成功者は2割以下!
--オンデマンド印刷アンケート調査結果--

1999年3月にJAGAT会員企業でオンデマンド印刷機を保有していると思われる企業およびWWW上でオンデマンド印刷を取り扱い品目・サービスとして掲げている企業177社にアンケート調査をした結果,55社の回答があった。以下にその調査結果を掲載する。
尚,調査対象としてオンデマンド印刷機を保有していると思われる企業を選択したが,結果としては,回答企業55社中のオンデマンド印刷機保有企業数は47社で,保有率は85.5%であった。

参考:アンケートの内容についてはこちらをクリックしてください。

設問1-1 貴事業所の業態をお教えください?

コメント:回答企業の75%が印刷会社で,次いでショップが14.3%であった。非印刷業企業の関連企業(インプラント)からの回答も3社あった。「その他」と回答した3社の具体的な業種は,「プリプレス」,「デザインと出力」,「特殊グラビア製版」であった。


設問1-2 貴事業所の印刷関連の社員数についてお教えください?

コメント:印刷会社からの回答が3/4を占め,回答企業の従業員規模は全体にばらついた分布になった。


設問3-1 お持ちの設備はなんでしょうか?(複数回答可)

コメント:今回のアンケート調査では,13種のオンデマンド印刷機を選択肢として掲げ,どの機種を保有しているかを聞いた。
結果を見ると,設備されているオンデマンド印刷機で最も多いのがDocutechで,保有企業数ベースでは60%強,台数ベースでも40%強の保有率になっている。次いで多いのがDocuColorで,保有率はDocutechの半分である。 上記2種に次いで保有率が高いのがQuickMaster/DIで,保有企業ベースでは21.3%,導入設備ベースでは14.1%になっている。
E-Printの保有は保有企業ベースで14.9%とQuickMaster/DIより小さく,一般に言われている保有率の順位とは逆になっている。その他の設備は,上記4種に対して非常に少なく,Chromapress保有企業からの回答はゼロであった。


設問3-2 最初の設備をいつから導入しましたか?

▼図1 オンデマンド印刷機の導入時期

構成比の分母はオンデマンド印刷機の保有企業(47社)

コメント:オンデマンドオンデマンド印刷機の導入時期はかなりばらついている。
最も保有率の高いDocutechの導入は29台中20台が,1996年後半からの導入になっている。初期段階に導入された7台についてはE-Printが多い様にも思われたが,7台のE-Printのうち4台は1998年での導入で比較的新しい。


設問4 オンデマンド印刷機の最も多い使い方をお教えください?

▼図2 目標にした使用方法と実際

コメント:導入時に狙った分野は,やはり「小ロット印刷」が圧倒的に多く,オンデマンド印刷機保有企業の90%以上がこの分野を狙った。逆に,ページバリアブルを狙った企業は1割程度と少なかった。実際はどうかというと,最初から狙ったか否かは別にして,オンデマンド印刷機保有企業の全てが「小ロット印刷」を扱っていることがわかる。 校正の利用については,当初の狙いとして設定した会社が3社あるが,狙いどおりに使っている企業は2社である。


設問5 仕事上でオンデマンド印刷機は全印刷物の中でどのくらい(例えば:売上げ等)を占めていますか?

▼図3 オンデマンド印刷での売上げシェア

コメント:当初の目標として10%未満を目標とした会社が最も多く,10〜29%が次いでいる。そして,29%以下で全体の80%強になっている。 現実には,10%未満のシェアの企業が55.3%で,目標よりも12.7%多く,逆に,10%〜69%のシェアの企業構成比が,目標よりも少しづつ少なくなっている。特に,51〜70%を目指した企業3社とも目標を下回ってしまった。 目標の売上よりも実際の方が高い会社は全体で4社,9%しかない。目立つのは,70%〜90%を目標にした企業で,2社とも小ロット印刷のみを最初に狙い,実際にもその範囲の仕事をしている。


設問5-3 オンデマンド印刷機の採算性はいかがですか?

▼図4 オンデマンド印刷の採算性

構成比の分母はオンデマンド印刷機の保有企業(47社)

コメント:オンデマンド印刷事業による採算性は,収支トントンの上下で見ると,マイナスとの回答が38.3%,多少利益もあるを含めて,利益が出ている企業は53.3%と過半数になっている。しかし,予想通りあるいはそれ以上の利益を上げたという企業は全体の17.1%で2割に満たない。オンデマンド印刷事業は,なんとか成り立っているが,期待ほどではない,という結果である。


設問5-4-1 導入してよかった点について

コメント:1/4の会社が,短納期対応,小ロットニーズ対応力が付いたとしている。次に多いのが営業的な効果があった,との声である。具体的には,「営業の切り口が増えた」「新規取り引き先開拓に効果がある」「受注先が広がった」「極小ロットカラー印刷が,企画提案によって造注できるようになってきた」などである。以外に少なかったのはコストダウンや生産性向上への寄与で,1%にも満たない。ただし,この効果は,小ロット対応力に含まれて回答されている物もあるだろう。
また,「新時代への先行投資等として意味があった」「事業転換に役立った」「技術能力向上,新技術対応ができた」など,先行投資的な意味合いを評価している回答が合わせて2割を越えている点が特徴である。
「技術能力向上,新技術対応ができた」の具体的な声は,「CTPの足がかり」,「ウインドウズに取り組めた」などである。内製化ができたとの回答の1社はインプラント,他1社は印刷会社からのものである。


設問5-4-2 技術的に困っていることについて

コメント:この結果で特徴的なのは,機械トラブルの問題や品質レベル,安定性などの問題指摘よりも高い率で,「特になし」との回答があることである。
「特になし」以外の項目で最も高い率の回答は,「印刷可能な印刷物仕様(サイズ,用紙)が限られる」と「メンテナンス費用,機械トラブルが多い」で,回答企業の14.9%から寄せられている。印刷物仕様の制約の内容としては「用紙の制約」と「サイズの制約」が各3件になっている。
「品質レベル,安定性」の問題も上記2つの問題と同程度の指摘があったが,その内容は「ベタ物でゴーストが出やすい」「インキ定着性に多少の不安がある」「トナーの乗りが悪い」などの他,「連続印刷する場合,ピッチ制度に問題があり,両面印刷ができない」といった指摘もあった。


設問6 オンデマンド印刷機を入れる(含む増設)予定はありますか?

▼図5 オンデマンド印刷機の今後の導入予定

コメント:オンデマンド印刷機未導入企業を含む55社全体では,導入予定なし,との回答が4割を越え,最も多くなっている。逆にすぐにでも導入する(1年以内に導入)との回答は4社(7.3%)でわずかである。 これを,既導入企業を未導入企業で分けてみると,未導入企業では,すぐにでも導入するという企業がない点が,既導入企業との大きな違いである。

(今回のアンケートによる詳細な数字及びコメントは研究会会報誌に掲載される予定です)

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