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印刷白書['97→'98] =経営の正論=1999年5月10日
再びマイナス成長に戻った印刷産業1997年の印刷産業の売上は,1〜3月は消費税の駆け込み需要で前年比3%程度伸びた。しかし,4月以降は,仕事量は伸びたが,もう一段の価格下落で売上はマイナスを続け,'97年度上期では,前年比0.7%減になった。'94年末に景気の底をうって回復してきた印刷産業は,再びマイナス成長に戻ってしまった。この'97年度上期の売上減少は製版印刷価格の下落が原因だが,下期には仕事量の面でもかげりが見られ始め,売上前年比は10月が1.3%減,11月4.6%減,そして12月は3.8%減と,マイナス幅は深くなっていった。結果として,'97年暦年での売上前年比はマイナス1%程度になった模様である。 印刷品目別動向出版印刷物は,返品率が過去最高レベルまで上がり,出版業界は自転車操業的な経営の見直しが迫られている。商業印刷は,景気低迷にも係わらず広告宣伝活動が比較的活発だったので量的には増加した。しかし,競争の激化とともに価格の低下がもう一段進行し,売上ベースではマイナスになった模様。フォーム印刷は横ばいからマイナス,包装容器,特殊印刷は堅調に推移したようだ。外注費削減で利益確保'95年,'96年と印刷産業の景気は順調に回復してきたが,'97年度は下期以降からの景気の落ち込みが大きく,売上げ,収益性ともに低下している。このような情勢の中で,各企業は人件費削減を進めながら,短期的には外注加工費削減による加工高アップで収益性改善に努めている。ちなみに'96年から'97年で,対売上外注費比率は1.1ポイント低下した。 当の会社自身は,その対策によって売り上げは伸びなくても利益を確保できるが,今まで外注を受けていた企業は苦境に立たされることになる。オフ輪を中心とした企業において,その傾向が強まることが懸念される。 話題になったが迷いの多いCTP全世界のCTPの設置台数は'96年末の500台弱から'97年半ばで850台,'97年末では1400台強と見られている。このうち日本での設置は'98年3月で65台前後と見られる。現時点のCTPの技術的状況は,「迷わずに導入できるシステムはないが,迷っていたら導入できない」ということである。しかし,CTPは,中ロット以上の印刷物市場で既に始った,生き残りをかけた熾烈な競争に勝ち抜くための工場全体のリエンジニアリング戦略に位置付けられるものである。 いますぐ,CTPの導入を考えていない企業であっても,導入のための問題整理,導入の青写真作りは,もう始めなければならない時期に来た。 デジタル化の次にくるものデジタル化の次は,印刷・出版,そしてあらゆるメディアのコミュニケーションがe-ビジネスになり,業界にさまざまなインパクトを与える。北米では,今後3年の間に商業印刷物の2/3がネットワーク化され,業界の利益の50%以上が,インタラクティブなサービスからもたらされるようになる。これによって,トップ20%の企業のパフォーマンスが残り80%の企業に比べ5倍以上よくなる。つまり,トップ20%は儲けても,それ以下はぎりぎりで生き延びることになる。 競合他社に比べて5倍パフォーマンスを上げるには,3つの段階をクリアしなければならない。それは「新たな効率を得ること」「新しい能力をつけること」そして「新しい関係作り」である。 1兆3千億円を越えた印刷の融業化の規模非印刷産業で印刷事業を行っている企業数は,事業所ベースで600社,別組織ベースでの事業は,206社が341社の印刷子会社を持って行っており,その総出荷額は1兆3千億円を越え,印刷産業の出荷額の約14%にまで拡大している。印刷物を社内処理している企業の設備保有率をみると,デジタルカメラが20%を越え,イメージセッタも13.4%,デジタル印刷機の保有率が6.1%と,印刷のプロの業者と大差ないものになっている。印刷の世界のことを印刷産業内だけで論じることは出来なくなりつつある。 印刷の国際化内需産業の典型とも言われる印刷産業にも,国際化の影響はさまざまな面で現れてきている。各種産業の工場が海外に移転するのにともない,紙器やラベルシールなどの資材物印刷物の海外流失が増えた。印刷業自身が海外に進出することも続いている。1997年における印刷物の輸入額は1198億円で,前年比9.0%増で,この15年間で約2.5倍になった。国際化の影響は,このような印刷需要に直接関連することだけではない。例えば,日本の各種事業所におけるISO 9000の取得が3000件を越えるレベルになって,中小印刷業にもその認証取得の要請が顧客から出始める,といった形でも現れてくる。 起こりつつある業界の再編成工業統計のデータに基づいて,印刷産業の構造変化をシミュレーションしてみると,おそらく2005年あたりまでは,毎年1300〜1400ずつ事業所が減少するという結果が得られた。最近の北米の印刷業界において注目すべき状況は,企業統合の動きである。'96年には,'95年のトップ101社のリストに名を連ねていた企業のうちの8社が,吸収合併によってすでにリストから消えてなくなっている。米国の印刷市場の伸びは順調だが,競争環境は非常に厳しい。それは,日本と同様に供給力過剰状態があるからだ。 このようなM&Aの動きは,クイックプリンタの分野でも盛んで,フランチャイズがフランチャイズを吸収するような動きになっている。'97年に社団法人 日本グラフィックサービス工業会が行ったアンケート調査によれば,「合併や営業権売却に興味あり」という回答が24.1%あったという。過去には,アンケート項目としてあげること自体はばかられたと思われる項目に対する回答として驚くべき数字である。 (最新版のご案内はこちら) (C)Japan Association of Graphic Arts Technology |HOME|JAGATについて| |