DTP豆知識(1998/05)
第10期DTPエキスパート認証試験は,1998年8月23日に行われます。本コーナーは,エキスパートを目指すうえで理解しておきたいDTPの技術体系を12テーマに分け,1年間にわたってDTPエキスパート 馬場幹彦氏に解説していただきます。試験勉強の参考にご活用ください。
問1 組版と文字の同異
1バイトと2バイトの文字コードの体系のどちらにも同じキャラクタが存在する場合がある。文字コードという符号は[1:(1)字体 (2)字種 (3)字形 (4)フォント]を特定し,フォントセットは[2:(1)文字コード (2)実装された形状データの集合 (3)字体]を指す。出力装置に送る文字の形状仕様を問題にするときは,各文字形状のことを[3:(1)レター (2)アウトライン (3)グリフ (4)フォント]と表現する。
「字体」は[4:(1)視覚化される形状 (2)筆画の組み合わせによる骨格 (3)文字セットの筆画デザインポリシー (4)同一概念を有する文字]のことであり,抽象的な概念である。
「字形」は[5:(1)視覚化される形状 (2)筆画の組み合わせによる骨格 (3)文字セットの筆画デザインポリシー (4)同一概念を有する文字]であり,フォントの形がこれに相当する。
「書体」は[6:(1)視覚化される形状 (2)筆画の組み合わせによる骨格 (3)文字セットの筆画デザインポリシー (4)同一概念を有する文字]であり,太さなどのバリエーションの集合である[7:(1)異体字 (2)グループ (3)クラス (4)ファミリ]を形成する。
異体字とは,基本的には[8:(1)字体 (2)字形 (3)書体 (4)字義]の異なる文字を指し,日本では当用漢字/常用漢字が示すものは[9:(1)正字体 (2)新字体 (3)旧字体 (4)俗字体]で,「沢,国,学」などである。一般に康煕字典に記載されている字体を[10:(1)正字体 (2)新字体 (3)旧字体 (4)俗字体]と言い,「澤,國,學」となる。両字体の間には中間的な略字が多くあり,規格票やフォントのバージョンによって字形にさまざまな揺れがあることから混乱させられることがある。あらかじめ字体/字形の再現にどのような要求があるのか知っておくことが必要であり,重要なことである。
解答と解説
1.(2) 2.(2) 3.(3) 4.(2) 5.(1) 6.(3) 7.(4) 8.(1) 9.(2) 10.(1)
「長島」と「長嶋」の「島」と「嶋」は,同じものを指している。同じ「字」なのである。漢字の変遷やその他の事情で併用して使われるケースが多い。字の意味するところは同じだが,形が異なる異体字はよく見られる。一方,「あ」と「い」は文字そのものが違う。これは字種が違うと言う。
字形は具体的な文字の形であり,グリフと呼ばれる。同じ「一」という漢字でも,長さが違えば,違うグリフである。字体が違えば当然,字形も違う。
問2 TrueTypeフォント
TrueTypeフォントの解像度制限の有無により,一般に高解像度での使用は[11:(1) MacintoshはできるがWindowsはできない (2)WindowsはできるがMacintoshはできない (3)MacintoshもWindowsもできる (4)MacintoshもWindowsもできない]。
ひとつのTrueTypeフォントファイルに,画面用の文字としてビットマップファイルがエンベッドできるのは,[12:(1)Macintosh (2)Windows (3)ATM (4)Type1]である。
WindowsのTrueType日本語フォントでは,等幅フォントの拡張子は[13:(1).ttf (2) .ttc (3).fix (4).thb]であり,Windows95/NTなどプロポーショナルのメトリックスもひとつのフォントファイルに持つものは,拡張子が[14:(1).ttf (2).ttc (3).pro (4).ttp]である。
Windowsで「.ttf」フォントを使うと1バイトの文字は半角固定ピッチになり,[15:(1)欧文の字間がうまく組めない (2)欧文がきれいに組める (3)カナがきれいに組める (4)欧文と数字の幅が異なる]。これはTrueType Collectionの等幅でも同じであるが ,「MS P明朝」などを選ぶと,[16:(1)同じフォントをプロポーショナルに組む (2)プロポーショナルの字形に差し替える (3)欧文フォントに差し替える (4)Type1フォントを使う]ので,欧文の字間のばらつきがなくなる。ただし,PDFや出力時にフォントの差し替えを行う場合は,文字配置が崩れて出力されてしまうことがある。
解答と解説
11.(2) 12.(2) 13.(1) 14.(2) 15.(1) 16.(1)
TrueTypeはWindowsDTPの進展とともに,重要性を増している。曲線表現についてだけでなく,Windowsで起こりやすい固定ピッチの問題などの仕組みを理解するための知識が求められている。
WindowsのTrueTypeには2種類あり,それぞれ,ttf,ttcという拡張子がついている。日本語部分の固定文字幅のフォントと,プロポーショナルなフォントも統一化したものに分かれる。MSゴシックなどは両方のフォント(MSゴシック,MS Pゴシック)があるので,ttcファイルに統合されている。プロポーショナル日本語フォントは,欧文部分だけがプロポーショナルになっている場合と,日本語のかなの部分もプロポーショナルになっている場合がある。
問3 CIDフォント
従来の日本語PostScriptフォントは,複数の1バイトフォントを合わせてひとつのフォントとして扱う方式で,漢字を含む日本語フォントは普通[17:(1)2 (2)数十 (3)数百 (4)256]ファイルの1バイトフォントの集合から構成される。
CIDフォントは中国語,韓国語,日本語などのマルチバイトフォントに対応し,1書体あたりの容量が小さくなるほか,構造がシンプルなため,メモリの消費も少なく,処理が高速化される。
CIDとはCharacter IDentifierのことで,CIDフォントファイルには文字の形状(グリフ)を記述した[18:(1)ビットマップ情報 (2)アウトライン情報 (3)字形パーツ (4)ヒント情報]が格納され,各グリフごとに[19:(1)OCF値 (2)CID値 (3)JISコード (4)区点コード]がつけられている。一方,CMapファイルには,78JISや90JISやシフトJISなどの文字コード体系(エンコーディング)とCIDとの対応が記述されている。グリフセットとエンコーディングを2つのファイルに分離することにより,[20:(1)コンポジットファイル (2)CMapファイル (3)1バイトフォント]を追加すれば,異なったエンコーディングに対応したり,同じ文字コードでも異体字を使用することが可能となる。
また,CIDフォントでは文字の詰め情報を保有でき,個々の文字の高さや幅によって文字間隔を調整する。
解答と解説
17.(2) 18.(2) 19.(2) 20.(2)
CIDフォントで重要なことは,テーブル方式によるデータアクセスである。CIDフォントでは入り口として,さまざまなプラットフォームで使われる文字コードを想定し,出口として多くの字種,字体,字形に対応する仕組みを実現している。
(出典:プリンターズ・サークル 1998年5月号「新・DTPエキスパート認証試験対策講座」より)
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