コンテント管理が鍵をにぎる
SEYBOLD SF PUBLISHING 98 会議報告 その9
Seyboldの配っているショウプリビューの最初にSGML/出力/スキャナ...という出品物のカテゴリ分けがしてあって、その中で最も品目の多いカテゴリは「アセッツ管理」で33社が出品している。昨年までこのような分類はなかった。実は2〜3年前からあるソフトもここに出てきていて、玉石混交のカテゴリが新設された。
このホームページでも最近はアセッツ管理は何度も採り上げているが、デジタルアセッツとかメディアアセッツとも呼ぶもので、近年になって毎年倍の伸びをしていて、今後4年は160%の成長が見込まれているジャンルである。日本でも名が知られているのはCumulusやMediaBankとかQuarkのQDMSかもしれない。
メディア利用の広がりはどの企業においてもみられる現象である。その対象は印刷物や社内文書だけでなくWEBもあり、また従来文書とは括られていなかった写真もビデオもオーディオもデジタルデータとしてコンピュータで扱われるようになった。
しかも、イントラネットのようなエンタープライズ・ワイドなネットワークが構築され、グループウェアなどが使われだした。それにつれてこれらのファイルが多様に使用されるので、管理の必要性が増大した。しかし、旧来の文書管理システムの能力は限定的なものでしかない。
今日では従来のデータベースも含めていろいろなコンテンツを扱わなければならないことや、さまざまなメディアの制作の自動化から配布の自動化までをしなければならず、文書管理の範疇を超えてしまっている。
デジタルアセッツの概念が決まっているのではないようだが、使用料金が設定できるような経済価値があるもので、内容は知的財産権の対象になるような資産的価値のあるものを指すようだ。従来の単なるファイル管理とは異なり、その情報の作成者、知的財産権、作成時の情報など、任意のメタデータが管理できるようになっている。
システムの中央にコンテントリポジトリを置いて、社内のあらゆる部門からイントラネットを介して共通に使うとか、エキストラネットでパートナーと共有するとか、WEB経由で外部にサービスするようなものである。メタデータの交換方法としてXMLが有望である。
北米で4番目に大きい印刷会社BANTAはソフトウェアの会社を買収してコンテント管理のシステムを作り、顧客のデータを管理するサービスも始めている。また社内の制作システムとしてもコンテント管理と、書籍/雑誌、商業、パッケージなどなど各印刷物の制作工程あるいはWEB、バリアブルプリント、CD-ROMの構築/サービス部門を分け、コンテントの共有化をしている。
従来ワンソースマルチユースとはいっても、コンテントの再利用には時間がかかり、作業の重複もあった。この情報管理の能力で差別化するしかないというのがBANTAの考えである。あるコンサルタントは、あるHTMLの1ページの内容更新やリンク更新を1年間するのに3万円かかるところが、データベースからHTMLを自動生成すると1年で2000円しかからないと計算した。
もっとも意識が高いのはコンテントの生成を主業務にする出版、エンタテイメント、放送などの業界で、既存コンテントの再パッケージ化で食う利益構造にしようとしている。内容のライセンシングやリプリントサービスなどはアセッツ管理を使えば簡単である。
その次はBANTAの主たるターゲットであるカタログ販売会社であり、既存の品目管理や受注システムとカタログ制作は別システムでリンクがなかったために、さまざまな作業の重複があった。カタログ販売はオンラインの取引きを急いでおり、コンテント管理による効率化とWEBへの展開を支援する。
発注者側のシステムと印刷会社のシステムをリンクすることで、印刷会社がやっていたカタログ入力を発注者側にまかせ、印刷会社はパーソナライズやWEBのサポート・サービスをするようになる。
HomeDepotという小売チェーンでは40万の品目を扱っていて、それらを一つのシステムにするところからマーケティング、カタログ制作までBANTAが引き受けている。農機具会社ジョンディアーにはWEBベースのオークションシステムやプリントオンデマンドのサービスをしている。ソフト販売の品目管理からクレジット決済までしている例もある。
BANTAがこのようなサービスを志してマーケットリサーチした時に、それまで持っていた技術とマーケットが必要としているものとにギャップがあることがわかり、自社の側をオープンシステムで作り変えた。ソフトのエンジニアは28人おり、Javaベースのアプリケーションサーバを主体にしている。
BANTAはコンテント管理のシステムを普通のUNIXとマルチティアのサーバ技術で実現しており、システム間のリンクを開発している。このスケーラブルでコンフィグラブルでデータベースやプラットフォームに独立なシステムをCentrusとして外販もしている。
イントラネット・エキストラネットと共に慣用句となった「サプライチェーンマネジメント」が、印刷に関するところでも意外に早期に実現してしまっているのを見て、心強くもあり、その実現への道筋があまりにも今までのビジネスと違いが大きいので、どれだけの印刷会社がついてこれるか不安でもある。
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