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ソリューションビジネス成功の秘訣
〜従来の印刷営業とはここが違う!〜
林 嘉久 氏
(有限会社ジュッポーワークス 代表取締役社長)
中堅印刷会社を退社後独立し、大阪を拠点に(有)ジュッポーワークスを始めとする5社のグループ会社を経営する林嘉久氏に「ソリューションビジネス成功の秘訣」を聞きました。
開催が3月11日(金)に迫る関連セミナー「ソリューションビジネス成功の秘訣
」には、林氏も講師として登場いただきます。
印刷会社にとっての「ソリューションビジネス」とは?
パートナーシップが組める印刷会社と組めない印刷会社の違いとは? (取材・Printers
Circle編集部)
■印刷営業からから独立、データベースを基にソリューション提供
林)私は京都の中堅印刷会社を退社後、大阪で有限会社ジュッポーワークスを設立し、2004年の9月で丸10年が過ぎました。現在ジュッポーワークスとジュッポーグループ4社の合計5社を経営しています。
ジュッポーワークスは、今でこそシステム開発会社、ソリューションプロバイダーといった位置付けですが、当初は印刷会社出身ということもあり、印刷物の製作もしていました。
ただ、基本的には製作業務よりも企画・提案中心の企画制作会社として動いており、ちょうどそのころ、Macintoshパソコンの普及でDTPデータを手軽に出力できる状況になってきていましたので、一般企業に簡易DTPシステムの提案を始めました。
ある大手住設建材メーカーへの提案では、それまで各営業所が本社に発注していた工務店や住宅会社が使う販促物の制作に関して、前線の各営業所に各種デザインフォーマットの入った簡易DTPシステムを導入し、ポスターやチラシ、DMを簡単に制作し、必要な枚数、それも300枚までの少部数出力ができるシステムを提案しました。つまりDTP制作を受けるのではなく、DTPやシステムそのものを売り出したわけです。そのうちDTPがDBP(データベースパブリッシング)となり、弊社の提案もDBを使ってもっと簡単に、オンデマンドにパブリッシングできる新システムにシフトしていきました。
このDBPは、さらにDBS(データベースソリューション)とも言えるような、DBによるソリューションシステムへ、しかも今では販促物制作分野から、業務ソリューションにDB技術を使った業務改善DBソリューションシステムへと成長しました。弊社は、10年で100以上のシステムを開発・納品しました。
■従来型縦社会的「外注」「下請け」パートナーシップから脱却せよ!
林)印刷業界の方からすれば、パートナーシップは昔からなじみのあるビジネス形態とも言えるでしょう。例えば企画・デザインを他社にお願いする、製版や加工・製本の外注も、いわば見た目にはパートナーシップ的なやり方でしょう。
ただこの場合は、縦社会的な、いわゆる「外注」「下請け」という形です。印刷業界はかれこれ10年以上にわたって『大変革の時代だ』と言われ続けていますが、今まさしく『勝ち組』と『負け組』の差がますますハッキリしてきていると思います。
勝ち組として残った会社のあり方は、印刷物製作を主体としながらも、そこから派生する、あるいはその周辺分野での展開も果敢に行っている会社だと思います。印刷を単なる紙媒体の製作ではなくメディアを担っている情報産業として捉え、その産業という川の流れを川上にさかのぼったり、川下に下ったりして新たな市場を見つける。印刷物制作はデジタル化しているわけですから、例えば川上に進んで映像や音声を含めたムービー・動画分野へ、さらにはソリューションビジネスへ。川下へ下ってはいかに大量生産でいかに早くニーズにこたえるかという物流・技術面の革新、あるいは特殊加工分野への進出等々、そういったやり方も勝ち組への変革の一つではないかなと思います。
その際にパートナーシップは、従来の単一業種の仕事をリスクヘッジせんがための外注・下請けから、自分たちがもっていない技術やアイデア、あるいは拡販に際して自分たちでシフトしたり、獲得することができない新しい需要や市場に対して他社の力を借りる、また逆に与える。お互いに力を借りて、お互いに補っていくパートナーシップに変わってきました。
言い換えれば、パートナーシップが組める会社には当然ながらそれだけの技術なり、アイデアなり、市場なり、力なりがあり、自分たちにも同様のものがある。お互いのプラスになる『モノ』や『コト』がしっかりと見えていなければ、そう簡単にパートナーシップは組めません。50:50より100:100で、お互いが認め合いながら、ともにプラスになるように仕事をするのですから、決して今までのような仕事を与える、もらうといった考えではやっていけないでしょう。そのためにはお互いにパートナーシップ企業と呼べるような、相互メリットを作り出せる企業になることが必須です。
■寄り掛かり合いのパートナーシップはいらない!
