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これからの印刷ビジネスと社会的責任
〜契約・知財権・情報セキュリティ・環境対応〜
「印刷フィルム・印刷データは誰のもの?」
「この著作権って外注先のデザイナー?」
「御社のセキュリティ・ポリシーはあるの?」
「この包装紙は昨年より環境負荷は下がってる?」
ビジネスの中で突然前述のような質問に出くわした営業マンは適切な回答を持ち合せていますか。回答者はもちろん営業マンですが、会社としての回答を持たせていますか。これは経営の問題です。
■経営環境の変化
今日の急激なデジタル化とネットワーク化の影響を受け、印刷会社においてもその経営に大きな転機が訪れています。これからの印刷経営を考えるとき3つの大きな変化があります。
1.経営のスピードアップ
2.事業内容の変化、すなわちIT関連ビジネスの進展
3.コンプライアンスとリスクマネジメント
これらの3つは相互に密接に関連したもので、どれかを優先するものでもなければ、どれかが欠けてもならないものです。
経営のスピードアップについては、言うまでもなく、そもそも迅速に判断しなければ時期を逸す、またはビジネスチャンスをみすみす逃すといった、本質的な問題があります。一方、そのような迅速な対応が可能なように、生産面および管理面のデジタルインフラを整えることが重要となっています。
また、デジタル化とネットワーク化の進展は新たなビジネスチャンスの場でもあります。印刷会社においては、マーケティング的にはこれまで培ってきた得意先とのネットワークを生かし、技術的には従来から蓄積してきた画像処理技術や文字処理技術などの高品質な表現ノウハウを駆使して、ITを上手く利用したデジタルコンテンツビジネスなどに積極的に取り組んでいく必要があります。とくにこの世界は、印刷会社がやらなくても他産業からの参入やベンチャー企業によってビジネスは進展していくことでしょう。
一方で、このようなデジタル化とネットワーク化の光の面の裏側にある、さまざまなリスクを考慮する必要があります。特に法的なリスク、すなわち契約問題、著作権などの知的財産権問題、及び個人情報の保護を含む情報セキュリティ管理など印刷経営においてこれまであまり考慮されなかった問題について、今後は適切に対処することが求められます。リーガルマインドに基づいた適切な対処をとって初めて、デジタル時代に勝ち残れる企業であるといえます。
ことに3のコンプライアンス(遵法精神)とリスク管理は、印刷界の受注産業という体質から最も意識の希薄な部分ではないでしょうか。しかし、そのままの体質でこれからのビジネスを乗り切ろうと考えるならば、かなり危険な経営判断といわざるを得ないでしょう。例えをだすまでもなく、情報社会の進展とともに多くの法律がここ10年の間に改正もしくは誕生したことはご承知の通りです。自分たちのビジネスの方向性やポジションが時代とともに変化した、と感じるならば、それはもうすでにコンプライアンス(遵法精神)とリスク管理を強く意識した経営でなければなりません。当然経営者の意識はビジネスにおいて具現化させなければなりません。すなわち全社員への意識改革と教育が急務です。
印刷会社のみならず、一般企業において全社員教育として脚光を浴びたのが「環境教育」と「情報管理教育」であるといわれています。とはいってもまだまだ得意先による温度差は大きいと思われます。それはむしろ印刷会社のチャンスと捉えるべきでしょう。
■経営視点からの4つのテーマ
・経営視点その1−受発注管理
これまで印刷業界は契約書を締結して取引を行うという意識及び実態が他の業界に比較し決して高いとは言えない実態であったわけですが、得意先から取引基本契約の締結を求められたり、また下請取引では下請法にて義務づけられていることを鑑みると、これからは契約並びに契約書についての一定の知識と理解を持って適切な対応をとっていく必要があります。契約の中に必ず入り込んで来る、印刷版や印刷データの権利帰属と引き渡しの問題についても正しい理解と自社の経営戦略が必要です。
・経営視点その2−コンテンツ管理
企画提案型やソリューション型の事業展開を進めている印刷会社において特に注意すべき問題が、知的財産権の問題です。得意先向けのデザインやプログラムの作成にあたっては常に知的財産権を意識し、場合によっては得意先との間で知的財産権の取り扱いについての合意を得ながら仕事を進める必要があります。従って、印刷会社においては著作権を中心とした知的財産権の基本的な知識を有することが不可欠です。それは得意先との関係だけでなく協力外注先、あるいはクリエイティブ部門の社員との関係にも重要なことです。
・経営視点その3−情報リスク管理
さらに、印刷会社においては、得意先の情報をデジタルデータの形態で預かり、処理を施して引き渡したり、あるいは処理の代行をする情報処理業務が今後ますますウエイトが高くなると予想されます。加えて昨今のデジタルプリンティングとワンtoワンマーケティングなどの傾向により、預かり情報に個人情報が含まれることも多くなっており、個人情報保護法の成立もあいまって、その取り扱いに最大の注意を払う必要があります。印刷会社にける情報セキュリティと個人情報管理のあり方は大
変重要な経営テーマになりつつあります。
・経営視点その4−環境への対応
また、環境保護への取り組みは、社会全体のテーマであり、企業経営の姿勢が問われる問題です。デジタル化はある面環境への貢献でもありますが、環境対応を経営的負荷と考え後向きに捉えるのは間違いといえます。環境の後戻りは許されません。環境をいかにビジネスに貢献させるかの経営姿勢が重要で、エコガードとエコクリエイティブの両面からの実効的な施策を推進しなければなりません。そうなれば営業活動の意識も工場現場の意識も変化することは明らかです。環境の基本に関わる法令内容を押さえて得意先からの要望に対応できる営業活動でなければならないでしょう。
以上これからの印刷経営にとって重要な4つのテーマを取り上げましたが、印刷会社が、今後も持続的な発展を遂げるために、法令順守や環境保護に代表される社会的責任を全うするという観点に立って印刷ビジネスを展開していくことが重要です。なによりも得意先の大きな信頼を築くための経営インフラと考えてください。
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