印刷ビジネスの課題を探る
−印刷業/一般企業のコンピュータ利用アンケートから−
編集部は全国の印刷会社から無作為に抽出した380社にアンケートを発送した(回収率30.3%)。また,クライアントとなる一般企業270社に対しても同様のアンケートを行った(回収率19.3%)。一般企業からの回答は,業種別にみると製造業からの回答がもっとも多く寄せられた。以下,金融・サービス,商業,広告・デザイン,運輸・流通,通信・コンピュータ,その他となっている。
アンケート結果は,印刷業とクライアントとなる一般企業を対比させながら紹介していく。
印刷業のトップは「情報データの有効活用」
コンピュータを利用する目的として,「A.報告・指示・決定伝達の迅速化,B.情報収集力の強化,C.情報データの有効活用,D.仕事の効率化・省人化・コストダウン,E.情報の共有化,F.新しいビジネスの創出,G.新しいPR・販売展開」の7項目を挙げ,もっとも重視しているものを3つ選んで順位をつけてもらった。中には順位をつけずに回答をいただいたものもかなりあるので,順位をつけたものと,順位に関係なく重要と答えた場合のものとに分けるとともに,合計を出した。
印刷会社がコンピュータ利用の目的として1位にあげた割合が高かったのが,「情報データの有効活用」となっている。以下,「効率化・コストダウン」「情報収集力強化」「情報の共有化」となる。
2位票でも「情報データの有効活用」がトップで,以下も「情報の共有化」「効率化・コストダウン」の順となる。
3位票となると「情報の共有化」がトップとなり,次に「新ビジネス創出」となる。
順位なしを含めた合計では,トップが「情報データの有効活用」,続いて「効率化・コストダウン」「情報の共有化」となっている。「情報データの有効活用」がトップであることは今後の情報化対応のベースであるが,気にかかるのは一般企業の回答と比べて「情報の共有化」が低い点である。イントラネットを含めた社内コンピュータ化のベース構築の遅れとみることができるのではなかろうか。
売上増加,市場拡大につながる「新ビジネス創出」は残念ながら合計で4位である。社内コンピュータ化を積極的な印刷受注,新ビジネス創出につなげることが,印刷ビジネスの課題である。
一般企業のトップは「効率化,コストダウン」
一方,一般企業でもコンピュータ利用の目的における合計の上位3つは印刷会社と同じである。ただ,トップは「効率化・コストダウン」となり,以下「情報の共有化」「情報データの有効活用」となる。また,印刷会社では合計で4位であった「新ビジネス創出」は6位であり,代わりに「報告・指示・決定伝達の迅速化」が4位となっている。これは長引く景気の低迷により,いっそうの効率的経営が企業の生き残りのために必要になっているからと思われる。
一般企業がコンピュータ利用目的のトップに「効率化・コストダウン」を掲げることは,印刷業にとってどのような意味を持つだろう。情報処理,文書処理の内制化,小ロット化など,印刷需要の縮小につながることが予測される。情報ソフト,ハードの今後の発展も予測に入れて,印刷業が得意先のコストダウン支援を視野に入れ,新たなサービスを創出するなど,ピンチをチャンスに変える積極展開がほしい。
(出典:月刊『プリンターズサークル』1999年1月号・特集「情報化の遅れを取り戻し先行する年に」より抜粋)
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