:(1)形状 (2)間隔 (3)濃度 (4)径]を一定にして,網点の[7:(1)形状 (2)間隔 (3)濃度 (4)径]を変えることで濃淡を表現している。これに対し,FMスクリーニングは点の[8:(1)形状 (2)間隔 (3)濃度 (4)径]を一定にして,点の[9:(1)形状 (2)間隔 (3)濃度 (4)径]を変えることで濃度を表現する。一定面積内の点の数は,明るく表現する部分では[10:(1)多く (2)少なく]なる。
FMスクリーニングは各版を重ねても[11:(1)版ずれ (2)モアレ (3)色ずれ (4)ドットゲイン]が出ないので,6色,7色を使った印刷方式などへの展望を開いた画期的な技術である。
【出題の分析】
網点で画像を再現する以上,このモアレの問題がつきまとう。モアレは網点の角度を変えることで軽減することができるが,このあたりは「FMスクリーニング」「スーパーセル」と併せて学習するのが良い。
【解法のポイント】
モアレについては,実際に網点フィルムを2枚重ねて角度を変えながらモアレの大小を見るのが一番理解の参考になる。また,『製版印刷はやわかり図鑑』(日本印刷技術協会刊)のなかにも,モアレが目立つ写真例が出ているので参考にするとよいだろう。
【問題解説】
1. 「モアレ」を選択する。網点のように同じピッチで並ぶフィルムを2枚重ねると,干渉模様が出現する。それをモアレという。
2. モアレは避けがたいものであるが,フィルム上で各色版の「スクリーン角度」を変えることで,モアレを目立たなくさせることができる。
3.4.5. まず目立つ色であるBkを45度に置き,MとCをBkから30度ずつ離し,目立ちにくいYを3色のうちのいずれか2色の中間に置くというのが一般的な方法である。
6.7. 従来のスクリーニングはAMスクリーニングといわれ,同一ピッチ上に網点を配置し,網点の大きさを変えることで濃淡を表現する。
8.9. これに対しFMスクリーニングは,網点に相当するドットを置くピッチは変則的であるが,ドットの大きさは均一である。この場合,ドットの数で濃淡を表現することになる。
【解答】
1.(2) 2.(1) 3.(2) 4.(2) 5.(3) 6.(2) 7.(4) 8.(4) 9.(2) 10.(2) 11.(2)
【重要用語】
モアレ,スクリーン角度,FMスクリーニング
問3 CIDフォント
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
従来の日本語PostScriptフォントは,複数の1バイトフォントを合わせて一つのフォントとして扱う方式で,漢字を含む日本語のフォントは普通[1:(1)2 (2)数十 (3)数百 (4)256]ファイルの1バイトフォントの集合から構成される。
CIDフォントは中国語,韓国語,日本語などマルチバイトに対応し,1書体当たりの容量が小さくなるほか,構成がシンプルなためメモリの消費も少なく,処理が高速化される。
CIDフォントはCharacter IDentifierのことで,CIDフォントファイルには文字形状(グリフ)を記述した[2:(1)ビットマップ情報 (2)アウトライン情報 (3)字形パーツ (4)ヒント情報]が格納され,各グリフごとに[3:(1)OFC値 (2)CID値 (3)JISコード (4)区点コード]がつけられている。
一方,CMapファイルには,78JISや90JISやシフトJISなどの文字コード体系(エンコーディング)とCIDとの対応が記述されている。グリフセットとエンコーディングを2つのファイルに分離することにより,[4:(1)コンポジットファイル (2)Cmapファイル (3)1バイトフォント]を追加すれば異なったエンコーディングに対応したり,同じ文字コードでも異体字を使用することが可能となる。
また,CIDフォントでは大半の詰め情報を保有でき,個々の文字の高さや幅によって文字間隔を調整する。
【出題の分析】
CIDフォントはOCFフォントに代わるものとして数年前から登場したが,現場サイドでは混乱しているのが実情である。今後の展開に注意したい。
【解法のポイント】
CIDフォントの特徴をつかむためには従来のOCFフォントの構造と問題点を捕まえるのがよい。さらに漢字コードで決めている文字種などの知識と関連づけることで理解の幅を広げることができる。
【問題解説】
欧米の文字は1バイト(256)コードで足りるわけだが,日本語フォントはJISX0208で規定されている文字種だけでも6879ある。JISでは2バイトコードにエンコーディングされているだが,PostScriptフォントは2バイトコードにエンコードせず,数十の1バイトファイルを作り,そこに6879字の文字を小分けして格納した。これをOCFフォントという。しかし,異体字などの文字種を増やしたりすると,全体のシステムを変えなければ対応できない。
そこで,文字の字形となるグリフとエンコーディングを分離させることでこのような問題の解決を図ろうとしたのが,CIDKeyedフォント(通称CIDフォント)と呼ばれているものである。
1. 「数十」を選択する。文字種が約7000字あるとして,それを256で割ってみればよい。
2. PostScriptフォントはアウトラインフォントであり,ここは「アウトライン情報」を選択する。
3. 「CID値」を選択する。下の図にあるようにコードとは別にCID値でグリフを管理しているのが,CIDフォントの特徴である。
4. 文字コードとCID値の対応表である「Cmapファイル」を追加するだけで追加文字に対応できる。
【解答】
1.(2) 2.(3) 3.(2) 4.(2)
【重要用語】
CIDフォント,PostScriptフォント,1バイトフォント,CID値,CMapファイル,78JIS,90JIS
※ 今回をもって,岸本正治氏の講座を終了いたします。次回からは新講師による講座が始まります。ご期待ください。
(出典:プリンターズ・サークル 1999年6月号より)
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