DTP豆知識(199907)

1999年8月2日


本コーナーでは,DTPDTPエキスパート認証試験に向けての対策講座をお送りします。JAGAT認証DTPエキスパート 福原節寿氏を講師に,問題のポイントや重要点を解説していただきます。試験勉強のご参考に,またはDTPに必要な知識の確認にご活用ください。
次回,第12期DTPエキスパート認証試験は8月22日に行われます。詳細はDTPエキスパートのページをご覧ください。


問1 組版と約物

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
 日本語文書に出現する漢字は全角固定ピッチが原則であるが,ひらかな/カタカナは欧文と同じように[A.(1)半角 (2)可変ピッチ (3)ハイフネーション (4)ラグ組み]処理をすることがある。
また,記号類,約物類,しるし物などは固有の幅をもち,前後の文字との間隔や連続して出現した場合,行頭行末禁則などさまざまな調整が必要である。

 さらに,追い出し/追い込みなどの処理の結果による端数調整を,記号や約物などのある場所で[B.(1)行ジャスティファイ (2)ハイフネーション (3)ラグ組み]として行わなければならない。これは本来はソフトウエアが自動的に行うものであるが,DTPソフトが十分な機能をもち合わせていなかったり,利用者が適切な設定をしていないと,文書全体を通してのスペーシングが不統一になり,組版のレベルが下がってしまう。

 文章を区切る句読類には点丸があり,また欧文に由来するものがあるが,句読に含まれないのは[C.(1)コロン (2)疑問符・感嘆符 (3)カンマ・ピリオド (4)パーレン]である。
括弧類のうち,拗促音と同じく行頭禁則になるのは[D.(1)受け括弧 (2)起こし括弧 (3)欧文括弧 (4)和文括弧]である。
反復符号は,[E.(1)禁則対象外 (2)連数字 (3)行末禁則 (4)行頭禁則]である。総じて記号や約物は[F.(1)行頭禁則 (2)行末禁則 (3)分離禁止 (4)規則対象外]となるものが多い。

 連続する2つの文字が別の行にまたがってはいけない例として,単位記号と数字の関係がある。しかし,[G.(1)3点リーダー (2)2倍ダッシュ (3)スラッシュ (4)連数字]は行で分離してもよい。

 句読類は縦組みと横組みで使い方が異なる。一般に「、。」は[H.(1)縦組みだけで (2)横組みだけで (3)縦横両方で (4)和欧混植の時だけ]使う。
横組みで使用しないのは[I.(1)「、.」 (2)「、。」 (3)「,。」 (4)「,.」]であり,和欧混植や数式の多い文章では,[J.(1)「、.」 (2)「、。」 (3)「,。」 (4)「,.」]を使うのが適切である。


    【関連項目】
     組版とは,活字を組み上げる作業あるいは組まれた版をいうが,DTPではレイアウトという表現を指すことが多い。
    組版の目的は,正しく情報を伝達し,可読性を上げることである。
    組版では,版面・余白の取り方,見出し・ノンブル・柱などの本文以外の要素の配置・組み方,書体や文字サイズ・色の選択,ロゴ・イラスト・写真の扱いなどの版面設計に始まり,これとは別に本文に関連して行の切り方,行頭・行末の処理,文字間の空き,行間の取り方などの行組版ルールを考慮しなければならない。

     組版ルールは,欧米では,オックスフォード・ルール,シカゴ・ルールなどの組版の指針なるものがあるが,日本では各社(出版社や新聞社など)ごとのルールいわゆるハウス・ルールがあり,細部にわたってまでは決まっていない。
    関連の規格としては,JIS X 4015(日本語文書の行組版方法)が,文書処理結果の同等性のための標準として制定されている。
    紙面を扱う上で最低限の共通ルールのレベル程度は,理解しておきたいものである。

