Photoshopを用いての画像セットアップ
今回は,Photoshopを用いての画像セットアップの方法を富士写真フイルム(株)営業本部印刷システム部EIシステム技術グループ川瀬 智明氏の話から紹介する。
Photoshopによるセットアップ
カラースキャナのセットアップに相当する作業をPhotoshopで行うには,まずRGBで再現される点をLab経由にてCMYKの点に置き換える。入ってきたRGB値をLabの座標軸に変換し,それを置き換えてCMYKに吐き出す。
その間に,印刷インキ設定と色分解設定という条件があるが,印刷インキ設定は印刷インキのCMYRGBの色座標を登録して運用する。それに続いて色分解設定は,墨版の生成条件を決めていくものである。
印刷インキ設定メニューでは,幾つかの印刷のインキのデータが既に登録されている。カスタムメニューにはインキの色特性で,CMYとMY,CY,MC,それぞれの100%の色座標を濃度計,測色計で計った値を登録できる。これによりインキの再現できる範囲をアプリケーションに登録し,これをもとに色座標の置き換えを行っていく。
色分解の方は,UCR,GCRの設定を行い,グレー成分を墨に置き換える条件を決めるて変換テーブルを作り,最終的に出力するCMYKデータを作っている。
ディスプレイのRGBデータはCMYKの再現範囲よりも広い範囲の色を表示しているので,Photo-shopで変換しようとすると,標準の変換では再現できない色として色域外色が生成されてしまう。
RGB値の持つもう1つの問題として,RGB値の標準化がなかなか進んでいないので,データを作成した環境に数値が依存してしまうので,数値からは単純にその仕上がりを予測できない。
また,Photoshopではグレーバランスとかトーンカーブ,カラーコレクションという概念がなく,インキの色再現範囲からPhotoshopの中で,あるルールに基づいて相当するCMYの値に置き換えている。シャープネスは,倍率・解像度に合わせてデータ出しをして,セットアップの中で個別に設定することができる。
印刷インキ設定
印刷インキ設定では,評価光源の色温度は6500度になっている。カスタマイズ機能でユーザごとにデータを登録することも可能だが,測色をして座標を決めて登録して運用するのは,かなり難しいので,一般には標準的な条件である,プリセット値を使っていくことになるだろう。
ドットゲインは,50%の印刷物の印刷見本をモニタの表示と見比べながら合わせていく作業となる。グレーバランスも,印刷物のグレーを合わせるのではなく,モニタに表示された色,セットアップで変換された色の表示と印刷物との色味の合わせ込みで行われる。製版で言うグレーバランスとは異なる。
色分解設定ボックスでは墨版の生成とそのインキ総量の制限,設定をしている。Photoshopでは墨の生成が一番難しいと聞いている。グレー成分を一律墨に置き換えるという傾向があるようだ。
Photoshopの基本条件として運用できる内容は,印刷インキ設定と色分解設定で登録したものを色分解テーブルに登録し,処理の内容に合わせて呼び出して使い分けるものである。その他,トーン,カラーコレクションは基本条件という形には必ずしもならないが,個別のセットアップの中でファイルを登録したり,登録したものを呼び出したりできるようになっている。定型的なものや繰り返し変換が行われるものなら,条件を作成して登録して運用できるだろう。
簡単な設定
既存のレタッチソフトでもCMYK変換した後にいろいろなレタッチの機能を使えば,美しい色に仕上げることはできる。しかし,ウインドーを開いていろいろセットアップすると,簡単な画像を作るのにも時間がかかるので,非常に生産性が悪い。画質だけではなく,生産性にも現状問題を抱えている。
デジタルカメラ導入のメリットの中に,工程の短縮化,時間の短縮化がある。撮影してすぐにデジタルデータとなっているので,現像しないですぐにパソコンで使えるメリットがあるが,画像1点ごとにいろいろレタッチして使っていると,デジタルカメラのメリットをうまく生かすことができない。しかし,PICTUNEにはオートセットアップ機能があるので,ボタンを1つ押せば画像の調整が1点当たり10〜15秒でできる。マッキントッシュの演算スピードにも左右されるが,トータルの時間を合わせても,1分くらいで処理できる。
実際のセットアップ
Photoshopにはレベル補正機能があり,再現レンジの設定では,全体のRGB値の分布をヒストグラム化することができる。このヒストグラムを見ながらミニマムとマックスのところを調整する。
その他の方法として,トーンカーブでも再現レンジの設定ができる。スポイトツールを使って画像を見ながら必要なポイントに必要な網点%を設定する作業が行えるようになっている。
トーン補正の特徴は,CMYK圧縮そのものはトーンの役目ではないところが大きな違いである。初期条件ではリニア(直線)で表示され,その状態にどういう特性を与えるかという調整がこのトーンの機能になる。
色かぶり補正は,レベル補正またはトーンカーブ機能で調整する。ガンマ補正,RGBの傾きのバランスを調整することによる色味の補正や,それを簡便に行う方法としてグレーのスポイトを使うことができる。もう1つは,カラースキャナと同じようにカーブを表示してその特定の色版だけ,ゲインを動かすこともできるようになっている。
カラーコレクションでは,RGB,CMY,ホワイトブラック等の特定の色域を選択して必要なカラーバランスに補正する機能が用意されている。このときにCMYKにうまく置き換えられなかった色域外色の補正を行う。
倍率設定は,Photoshopでは実際にはあまりされていないようだ。スキャナのように2点間の距離から簡単に倍率を計算することができず,その計算式は難しい式になる。
Photoshopでのシャープネスは仕上がりの解像度や倍率,補間率に合わせて設定できずにシャープネスの品質を落とす原因にもなっているようだ。Photoshopで設定できるのは,コントラスト,アンシャープマスクの半径,しきい値,シャープネスをかける範囲,濃度差で単純に比べてもカラースキャナより機能的に少ない。この限られた機能の中でのリサイズや倍率補間で,仕上がり品質の劣化を招いていると思う。
Photoshopでの編集は,色の再現が広い範囲RGBのモードで行う方が効果的である。RGBからCMYKへの変換を行うことによって,色域外色が出て,正しく変換できないものが出てくるので,これを交互に繰り返していくと,誤差がどんどん出て,画像劣化が進んでしまう。さらに変倍とシャープネスのように,作業する順番が品質に影響を与えるものもある。この辺も注意が必要である。
これに対し,カラースキャナのセットアップは,実画像をその場でレタッチしているのではなく,これから変更しようとする条件の予約をしている。セットアップは予約なので,手順は関係なく,最終的にどういう絵を得たいかを,セットアップ用の材料として得たプレスキャン画像を用いて条件を決めていく。そして,最終的に1つのルックアップテーブルを作ってその中で一発変換するので,作業性や品質でも優位に立っていると言われる。
これまで主にRGBからCMYK変換について話してきたが,Photoshop自身はさらに豊富な機能を持っている。ファイルフォーマットの変換や色空間の変換。色空間は,RGB,CMYKもあるし,グレーやビットマップもある。それから,階調の補正,カラーの色味の補正,解像度の補正や切り抜き,合成,ピクセルコピー,シャープネスも含まれるが,特殊なフィルタ効果がある。
カラースキャナの比較ではRGBからCMYK変換についてはなかなか難しいという話をしたが,これはPhotoshopの豊富な機能の一部分を使った場合である。実際には,例えばCMYKからCMYKへの調子の補正,例えばトーンの微調整などもあるし,ピクセルコピーによる傷消し等,製版の現場で非常に有効であることも間違いない。(テキスト&グラフィックス研究会)
(出典:プリンティングインフォメーション 1998年10月号より)
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