DTP豆知識(199810)
第11期DTPエキスパート認証試験は1999年3月14日に行われます。本コーナーでは試験に向けての対策講座として,DTPエキスパート 岸本正治氏に問題を解くうえでのポイントなどを解説していただきます。試験勉強の参考にご活用ください。
問1 PS版
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
PS版のPSとは[1:(1)プリプレスシステム (2)ポストスクリプト (3)プレートセッタ (4)プレセンシタイズ]の略で,通常,支持体に[2:(1)鉛 (2)紙 (3)アルミニウム (4)プラスチック]の薄板を用い,表面に化学処理を施して強度を上げ,また[3:(1)水 (2)油 (3)インキ (4)熱]を保つようにしている。
PS版はこの表面に[4:(1)乾燥剤 (2)保湿剤 (3)定着剤 (4)感光剤]を塗布して製品化したもので,フィルムを密着させて[5:(1)赤外 (2)紫外 (3)可視 (4)白色]光で露光し,自動現像機で現像する。
多くの場合,非画線部が水になじんで,インキの[6:(1)熟分 (2)ビヒクル (3)水分 (4)油]をはじく性質を使って画像形成をするが,非画線部にシリコンなどを使った水なし平版もPS版の一種である。
フィルムからPS版に焼き付ける際に,露光時間を調整して[7:(1)網点 (2)耐刷力 (3)色調変化 (4)濃淡変化]の大きさを変えることにより,校正と本刷りの[8:(1)網点密度 (2)印刷濃度 (3)色ずれ (4)ドットゲイン]の差の補正ができる。これを焼き度調整と言う。
【出題の分析】
CTPの出現で印刷版に変化が起きつつあるが,現在のところ,刷版の主流はこのPS版である。
【解法のポイント】
PS版はフィルムと同じ感光材料であるという認識に立つと,光の露光によって像を形成する仕組みを理解することができる。
【問題解説】
1. Pre-sensitizedとは,あらかじめ感光性を持つようにできている,という意味である。同じ理由で4は感光剤を選択する。
2. 支持体はアルミが用いられる。
3.6 オフセット印刷と言えば,通常は平版印刷のことを指すが,印刷する画線部とそうでない非画線部の高低差は約2ミクロンという,わずかなものである。それでもうまく印刷できるのは,画線部は親油性がありインキがのりやすいが,非画線部は親水性であり油をはじくという,両者の反発を利用しているからである。
5. 実際の焼き付けはPS版の上にできあがった原版を置いて真空密着させ,上から紫外光で露光させる。
7.8. 写真の現像と同じように,露光時間を変えることで原版上の網点の大きさを変えることができる。これを利用してドットゲインの差を予測した補正(焼き度調整)ができる。
【解答】
1.(4) 2.(3) 3.(1) 4.(4) 5.(2) 6.(4) 7.(1) 8.(4)
【重要用語】
PS版,プレセンシタイズ,非画線部,水なし平版,ドットゲイン,焼き度調整
問2 モニターの調整
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
加法混色型の装置であるディスプレイは[1:(1)黒 (2)白 (3)グレー (4)青]を基準としてすべての調整を行う。例えば,TVモニターの多くは色温度が[2:(1)2500K (2)5000K (3)9300K (4)12000K]であり,またパソコンのモニターは標準光源の昼光に近いが,いずれも印刷用としては青っぽい。印刷の色の評価には一般に色温度[3:(1)2500K (2)5000K (3)9300K (4)12000K]を基準にするが,厳密な色管理を必要とする作業には[1]を調整できるディスプレイを使うのが望ましい。
色の見え方は照明によっても変わるから,たとえディスプレイの色温度を正確に調整しても,室内照明などの外光が映り込むと,正確な色再現ができなくなるだけでなく,[4:(1)コントラスト (2)アスペクト比 (3)SN比 (4)クロック数]の低下をもたらし,表示イメージが変わってしまう。
通常のディスプレイは,普通の使用環境での色再現性が1か月程度は安定しているが,2〜3か月すると色や明るさが徐々に変化する経時変化が起こる。経時変化には輝度の劣化,フォーカスの劣化,出画時間の遅れなどがあるが,色再現にもっとも影響を与えるのは[5:(1)輝度 (2)フォーカス (3)出画時間 (4)周波数]の変化である。[4]の変化の最大の原因は,電子銃の中のカソードの能力低下で,それがRGBごとに異なるため,色のバランスが崩れる。これを補正するには,[6:(1)濃度計 (2)測色計 (3)ライトテーブル (4)色温度計]を使ってCRTの発光色を測定し,[7:(1)同期調整 (2)コントラスト調整 (3)キャリブレーション (4)キャラクタライゼーション]を行う。
【出題の分析】
モニターの調整は画像補正を含むDTPにおいては重要な前準備である。
【解法のポイント】
色温度の実際適応例として,色カテゴリーの知識と連関させておく。
【問題解説】
1. 加法混色,すなわちRGBの混合は白となるので,まずベースとなる白の調整を行う。
2. だいたい9300Kの色温度を持つものが多く出荷されている。
3. 印刷物の色評価の標準光源は5000Kである。モニターの設定には6500Kも使われる。
4. 外光や室内光の映り込みがないように注意する。他の光がモニターに当たると,コントラストは低下する。
5. モニターは時間の経過とともに発色などに変化が起きる。それを経時変化と言うが,色再現に直結するのは輝度の変化である。
6.7. 色のバランスを測色計で測り,調整を行う。このことをキャリブレーションという。
【解答】
1.(2) 2.(3) 3.(2) 4.(1) 5.(1) 6.(2) 7.(3)
【重要用語】
ディスプレイ,色温度,5000K,9300K,
経時変化,電子銃,カソード,測色計,
