DTP豆知識(199908)
1999年9月13日
本コーナーでは,DTPDTPエキスパート認証試験に向けての対策講座をお送りします。JAGAT認証DTPエキスパート 福原節寿氏を講師に,問題のポイントや重要点を解説していただきます。試験勉強のご参考に,またはDTPに必要な知識の確認にご活用ください。 次回,第13期DTPエキスパート認証試験は2000年3月12日に行われます。詳細はDTPエキスパートのページをご覧ください。
問1 色名
次のABCのプロセスインキの掛け合わせで得られる色はどれか。[ ]内から最も適切な色名を選びなさい。また,説明文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
A.C20%+M20%+Y20%[A:(1)黄緑 (2)オレンジ (3)青紫 (4)グレー]
B.C80%+Y100%[B:(1)黄緑 (2)オレンジ (3)青紫 (4)グレー]
C.M70%+Y100%[C:(1)黄緑 (2)オレンジ (3)青紫 (4)グレー]
各インキメーカーや印刷会社から,平網を10%ずつ変化させたプロセスインキの掛け合わせを一覧表示したカラーチャートが出されている。しかし,この指定をしても,印刷条件,スクリーン線数,紙質などによって色が変わるので,注意が必要である。
平網の掛け合わせが多いほど,印刷時の[D:(1)発色が安定し (2)色が変わる可能性が高く],グレーは[E:(1)何らかの色味を帯びやすい (2)CMYのパーセントの値を同じにすると出せる]。
また,黄緑,オレンジ,青紫のような色は,[F:(1)プロセスインキ (2)特色]を使ったほうが鮮やかである。
また多色印刷の際に,前刷りインキの上に後刷りインキが転移していく状態をインキのトラッピングといい,トラッピングが悪いと[G:(1)2〜3次色 (2)補色 (3)三原色]の発色が悪くなる。トラッピングの良し悪しは刷り順でも変わり,その意味でも掛け合わせの色は[H:(1)影響を受けにくい (2)不安定である (3)鮮やかになる]。
【関連項目】
CMYKのプロセスインキは光の吸収が理想的ではなく,多少濁っていることは,おわかりのことであろう。
例えば,シアンインキの中にはマゼンタ成分が,マゼンタインキの中にはイエロー成分が含まれている。そのため,カラー印刷物を写真原稿あるいは実物に近づけるためには,刷り重なる部分の余分なインキ成分を調整しておくことが必要で,これはマスキングと呼ばれる。
同様にグレーを再現するためには,シアン,マゼンタ,イエローが等量では赤グレーになってしまう。そこでグレーを再現するためには,グレーバランスといわれるように,それぞれの量を調節しなければならない。
図1にあるようなグレーバランスをとらなくてはならない。これは,画像の入力作業,画像処理にも関わってくる。グレーとは,3色もしくはスミも含めた4色の掛け合わせの部分であるが,すべての色もこの掛け合わせによって表されている。
このプロセスインキの掛け合わせを,10%刻みの平網で一覧にしたものがカラーチャートで,ひとつの刷り見本の指針となる。
【出題のポイント】
印刷業界の人々にとっては常識であるが,各々のインキの掛け合わせによる個々の色の呼び方を問うている。カラーチャート,トラッピングがポイント。
【問題解説】
インキを掛け合わせた時に再現される色についての問いであるが,インキの掛け合わせはもとより,インキの3原色の減法混色から理解しておくこと。
Aでは,CMY3色等量なのでグレーである。ただし,厳密にはシアンが数%多くないとグレーではない。
Bでは,シアンとイエローで多少戸惑うかもしれないが,グリーン系になる。
Cはマゼンタとイエローで,これは想像しやすく赤系である。特に,マゼンタベタとイエローベタが金赤と呼ばれる。マゼンタとシアンでブルー系になることも理解しておくこと。
D,Eでは,掛け合わせ,刷り重ねが多ければ多いほど,当然色が変わる要素は多くなり,グレー部分はグレーバランスが崩れ,何色かを帯びてしまうことが多くなる。
Fは,プロセスインキの掛け合わせで再現できないような色に対しては,特別に調合した特色インキを原稿内容,印刷物によって使用することがある。
