コンテンツ流通の変革

アメリカではパソコンで使うクリップアートのビジネスが1980年代より存在する。IMSIのMasterClipsやBroderbundのClickArtがロイヤリティフリーで使えるものとして一般には有名だが、近年になってPublisher's Toolbox系のArtvilleのようにハイエンド向けのものも使われている。

一般向けが万という単位の画像の入った1枚のCD-ROMで50ドルくらいであるのに対し、Artvilleでは数十枚の絵で250ドルくらいする。Artvilleではイラスト作成者に題を出して、オリジナルを描いてもらい、それらをまとめてCD-ROMにして出版/デザイン関係に販売している。後日イラスト作成者は自分の絵を購入したところのメイリングリストを受け取り、自分でコンタクトをとることができる。出版社やデザイン会社が社内でイラストを作ると単価は数千円はかかるとアメリカではいわれるが、Artvilleは5ドル程度になる。

写真ではPhotoDiscがWebにも展開して成功している。オンラインで探す他に、低解像度のCD-ROMが40ドル程度で手に入って、そこからじっくり探すことができる。気に入った画像はダウンロードして買うことができる。

いまのところハイエンドのクリップアートなどは、そこからぴったり気に入ったものを探すためにあるのではないようだ。印刷物制作で締め切り間際になって、間に合わせなければならないとか、何か変更があってページの中に、あるいは表紙に何らかの埋め合わせをしなければならなくなった場合に、即決で作業が先に進められるところに意味があるといわれている。

従来のコンテンツビジネスをしているところが皆この方向にあるのではないので、まだサービスの機能と品質の要求が合わないことは多いだろう。だが何らかのきっかけで一旦これらを使う習慣ができたならば、さらに品質の高いものも供給されるようになるだろう。

コンテンツは「ナマ物」であり、古いものがたくさんあるだけではビジネスになりにくい。今日では新しいコンテンツが最初からデジタル化されつつあるので、それにCD-ROMおよびオンラインというコンテンツ提供チャンネルが組み合わされて、こういった流通で新たにビジネスをするところに自然にシフトしていくのかもしれない。

(出典:通信&メディア研究会 通巻104号より)

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