林)もう一つは、パートナーシップを組んだ各社が、いわゆる烏合(うごう)の衆になってはなりません。本来パートナーとは、一つのターゲットあるいは目的物に対して、お互いの力を合わせて1の力を2にする、3にも5にもして向かっていくわけですから、そこでは自社の組織と他社の組織がぶつかり合うというより、融合していかなければなりません。そのためには、お互いに寄り掛かってのビジネスではなく、パートナーシップに加えてリーダーシップを併せもつことが重要です。自分にない技術やアイデアを他社にお願いするならば、当然その部分についてのリーダーシップは相手に任さねばなりませんし、逆に自分たちがリーダーシップを執るべきところはしっかり力を発揮して、お互いを補完し合うのです。パートナー先が力をもっているなら、たとえ会社規模的には小さな会社であってもリーダーシップを執ってもらい、お互いが真の信用・信頼の上で、仕事に応じて『主・従』の関係作りを明確にしたリーダーシップとパートナーシップを確立しなければうまくいかないということを理解していただきたいと思います。
■パートナーシップ成功事例・失敗事例
林)これまで数々のパートナーシップビジネスの中で、良いパートナーシップも悪いパートナーシップも経験しました。
4〜5年ほど前に、印刷業界の機材商社から、ITソリューションビジネスを新たに展開したいので、パートナーシップを組みたいというお申し出がありました。社員数約500名という、印刷機材商社としては大きな会社でした。東京・大阪のゼネラルマネージャーの方々とも面談させていただき、弊社のビジネスのあり方についてセミナーを開いたり、プレゼンテーションしたり、あるいは実際に納めた現行システムもご紹介するなどして、当社のノウハウをさまざまな形で提供したわけですが、残念ながら結果的には成功しませんでした。
一番の原因は、このパートナーシップがトップダウンで決まった話ではなかったということ。現場担当者のやる気だけではなく、権限のある役員あるいは代表者自身が、本当に次の新しいビジネスへのしっかりとした気構えをもち、それ相応のリスクを抱えてでもやろうという意気込みがなければ、パートナーシップビジネスはそう簡単に動かないということです。パートナーシップを組む会社は、この辺りの話し合い、コンセンサスをしっかりとつ付けておかなければ、後々トラブルの原因にもなります。金銭的なことや人の動きを始めとしたいろいろな事柄が絡まってくるので、事前の十分な話し合いが重要なのです。昔から「商売は始めにけんかをしておけ」と言います。後でああでもない、こうでもないと言うのではなく、始めにお互いが言いたいことを言い合うことが一番大事だと思います。
次に成功事例ですが、最近クライアントとのパートナーシップも多くなってきました。その一つは当社が長年、販促物作成システムや社内ネットワークシステムを納している住設建材メーカーです。こちらもほかの大企業同様、社内に全社のシステム管理・運営をする情報システム部がありましたが、3年ほど前に子会社になりました。今、この会社とパートナーシップを組んでいます。親会社である住設建材メーカーのシステム開発の一部を担っているとはいえ、当社は小資本の、5社合わせても社員数20名足らずの会社ですので、大規模なデータセンターを作り、サーバを管理するといった、サーバビジネスは一切しておりません。24時間体制の設備や人的体制が必要になるからです。そういうものについては、大手の資本力のあるところとパートナーシップを組んでお任せしたほうがリスクを抑えることができます。そこで今回も、もともと親会社の基幹系社内ネットワーク管理をされていたその情報システム会社とパートナーシップを組み、現在開発中の業務支援ポータルサイトのメンテナンスサポートを全面的にお願いしました。しかしシステム開発に関するリーダーシップは当社が取り、大元のクライアントに対して直接ヒアリングし、提案するという形で動き、非常にうまく、パートナーシップが機能しています。
また別の大手家電系の会社には、納めた製品開発進捗管理システムを非常に高く評価していただき、クライアントがじかじかにグッドデザイン賞を申請され、共同開発という形で受賞しました。これも良好なパートナーシップのたまものです。