トラッピングとは,元来Trap(わな,しかけ)から派生した言葉である。
製版工程では,毛抜き合わせの部分に版同士で重なり合う部分,あるいはその部分を作成する処理を指し,目的は印刷時の見当ズレによる白線部分の発生を抑えることである。
印刷工程では,インキの刷り重ねの際,後のインキの受け量を指し,総インキ量が多いとインキ層は厚くなり,刷れなくなる。文意から多色刷りなので,Gでは(1)が適切。補色,三原色も理解しておくこと。
さらに指定のとおりにインキが転移しないのであれば,指示した色は再現できなくなるのでHは(2)となる。

【模範解答】
A(4),B(1),C(2),D(2),E(1),F(2),G(1),H(2)
【キーワード】
掛け合わせ,グレーバランス,プロセスインキ,特色インキ,トラッピング
問2 RGBとCMYBk
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
スキャナなどでカラー画像をサンプリングして電気信号にする時は,[A:(1)xyz (2)CMYBk (3)RGB (4)CIE]データを作る。そのため,この画像データをハードコピー出力するには,プロセス印刷の文色に変換しなければならない。しかし,光の3原色は,印刷では[B:(1)1次色 (2)2次色 (3)3次色 (4)補助色]なので,元のカラー画像と完全に同じ色合いを再現することは難しい。
元来,異なるカラースペース間の適切な変換に当たって,どのあたりにどれくらいの数の[C:(1)補色点 (2)参照点 (3)原色点 (4)原点]をとって変換するかについては,スキャナメーカーなどの経験的なノウハウが生きている。参照点が少ないと[D:(1)色のずれ (2)変換時間]が大きくなる。参照点が多いと[E:(1)色のずれ (2)変換時間]が大きくなる。
製版のドラムスキャナではCMYBk分解の標準カーブの設定を行っていたが,RGBスキャナのデータをCMYBkデータに変換するには,Photoshopなどでもカーブを設定できる。
分解カーブの設定で重要なのは[F:(1)濃度レンジ (2)グレーバランス (3)シャープネス]である。そのバランス比はスキャナメーカーやインキメーカーによって違うが,一般にYとMはほぼ同じ量なので,YM,C,およびBkという3つの色分解カーブを設定する。
網ポジの分解カーブでみると,YMの網点パーセントに対してCの網点パーセントは,中間部で[G:(1)10%ほど大きくする (2)±1%以内の差にする (3)10%ほど小さくする]。日本ではBkを[H:(1)スケルトンブラック (2)ミドルブラック (3)フルブラック]といい,C=50%付近から網点を入れ,シャドウ部で[I:(1)35%前後 (2)75%前後 (3)95%前後]の網点を入れるのが一般的である。理論的には,シャドウではCMYBk合わせて400近くになるが,実際の印刷では[J:(1)200 (2)300 (3)350 (4)390]くらいしかインキがのらないので,UCRやGCR処理をすると印刷が行いやすい。
GCRは,従来のスキャナで[K:(1)フルブラック (2)ミドルブラック (3)スケルトンブラック]と呼ばれたもので,カメラやオーディオ製品など全体が黒っぽいものに使われる。これらはYMCのバランスが多少崩れても黒に重点を置くので,[L:(1)ハイライト (2)中間調 (3)シャドウ]側からBkが入る。これら以外の普通の写真は,UCRを使ってシャドウのCMYが必ずグレーになるようにする。
画像データの入稿がRGBではなく,適切なカーブで分解されていないCMYBkの場合は,製版用スキャナで分解したものに比べて非常に汚く見える場合がある。
【関連項目】
DTPの業界で重要な技術のひとつとしてカラーマネジメントがある。
前回のCIExy色度図で取り上げたデバイスインディペンデントカラーを基本にして,各々の機器間でカラーマッチングが行われている。