    【出題のポイント】
     問題名のように,組版の中で特に約物に関することが主であり,問題文中の個々の約物の名称,意味および行組版での基本ルールは,理解しておくこと。
    禁則処理の代表的なものは,約物にはどんなものがあるか,などである。

    【問題解説】
     文字送りとは,文字と文字の間の移動量を指す。
    和文の文字では,文字の外枠である字幅は一般に全角でデザインされる。
    文字サイズが一定で,隣り合う文字の外枠同士を接して組むベタ送り(ベタ組み)が基本となる。この時の文字同士の空き量はゼロで,ゼロ未満にするのを詰め組み,反対に字間を空けるのを字間空け組みなどという。
    欧文文字は文字ごとに異なる横幅(セット幅)でデザインされており,このセット幅(プロポーショナル)で組むことが基本となる。

     Aは,文脈からも分かる。ひらがな/カタカナは,欧文同様に文字ごとで異なる送りで組まれることがある。

     Bについて。行末に半端が出た場合,行末にかかった文字や欧文単語は,次行に送り出すか,あるいはその行に追い込むことをして,行末調整(行ジャスティファイ)を行う。その行の字間調整は,欧文の語間,和文と欧文の間,和文と連数字の間,単位記号と和文の間などで行われる。

     Cについては,約物とは,句読点,引用符,区切り記号,単位符号などの記号類の総称。
    その中で句読点とは,文章の区切りに使う記述記号であり,主に和文用の句点(マル)「。」と読点(テン)「、」,欧文用のカンマ「,」とピリオド「.」,中黒,疑問符,感嘆符を指す。
    Cの選択肢のうち,パーレンが括弧類で,その他は区切り記号となる。

     D〜Fでは,もともと行頭禁則は,行頭に句読点を組むのを禁じた規則だが,他の約物の時にも当てはまる。
    括弧類についての問いだが,起こし(始め)括弧が「(」,受け(終わり)括弧が「)」であることがわかれば,明白。
    反復記号(「ヽ」「ヾ」「ゝ」など)も基本的には行頭禁則。一般的に記号や約物についても同様である。

     Gについて。分離禁止とは,その文字間に空きを入れたり,改行を行うことを禁じることを指し,行頭禁則とともに禁則の一種。
    分離禁止の対象となるものに3点リーダ「…」,2点リーダ「‥」,ダッシュ「―」,連数字「例:1999年」などがある。スラッシュ「/」はこの限りでない。

     H,Iについては,句読点,カンマ・ピリオドは,文書の種類によって,組み合わせを変えて混用されることが多い。
    縦組みでは,「、。」,横組みでは,「,.」「,。」「、。」を用い,和文の本文中に欧文がある時は「,.」,公用文では,「,。」が使用される。
     この組み合わせの使い方は,ハウス・ルールによることが多い。

    【模範解答】
    A.2 B.1 C.4 D.1 E.4 F.1 G.3 H.3 I.1 J.4


    【キーワード】
    文字送り(固定ピッチ,プロポーショナルピッチ),
    禁則処理,行ジャスティファイ,約物




問2 CIExy色度図

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
 CIExy色度図上で,印刷物とカラーCRTモニタの色再現域を単純化して概念的に示すと,下図のようになる。この色度図は,BvからGを経て(2)に至るスペクトル軌跡の内側にすべての色を置くことができる。 (1)と(2)とWを結んだ三角形の内側は単一スペクトルとしては存在しない[A.(1)黄 (2)緑 (3)灰 (4)紫]系の色となる。中心標準光源はW(白)から周辺に向かうほど[B.(1)濃度 (2)輝度 (3)明度 (4)色度]が高くなる。標準光源はW近辺の色度座標をとる。
 (1)の波長は約[C.(19280 (2)380 (3)780 (4)980]nmである。(2)の色は[D.(1)R (2)G (3)C (4)M]で,波長は約[E.(1)280 (2)380 (3)780 (4)980]nmである。
 印刷物とカラーCRTのモニタの色再現域を比較すると,下図に示した例では(a)が[F.(1)印刷物 (2)カラーCRT]で,(b)が[G.(1)印刷物 (2)カラーCRT]の再現域に相当する。印刷物は,可視光線の[H.(1)短波長 (2)長波長 (3)中間 (4)両端]域で表現レンジの制約が大きいことがわかる。


