トピック技術セミナー特別講演要旨 
CTPおよび版材の動向 要旨クライアントの意識変化 要旨

トピック技術セミナー 講演要旨

CTPおよび版材の動向

JAGAT客員研究員
VSM-Japan代表 久米 正次 氏

1 はじめに

 DRUPA'95で多数のCTPがデビューしてから三年余り経過し、もはやCTPを抜きにした印刷は考えられなくなってきた。それに伴いCTPも、新しい出力技術を追及するというよりは、CTPを中心に据えたプリプレスと印刷工程を統合したワークフローの組み立て、特にCTPとCIP-3とを組み合わせによる印刷工程の合理化などに関心が移ってきた。
 40Wという大出力サーマルレーザー搭載のCTPが登場したけれども、市場では依然としてプレヒート対応のサーマル印刷版が主流であり、プレヒート不要の第二世代のサーマル印刷版はようやく市場に投入され始めたばかりである。現像不要のドライプレートはPresstek社のPearl印刷版の独占状態が続いている。
 出力機はドライプレートでも使いこなせるようになったけれども、印刷版の開発は遅れ気味である。この遅延がCTPの伸び悩みの一因とさえいわれている。今年9月に開催されたIPEX'98においてはOn Press CTP、即ち、製版システムを組み込んだデジタル印刷機、あるいは無版印刷システムが数多く展示され、技術的な関心は早くもそちらに移ってきたとの印象を与えたが、CTP出力機と印刷版に関しては問題を引きずったまま、On Press CTPに土俵を変えただけである。

2 CTP印刷版

 CTPにおける印刷版は決定的な要素で、印刷版の種類によりCTPの作業性、印刷性能、レーザー線種、CTP出力機、そしてシステムコストも規定されてしまう。
 CTP印刷版に要求される条件は以下のようなものであろう。

1 描画性能と印刷適性はPS版と同等のレベルであること
 現在のCTP印刷版の性能と作業性は数年前のPS版のレベルにある。200線程度の画像再現にはDIPT-830だけが合格といわれている。
2 現在の性能レベルでよいから、価格は絶対にPS版並にして欲しい。
 生産規模が違うという理由でPS版よりは三割高程度に設定されている。
3 大きな高剛性のアルミ印刷版を操作するので、明室作業性は必須である。
 市販されている印刷版で明室作業性が保証されているのはOPCとドライプレートだけである。サーマルは黄色ランプ下という限定的なものである。
4 環境保全への配慮
 フィルムからCTPへの移行は廃液処理を忌避する時代背景を無視できない。それで現像レスのドライプレートが究極の印刷版として期待されている。

 こうしてみると現在のCTP印刷版は第一項目を最低の要求水準でクリアした程度である。レーザーの問題を含めると、ユーザーの満足度はかなり低い状態にある。
 総合的なシステムコストを優先させるならば銀塩型、あるいはホトポリマー印刷版を採用すべきだろう。明室作業性を優先させるならばサーマル印刷版となる。
 上記三種の版の画像再現性能は殆ど差がないが、総合的なバランスで、DIPT-830がハナの差でリードしているといわれている。ショートラン印刷に徹底しているならばPresstek社のPearl印刷版も視野に入れてよいだろう。これが現時点でのCTPの選択基準である。印刷版を選択すると、CTPシステムまでが規定される状況が理解できると思う。
 CTPの導入にはデジタル化されたPrePressシステムが必須である。しかし、合理化マシンであるから、投資経済性、即ち、儲かる投資であることが、なによりも優先される。決して技術的なシンボルとして導入してはならない。

3 CTP出力機

 現在市販されているCTPは30種余りで、その約半数がサーマルレーザー搭載機である。一方、CTPの設置状況をみると、銀塩対応のCTPが五割近くを占めている。サーマルは約四割で、残りがホトポリマーとなっている。
 寿命は2000時間で価格は数万ドルというサーマルレーザーへの不満は大きいのだが、明室作業性、高速描画、優れた画像再現という長所によって、今後ともサーマルシステムはシェアを拡大し、数年のうちに50%を越えると見られている。その後に現像レスのドライプレートに置き換わるというのがサーマル推進派の思惑である。
 しかし、CTPがサーマルでおわりとは誰も信じていない。いま業界が固唾を呑んで見守っているのは寿命が数万時間という青色(波長:450nM前後)半導体レーザーの商用化である。このレーザーを搭載したCTPは10万ドルを切るといわれている。
 今後のCTPの主なユーザーは小規模の印刷業者になるから、これは大きな福音である。このCTPは銀塩、ホトポリマー印刷版を対象としているのだが、50mW程度の出力であれば、CTPユーザーの夢であるPS版への直接書き込みが実現する。DRUPA'2000には青色半導体レーザー搭載CTPが登場すると期待されている。

4 On Press CTPと無版印刷システム

 今年のIPEX'98ではOn Press CTP,即ち、CTPを搭載したデジタル印刷機、あるいは無版印刷機が展示され話題を呼んだ。ハイデルベルグ社のSpeedMasterDI-74、大日本スクリーンのTruePress、東洋インキ/ElcorsyのElcography-200などである。
 前二者は手堅い新製品である。それで市場性、即ち、デジタル印刷機、OnDemand印刷システム、高速プリンタといずれもショートランカラー市場に殺到しているなかでの住み分けが注目される。Elcographyは新機軸の開発製品であるが、それだけに、一味異なった市場展開が求められている。無版印刷システムはオフ輪市場への展開も想定しているといわれるが、Elcographyはどこを向いて進むのであろうか。

(C)Japan Association of Graphic Arts Technology
記事・写真の無断転載を禁じます。リンクについてはご連絡願います.


トピック技術セミナー特別講演要旨 
CTPおよび版材の動向 要旨クライアントの意識変化 要旨

JAGAT HOMETOP