各々デバイス上にあるデバイスディペンデントカラーのデータを,ほかのデバイスに変換するためにはいろいろな仕組みがあるが,一度共通のカラースペースにそれぞれのプロファイル(色変換の整合表,テーブルのようなもの)を通して変換し,その後各々のカラースペースに変換が行われる(ガモットマッピング)。
色変換のエンジンたるCMM(カラーマッチングモジュール,あるいはメソッド)とプロファイルによって,その変換の精度が決まる。
このようなカラーマネジメントシステム(CMS)の概要から理解をしておきたい。
【出題のポイント】
この問題では,CMSからさらに現実的に,RGBからCMYKへの変換について,スキャナの入力を例に色変換の理解を問う。
前問はインキの発色,刷り重ねに関してグレーバランスが問われるが,ここでは入力のセットアップ時の実際の数値が問われている。
【問題解説】
スキャナは,カラー画像を色分解フィルタを通して基本的に色分解を行うので,出力される色モードはRGBとなる。
スキャナによっては,その後の変換処理によって製版用にCMYK,Lab,Gray,2階調モードに出力できるものもある。
Aでは,最初の取り込み時点なのでRGBとなる。
Bは,単に呼び方の問いで,光の3原色のRGBは,印刷では一次色であるCMYそれぞれ2つの掛け合わせであることから,2次色。
Cは,カラースペースの変換(ガモットマッピング)のことで,通常プロファイルを元に変換するが,スキャナの場合,ハードウエア上で入力時に変換することもある。データの演算処理でフルカラーすべての色に対して行っていては,処理が膨大になってしまうので,いくつかのサンプル点,つまり参照点をとり,それを元に変換を行う。
D,Eにある参照点の数による精度と処理時間の関係は自明。
RGBからCMYKへの変換であるが,特にFにある分解カーブの設定は,前問にもあるようにグレーバランスのとり方が重要である。濃度レンジも分解カーブの設定と関連はあるが,後の文章よりグレーバランスであることはわかり,ここではシャープネスは無関係。
Gの分解カーブの設定は,個々の印刷条件によって異なるが,一般的にMYカーブが同一で,それに対してCカーブをハイライト側で約2%,中間で約10%,シャドウで約7%重くする。
H,Iでは,Bkカーブはいろいろなとり方があるが,形状はスケルトンで中間部より入り,シャドウは約80%程度に設定することが多い。カーブの形状ごとの呼び方と値は図1を参照。
Jのシャドウの総インキ量(ここでは,網点%の総和)は,4色ベタならば400%となるが,前問で述べたインキのトラッピングによって400%では刷れなく,350%くらいが目安となる。この値は印刷条件によって左右され,例えば新聞の印刷では300%以下にする。この総インキ量をコントロールする方法にUCRやGCRがある。
UCRとは,Under Color Removalの略で下色除去,つまりグレー部分(ハイライトの白からシャドウの黒)のCMYをバランスをとるために,グレー部分のCMYを個々にとることである。反対に,加えていくことをUCA(Under Color Addition)という。スキャナのセットアップ時に,グレーバランスを調整するのに便利である。さらに,グレー中のCMYの相当量をとり,Bkに置き換えることをGCR(Gray Component Replacement)という。グレーをBkで表すので,総インキ量のコントロール,グレーバランスを安定させる方法として用いられ,PhotoshopでもRGBからCMYKへの変換時にも設定できる。
K,Lでは,GCR時のBkのカーブの形状は厳密にはGCRの設定にもよるが,ここではBkを基調としてカーブはフルブラックで,ハイライトより始まる。
【模範解答】
A(3),B(2),C(2),D(1),E(2),F(2),G(1),H(1),I(2),J(3),K(1),L(1)
【キーワード】
サンプリング,標本化,量子化,1次色,2次色,3次色,補色,プロファイル,参照点,カラースペース,グレーバランス,UCR/A,GCR
(出典:月刊プリンターズ・サークル連載中「DTPエキスパート認証試験対策講座」 1999年8月号より)
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