JAGAT会員企業からの報告
JAGAT会員大会では,会員各位の情報交換を目的として,その年の経営状況を報告いただく新企画をスタートさせた。本年は変革期に対応したユニークな経営を展開をする4社が報告を行った。以下はその要約である。
ISO経営の実践に向けて
欧文印刷株式会社
企業の存在理由を理解する上で,経営理念は重要である。本年4月にISO9000の認証を取得したが,経営理念を軸として,価値観を共有するISO経営の実践を目指している。
この1年間50名以上の社員と合宿を通して議論した内容が,共通の価値観としてまとまろうとしている。さらに今年の経営計画書は,経営陣の経営基本計画に基づき,各部門が戦術計画を作成したことで200ページを超すものとなった。
検証できない計画は意味をもたない。ISOを勉強して体得した「PDCAスパイラルを回す」をキーワードにその成果を経営数字で示したい。
「最も古く最も新しく」異なる道を行く
カシヨ株式会社
長野五輪によって,長野の企業がすべて潤ったわけではない。五輪によるグッズ販売などでは,商店間にかなりの差が出た。その原因は在庫のリスクをおかしながらも仕入れるという積極的な自助努力を行ったかどうかにある。
地域性,商品性,バックグランドストーリーは別々であっていい。今年で創業107年だが,社是の「最も古く最も新しく」にあるとおり,他社がやらないことをやり続けてきた。他と異なる骨格をもち,自社しかできないことを作り上げていくことが先の見えない時代の生き方と考える。
素人集団,収益性の高い小さな巨人に
精巧印刷株式会社
食品スーパーのチラシを主力商品としているが,コストダウンのためにデジタル化した。利益を高めるには,未経験者,アルバイトを即戦力とする社内のデジタル化が必要と判断したからである。
1991年にドラムスキャナなどの設備導入を図り,1995年には版下部門の手作業を完全になくした。デジタル化によって, 変動費の補助材比率は7年前の4.5%が,昨年実績は1.1%。残業代は7年前の4800万円から昨年は1900万円となり,労働分配率は59%から50.6%に下がった。
現在,従来7〜10日を要したチラシの制作期間を3日に短縮するテーマと取り組んでいる。
顧客ニーズ,ビッグバンに対応した新しい経営戦略の実践
株式会社太洋堂
7年前にマルチメディア部を立ち上げ,「顧客が求めるのはデジタル技術を核にした目的別提案」というコンセプトのもとに,商業印刷を中心にデータベース,Webビジネスなどをマルチに展開している。
顧客のスピード化への対応,印刷界のビッグバンの中で生き残るために,全面的な組織改革,経営戦略を打ち出した。主な内容は, 組織のフラット化,損益分岐点売上高による目標利益の確保,マーケティンググループ設立,イントラネットの導入,遊休資産処分による総資産の圧縮,自己資本比率の向上,職能給から職務給へ,グループリーダー制による能力者抜擢。
印刷業全体でネットワークビジネスに対応できるのは20%といわれるが,生き残れるようにがんばりたい。
(プリンティングインフォメーション 1998年8月号より)
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