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地域密着型プロモーション活動を展開1999年7月5日
印刷会社に提案型営業が求められるようになって久しいが,実践できている企業はどのくらいあるのだろうか。SP(セールスプロモーション)を学び,顧客に企画提案する,それを自社の武器にした場合,広告代理店の機能をもった会社として差別化を図ることができるだろう。そのためには,プロモーション活動の実例をみていく必要がある。 今回は,さまざまなコミュニケーション戦略を支援している(株)ホンダコムテックの取締役宣伝企画部長の杉本与司郎氏に同社の姿勢を伺った。 変則的なハウスエージェンシー東京・港区北青山にあるホンダコムテックは,その名のとおり本田技研工業(株)のグループ会社である。本田技研工業では,もともと本社内に販売促進部(宣伝部)があって,プロモーション活動を一手に行っており,大手の広告代理店とパートナーシップを組んで事業展開していた。そんな中で本田技研工業のハウスエージェンシーを目指し1989年に同社が設立された。当初は10数名でスタートする。本田技研工業の販売促進部では,すぐさまコムテックに仕事を出すことはなく,関連の二輪車協会や自動車工業振興会,また販売会社の仕事が多かった。 ところが,ちょうどバブルがはじけた頃の1993年に,不景気の影響を受け車が売れない,リストラも企業としてやっていかざるを得ない等の状況に陥り,さまざまな見直しを図ることになった。 本社の販売促進部は販促課として規模を大幅に縮小しながら,マーケティング機能を残しつつコムテックに組織を移管した。現在では同社の社員数も110名を超えている。メーカーの宣伝部が別会社になったような形態である。 本社機構から外に出ることによって,今まで営業を通じて身内の話しか入ってこなかったものが,エンドユーザや販社に近い立場での企画提案ができるようになったという。営業サイドからの要望をきいていると,売らんがための広告作りをせざるを得ない。広告は確かに商品を売るための戦術であり手段でもあるが,また同時に,商品のコミュニケーションを通じて企業のブランドイメージの確立を意識することにもつながる。そのギャップを解消するためにも本社機構に組み込まれていたのでは発想の転換ができない。 同社は,本田技研工業の100%出資の関連会社であり,広告代理店であり,ある時はクライアントとして接する「変則的なハウスエージェンシーの形態をとっている」企業である。 ちなみに社名のコムテックとは,コミュニケーションテクノロジーの略である。 エリアプロモーションの活発化同じ広告宣伝物にしても統一的にできることとできないことがある。つまり本社コントロールによるエリアプロモーションの有効性を検討し,その結果,北海道から九州まですべて本田技研工業の各地区営業部と連動した形で,ホンダコムテックの各地区営業部を発足させた。同社のコミュニケーション戦略は,本社担当と各地区営業部担当に大きく二分できる。マス広告をはじめとする情報発信は本社で行い,商品を通じてのプロモーション活動は各地区ごとの特性に合わせて各地区営業部が行うのである。具体的には,ブランド作り,イメージ作りはTVなどのCMが有効で,青山の本社管轄である。各地区営業の店頭においては,カタログやチラシ類はもちろんのこと,フロアディスプレイ,POP,ポスター,のぼりなどさまざまな販促ツールを作成している。また販社の集客プロモーションやコンサルティングなども同社の地区営業部で支援している。 以前は印刷物等もすべて本社で一括生産し,各地区営業部に配布していた。だからチラシにしても地域の特性を無視した商品情報だけを基準としていたわけで,必ずしも各地区営業部や販社が望むものではなかった。そこで,各種キャンペーンなど地域ごとの営業活動に必要なツールの作成などは,各地区営業部に任されることになった。新製品の場合も,各地区営業部が本田技研工業の営業と相談しながらエリアごとのツールを作っている。従って,それぞれのエリアごとにチラシやDMを発注する印刷会社が分散している。 さらに,人が集まらないからチラシを作る,DMをまく,という考え方から,具体的な企画をメインに実際に店頭に出向いてくれる顧客のために,店の売り物の特色を明確にし,前面に押し出す積極的なプロモーション活動の展開へと変貌したのである。本社主導によるエリアプロモーションよりも販社のやる気を引き出させることに成功しているという。 取引も分散化グループ内でネットワークを組んでいるおかげで本田技研工業の情報は一番速く,一番詳細なものが入手できる。そこが他の広告代理店とは違うところで,販売支援を可能にする情報システム構築に取り組んでいる。膨大な印刷物を抱える同社だが,今のところプロデュース業務がメインで印刷物を内製化するところまではいっていないという。中途採用で人材募集をするときもデザインの経験者やDTPに精通した人を採用することもあるが,例えばカタログのデザインまでとなると,時間的余裕や人材を考えるとアウトソーシングしたほうがいい。 ただ,それぞれの地域に任せている関係上,地区の販売店などで配るチラシなどはスピーディに対応していく必要がある。そのために各地区営業部にもDTPができる人間を配置している。しかしその場合もフィニッシュワークまではやっておらず,最終的には印刷会社に任せているのが現状である。 本社と取引のある印刷会社は大手を含めて4社だという。すべて直取引で,本田技研工業の販売促進部時代から継続して4社が軸となっている。もちろん各地区ごとに発注している印刷会社が異なるので,コムテック全体としてみれば,印刷の絶対量は減っていない。一括生産すればコスト面でも手間ひまの面でもメリットはある。それを犠牲にしても各地区営業部ごとの戦略に任せていることでうまくいっているのだそうだ。本社で取り引きしている印刷会社にはやや厳しい話ではあるかもしれない。 インターネットの可能性を探るマーケティング戦略も同社の主たる業務のひとつである。単に調査をするだけのために行うのではなく,クリエイティブなものに生かすマーケティングをすべきである。そのためにはポイントを決めて効果的なマーケティングを行うことが必要となる。その新しい手段としてインターネット活用がある。HONDAの商品に関しては,コムテックでホームページの制作をしている。当然ながら本田技研工業との連携が密になる。本田技研工業では,ホームページのレスポンスによりマーケティングを行うNCプロジェクトという部門間プロジェクトが担当している。HONDAのホームページのアクセス数は,相当な数に上り,カタログ請求も膨大にある。それをただ見ているだけでなく,製品に関心のある見込み客の情報をフォローマーケティングするのもプロジェクトで行っている。 新しい形で再スタートしてから,いわゆる宣伝部の別会社組織という枠を超えて,地域に密着したプロモーション活動を展開していく同社のスタイルをひとつの事例として学びたい。(上野寿) (JAGAT info 1999年7月号より) |
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