キャリブレーション
問3 PDF
次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。
PDFはPostScriptの[1:(1)グラフィックスの描画 (2)プログラミング言語的な (3)テキスト出力]要素を取り払って,表示のためのプリミティブなものを並べた構造であり,さらにフォントを置換するための情報や[2:(1)SGML (2)HTML (3)ハイパーリンク]機能などの補助情報を持っている。PDFでは,容量を小さくするために,テキストや円,四角などの[3:(1)ビットマップ (2)ラインアート (3)バイナリ]はLZW圧縮し,カラーイメージは[4:(1)JPEG (2)JBIG (3)LZW (4)ZlP]圧縮する。
PDFではフォントを含めた全オブジェクトが[5:(1)ディレクトリ (2)ドキュメント (3)ページ]単位でデータとして記述される。任意のぺージが独立したPDFであるので,ぺージ単位で差し替えが可能である。
文字コードは,Macintosh,Windows,UNIXそれぞれのエンコーディングが違うので,英語版のAcrobatでは,PDFに変換するときにPDF DocEncodingというニュートラルなエンコーディングに変換する。しかし,これでは[6:(1)94 (2)128 (3)256 (4)1024]種類の文字しか持てないため,日本語の拡張では,16ビットのCIDエンコーディングを基本にして,CIDに変換可能なエンコーディングの,83pv,90pv,90ms,Ext,Add,EUCなどをサポートしている。CIDはグリフコードで保存されるため,78JISを指定したPDFを作成した場合,受け取った側が78JISでないときは,Acrobat Readerにバンドルされているサブセットフォントの中から78字形のCIDコードを引いてきて,元の字形を再現する。
Acrobat Readerでドキュメントを見るときに,使われているフォントが存在しないとフォント置換を行う。日本語フォントは,最も近いフォントを選ぶために,フォントの[7:(1)バウンディングボックス (2)ヒント (3)エンクリプション (4)Panose]という属性値を使う。Acrobat Readerは,PanoseのテーブルがなくてもおもなPost ScriptフォントとTrueTypeフォント300種類ほどのデータベースを持っていて,自動的に参照して比較する。
日本語フォントでは置き換えを行うのは全角部分だけで,半角のプロポーショナル部分は,[8:(1)コンデンス (2)マルチプルマスター (3)長体]という技術を使う。足りない部分はAcrobat Readerにバンドルしている平成明朝と平成角ゴシックのサブセットフォントを使用する。
プリンタは表示の場合とは異なり,元のフォントがなければゴシックか,角ゴシック,丸ゴシック,明朝のどれかに置き換えてしまう。
【出題の分析】
インターネットの進展にともない,PDF(Portable Document Format)が注目を集めている。複雑なレイアウトを保ったまま電子配信できるフォーマットである。
ツールとしてアドビシステムズ社のAdobe Acrobatがある。
【解法のポイント】
まずDTPでのPostScriptの働きをしっかり理解しておく。そのうえでPDFの特徴をつかむ。
【問題解説】
1. PDFはPost Scriptからプログラム言語的な要素を取り除いたものである。
2. PDFはおもに次の特徴を持つ。
・PDFファイルにすることにより,作成したアプリケーションに依存しない。
・違うOS間での受け渡しができる(現在は制限あり)。
・見る側にフォントがなくても,近いフォントに置き換えて表示する。
・ハイパーリンク機能を持つ
3.4. PDFはDTPのような重たいデータも1/10〜1/40程度に圧縮することができる。
圧縮についてはテキスト/グラフィックは可逆圧縮のLZW圧縮で,画像はZIP,JPEGで行われる。
6. 欧文のエンコーディングエリアは1バイト(256表現)で充分だが,和文は文字種が多いので,16ビットのCIDエンコーディングが使われる。CIDは,さまざまな文字コードへの対応が容易であるという特徴をもつ。
7. Panoseの属性値というのは,WindowsのTrueTypeフォントに必ずついている属性値で,これにより最大16種類くらいの書体を区別することができる。まず書体を選び,それがない場合は近い書体を選ぶ。Macのフォントには通常,このPanose属性値がついていないので,Acrobatでは別に日本語フォント300種程のデータベースを持ち,対応させている。
8. マルチプルマスターフォントは幅,太さを無段階に調整できるフォントであるが,いまのところこの日本語フォントはない。
また,問題にはないが,欧文では基本となる13書体以外のフォントは,フォントのエンベッド(埋め込み)ができる。しかし,この点も現在のところ日本語フォントには対応していない。
【解答】
1.(2) 2.(3) 3.(2) 4.(1)or(4) 5.(3) 6.(3) 7.(4)
8.(2)
【重要用語】
PDF,ハイパーリンク機能,LZW圧縮,JPEG圧縮,Acrobat,Acrobat Reader,Panose,
マルチプルマスターフォント,エンベッド
【関連事項】
よくスキャナで出てくる濃度レンジのスペックは,そのスキャナが取り込みできる濃度幅のことで,最高濃度から最低濃度を引いたものである。図3の透過度の小数点以下の桁が多いほど濃度が高いように,濃度レンジとは濃度密度,すなわちどれだけ細かく濃淡を拾い上げるか,ということになる。
(出典:プリンターズ・サークル 1998年10月号より)
(C)Japan Association of Graphic Arts Technology
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