    【関連項目】
     色を定量的に(数値にして)表現することを表色系(ものさし,単位系)などといい,数多くのものがある。特に印刷業界でなじみが深いのが,CMYK(%)で,インキの網点の大きさ,その掛け合わせで色を伝えたり,管理する。

     またモニタ表示のRGB(ビット数)がある。ところが,カラーマネジメントの運用では,いろいろなデバイス間でのやり取り,比較,整合性を取るため機器に依存するCMYK,RGB(デバイスディペンデントカラー)では不都合となり,機器に依存しない共通の表色系(デバイスインディペンドントカラー)が必要になる。

     国際照明委員会(CIE)で,1931年にXYZ(Yxy)表色系が,76年にL*a*b*表色系が制定され,これらの表色系を使ってカラーマネジメントが行われている。

     カラーマネジメントでは,色彩計,分光光度計などによって測色され(濃度計によってCMYKの色濃度や網点を測定する),カラーマッチングなどが行われる。
    一般には,色差,明度をよりわかりやすくしたL*a*b*が印刷業界を始め,広く産業界で使用されている。

    【出題のポイント】
     xy色度図への理解を問うもので,図の個々の意味を覚えること。
     問題文中には,色の3属性の用語が出てくるのでその意味も理解すべし。
    同時にL*a*b*の概要(図B),カラーマッチングの仕組み,概念(次回取り上げる予定)も関連づけて押さえておくこと。



    【問題解説】
     CIExy色度図(図A)は,XYZの三次元の色空間(カラースペース)をxyの直交座標に表したもの。
     個々の囲まれた領域は個々の機器の色再現領域(ガモット)を表す。最も領域の大きい馬蹄形が可視領域,つまり人間の目で見える領域を表し,その線自身の軌跡をスペクトル軌跡という。
     領域内は中心部(座標 x0.33,y0.33)が白で,周辺部にいくほど色度(色相と彩度を示す)が高くなる。
     軌跡上の色相,各波長域については,図を参照のこと。(色関連の本にカラーの図がよく見られるので理解の手助けになる)

     Aは,単一スペクトル(線スペクトル)が存在しないことと,図Aにより紫となる。
     Bは,前文参照。C〜Eではスペクトル軌跡は(1)よりG,(2)の順でBv〜G〜Rとなり,各波長は380〜520〜780nmとなっていく。
     F〜Hでは,(a)(b)の色再現領域は,各々CRTおよび印刷物を表す。
     印刷物でのRGBの2次色(掛け合わせ)は,CMYの混合で作成されるため,(b)のRGBの頂点に向かう領域は大きく抑えられる。図より,RGBの頂点部分で最も圧縮されているもの(スペクトル軌跡から最も距離がある)がGであることから,可視光の波長域でみると中間域と制約が大きい,つまり表現できない色の領域が多いことを示す。
     モニタ表示と印刷物での色を比較した時に,実際に印刷物では再現できない色があることと同意。厳密には(a)(b)の色再現領域は,デバイス(モニタの種類,インキの種類,印刷条件など)によって異なり,ここでは概念図を示している。


    【模範解答】
    A.4 B.4 C.2 D.1 E.3 F.2 G.1 H.3

    【キーワード】
    色の3属性(色相,彩度,明度),xy色度図,可視光域,波長,
    色再現領域(ガモット),L*a*b*の概要(色差,ΔE,±a・±bの色相など)




(出典:月刊プリンターズ・サークル連載中「DTPエキスパート認証試験対策講座」 1999年7月号より)



(C)Japan Association of Graphic Arts Technology


HOMEJAGATについて