「印刷のFA化」

(Page98 コンファレンス内容要旨)

モデレータ

凸版印刷株式会社 生産・技術・研究本部
生産技術開発部 部長 小平 武雄 氏

スピーカー

・株式会社 金田機械製作所
取締役企画室長 金井 洋一 氏
・グンゼ株式会社 SOZ 事業本部
FAエンジニアリンググループ 主任 平賀 義広 氏
・日本経済新聞社 システム局
局次長 石渡 晨作 氏
・凸版印刷株式会社 総合研究所
情報技術センター製造システムチームリーダー
課長 柴山 勇二 氏

印刷現場の自動化は,まず印刷機械本本体からはじまり,以降,自動化のコストパフォーマンスの良いところから進められてきた。現在,オフ輪の機付人員は1.5人というレベルまで,自動化,省人化は進んだ。

自動化がなされていない主な部分は「巻取紙処理」と「スタッカーバンドラーから出荷まで」のオフ輪の前後工程である。とはいっても,この工程もかなりの自動化は実現されており,さらなる自動化は,相当な投資をしてもコンマ何人といった省人化効果しか期待できなくなりつつある。

つまり,自動化のコストパフォーマンスはますます悪くなる。しかし,工場全体が大掛かりな装置化をし,さらにジャストインタイムでの生産体制が要求されると,人間が介在するシステムは,それがかなり小さな部分であっても全体の効率を落としかねない,という視点が重要だ。

一般印刷が目指すFA化のモデルは,新聞印刷システムである。日経新聞は,カラー刷りを含めて40ページが標準で,地方版まで含めると多数の版があり,総部数は300万部である。
しかし,この印刷は,原稿締め切りから50分で始められ,あらかじめ決められた時間に,所定の部数で梱包,仕分けして指定されたトラックに積み込むという,まさにジャストインタイムで行われている。

新聞印刷の自動化の動機には,高賃金対策としての省人化などさまざまあるが,全国の読者に同時に同質の新聞を届けることが最大の競争力になるという認識が基本にある。
FA化は,この目標達成のためのジャストインタイムでの生産体制作りであるといえよう。

一般印刷でも,短納期要求が厳しくなってきているが,新聞印刷におけるジャストインタイムのシビアさに比べるとまだまだである。
「新聞印刷は印刷仕様が単一だから可能だ」といった声は,商業印刷分野でも,単なる短納期ではなく,ジャストインタイムでの生産が必達になった時には消えざるを得ないだろう。

以上のような生産体制作りにおいて,そのレベルがFA化に近づけば近づくほど,生産管理のネットワーク化された情報システムは欠かせなくなる。しかし,設備の自動化レベルに比べて,まだ基盤もできたいないというのがこの分野の多くの印刷企業の現状である。
最終的には,製造物の流れと情報の流れの時間軸を一致させ,「異常」と「工程」がリアルタイムで見えるシステムを作らなければならない。このシステムの構築に継ぎ接ぎは通用しない。インフラとしての,情報通信ネットワークの構築が急がれなければならない。

いずれにしても,これからのFA化は,総合的なエンジニアリング力がなければ達成できないだろう。

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