『大容量テープの最新動向と運用技術』

1999年4月12日


 デジタル化に伴い,サーバなどのデータ容量は増える傾向にあり,サーバの信頼性が重要になりつつある。しかし,突然のトラブルなどで,サーバ上のデータが消失したり,壊れてしまうケースも見られる。デジタル化を支えるためにも,サーバの信頼性向上は不可欠になってきた。
 そこで,今回の通信&メディア研究会のミーティングでは,バックアップの最新動向などについて(株)マクニカの浜口敦氏からお話をうかがった。

 データ損失の原因には,人為的ミス,ウイルス、システムの故障、自然災害などが考えられる。データの復旧には,莫大なコストと時間がかかる。
 今まで,データのバックアップにはMOディスクを使用するユーザが圧倒的に多かった。しかし、MOディスクでは、どのMOに何のデータがあるかという管理ができない上,容量も限られる。
 一方、磁気テープ装置は、1巻あたり数十GBの記憶容量を持つため,大容量化が進むエンタープライズ、画像処理環境に最適だろう。バックアップ市場では,今後有力なソリューションと考えられる。

代表的なテープバックアップ装置

 4mm Digital Data Storage(DDS)は,Digital Audio Tapeをデジタルデータ用に改良したもので,PC市場におけるバックアップ装置として業界標準である。
 Digital Linear Tape(DLT)は,もともとコンピュータ用に開発されたテープ装置で,容量が多い。ドライブ内部のテープの巻き込み角度が緩やかで、データの記録面にドライブのローラーが接しないために信頼性が高い。ハイエンドサーバやエンタープライズネットワーク用で急速に成長し,ミッドレンジ市場では先行すると言われている。オープンな製品としてOEM供給が進み,PCサーバの利用も増加している。
 8mmは,8mmビデオをデジタル・データ用に改良したもので,テープ装置としてはUNIX用で普及している。
 Advanced Intelligent Tape(AIT)は,最新の高速・大容量の小型テープ装置で,8mmテープ用の新規格として採用している。DLTと同じ,もしくはそれ以上の性能を3.5インチのフォームファクターで実現している。ドライブも非常にコンパクトで、デスクトップの筐体に入る大きさである。
 AITの特徴の第1は、新しく開発した蒸着テープA-MEを採用している点で,ヘッドの汚れの原因になる定着材を含まない。ダイヤモンド・ライク・カーボンのコーティングによって表面を常に乾燥させているため、磁性体のカスを容易に除去できる。第2は,ヘッドクリーニングが不要な点である。ドライブにヘッドクリーナー機構が搭載され,エラー頻度やモニタ装置によって自動的に作動する。第3は,Memory in Cassette(MIC)というメモリがテープに内蔵されているため,超高速アクセスが実現できる。MIC内部に,使用履歴や検索時間を短縮するためのログ情報などが保管される。
 Digital Tape Format(DTF)は,ソニーが開発したハイエンド・テープである。ヘリカル・スキャン方式を採用し、1巻の容量が42GBで,データ転送も最高速の12MB/sを実現できている。放送業界用に開発されたデジタル・ベータカム記録技術を採用し,信頼性も高い。また,テープ内部のスタート部分にファイルの構成情報を保持する領域を設けているため,高速な検索も可能である。
 データ記録方式は,主にヘリカル・スキャン方式とリニア方式の2つがある。それぞれメリットがあり、どちらがいいとは言いづらい。
 ヘリカル・スキャン方式は,テープ内部に2つのリールを持ち、片方のリールからもう一方のリールにテープが巻き付けられている。ドライブ部分が高速に回転して、1個のドラム上にある少数のヘッドで順に読み書きを行う。DDS、AIT、DTFなど,多くのテープに採用されている。
 一方,リニア方式はDLTに採用され,リールはカートリッジ内に1つだけである。2つめのリールはテイクアップ・リールと呼ばれ,DLT内部に存在する。テープのデータ記録面がローラに直接接触することはなく,多数のヘッドで高速に走行するテープに一度に記録している。

バックアップソフト

 バックアップソフトは,あらかじめ決まったスケジュールに従って,データをテープなどのデバイスにコピーを取るソフトである。
 バックアップソフトの導入にあたっては,まずサーバの使用環境が問題となる。各ソフトウエアで得意なジャンルが決まっているため,使用するOSである程度ソフトウエアは絞れる。
 バックアップの形態では,サーバ集中管理型が最も単純である。サーバにテープ,ドライブ,チェンジャがついていて,集中的にバックアップを行う。大規模な例では,クライアント/サーバ環境、分散ネットワークがある。クライアント/サーバ環境では、ネットワークの負荷がまず軽減され,サーバの処理が減るので、負荷も減るだろう。ただし、この場合でも管理者は1人になるため、管理や設定はサーバで集中制御を行うのが一番適している。
 次に、そのソフトが使用するデバイスに対応するかどうかも関係する。もし,チェンジャを使う場合は、その対応もポイントだろう。
 対応するフォーマットは,標準フォーマットと独自のフォーマットに分かれる。独自のフォーマットは,各ソフトで持つ。標準フォーマットの長所は、システムがクラッシュしても他のシステムで簡単に修復できる点である。一方,独自フォーマットはパフォーマンスが高い。ただ,時間があれば,標準フォーマットを採用する方が使い勝手がいい。
 第2に,操作性である。すべてのバックアップソフトは基本的にGUIを備えているが、使い勝手に関しては個人の好みもある。また,管理の容易さや自動化が可能か、手を加えるのかという点もポイントになる。また,GUIなどは日本語に対応しているものがベストである。WindowsNT版はほとんど対応しているが、UNIX版は日本語化がまだ進んでいない。
 第3の選択基準として、データベースへの対応があげられる。Oracle、SYBASE、Informix、SAP R/3を使う場合、24時間データベースを動かすので、オンラインバックアップに対応する必要がある。データベースを止められるならば、通常のバックアップでよい。
 バックアップの方法としては,フルバックアップ、増分バックアップ、差分バックアップと3つの方法がある。フルバックアップはすべてのファイルを毎日バックアップする。バックアップの時間は長いが、前日のデータに戻したい場合のリストアは容易である。増分バックアップは、データが更新されたファイルに限って毎日バックアップをとって,最終日にフルバックアップのデータを完成させる。バックアップにかかる時間は短いが、リストアが多少面倒である。差分バックアップは、フルバックアップを行った日から更新されたファイルをバックアップする。バックアップの時間は日ごとに長くなるが、増分バックアップよりはリストアしやすい。
 バックアップの容量や時間で,これらの方法を使い分けることが非常に重要だろう。(通信&メディア研究会)

(出典:プリンティングインフォメーション 1999年3月号より)


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