さらに現在、電子カルテの推進が急務の医療分野のシステムにいくつか携わっております。一つは京都大学医学部の教授とパートナーシップを組んだ看護支援システムで、昨年12月には長野県のベッド数400規模の総合病院に初期導入します。さらに今後数年で電子カルテに向けて段階的開発を進めていくことになっています。ソリューションにはコンテンツとシステムが必要ですが、この場合コンテンツはその分野の専門家である教授側がリーダーシップを執り、当社はシステム開発でリーダーシップを執る。お互いの専門技術を認めあったこのパートナーシップもうまく機能して今に至っています。
■パートナーシップが組める会社、組めない会社の違い
林)現在、印刷会社とのパートナーシップは5社です。印刷会社出身のジュッポーの歩みが興味深かったのか、印刷会社からのご相談が多かったので、コンサルティング契約を結ぶという形で進めております。当社が提案する、Database
Ondemand Management Solutionの頭文字を取った「DOMSプロジェクト」は、ビジュアルデザインや制作に携わった会社、まさしく印刷会社だからこそ展開できる新しいITソリューションのあり方・進め方をお話しし、必要なノウハウを提供するプロジェクトです。
7〜8年前に始め、これまでに12社ほどの印刷会社とパートナーシップを結びましたが、そのすべてが成功したかというと、残念ながらそうではありません。先ほどお話したたような問題を含めてお互いにいろいろな事情があり、結果的には双方にとってプラスにならなかった場合もありますし、金銭的に回収できなかったところもあります。
現在も双方にメリットのある円滑なパートナーシップビジネスが続いているのは5社。そのいずれもトップダウンでお話が決まった、またはトップが深い理解を示し、腹をくくり、リスクを顧みない意気込みで始められたところです。印刷会社だけに限ったことではないのですが、トップも含め全社的にパートナーシップの意義・優位性を理解できる会社とは非常に実りあるパートナーシップが組めますが、担当者だけが必死で上層部の理解を得られない、あるいは逆にトップだけがその気で、実行部隊である社員が動かない、動けない会社とはパートナーシップを組むことはほとんど不可能と言えるでしょう。
■システムを作る技術だけでは、モノは売れない
林)印刷物を制作する仕事と、パートナーシップを結んだ新たなビジネス展開、例えば『ソリューションビジネス』には大きな違いがあります。印刷物は企業のあらゆる戦略の中の一つの戦術、あるいは市場で戦うための道具ですから、ある意味では経営、商品開発、営業などの戦略が具体的な形になって初めて必要になる前線ビジネスだと思います。
一方、システム開発・ソリューションビジネスには、クライアント企業の業務改善も含まれますから、実務のコンサルティング的な要素が多分に求められます。そういった点からすると、こちらは戦略本部・本陣での仕事です。印刷会社が企業の戦略本部で仕事をするには、それまでとは違った営業スタンス、提案スタンスをしっかり身に着けなくてはなりません。パートナーシップによって得た新しい技術に加えて、それを売るための技術が必要です。にもかかわらず「システム作りの技術だけ教えてほしい」と言う方が多いのですが、作る技術だけを得ても絶対に売れません。「売れる技術までトータルに身に着けないとダメですよ」と何回も申し上げるのですが、印刷会社の方にとっては理解し難いようです。
でき上がった印刷物を納めればよかったこれまでとは違い、パートナーシップから得た新しい技術を『売るための新しい技術』、つまりコンサルティング&プレゼンテーションの提案技術力が不可欠です。
これまでのやり方や考えを一新して、真っさらな気持ちで取り組むこと。主・従の立場をその場に応じて明確にしながらも、どちらかが一方に寄り掛かるのではなく、ともに与え合い、ともに大きくなる真のパートナーシップを身に着け、全社一丸となってリスクを覚悟で取り組むことが肝心です。そうすれば必ず新たなビジネスチャンスと大きな成果を勝ち取ることができるでしょう。
(Printers Circle 2005年1月号より 一部抜粋・編集)
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【関連セミナー】
※ジュッポーワークス 代表取締役 林嘉久氏がスピーカーに登場!
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■営業・経営幹部 必見セミナー!
ソリューションビジネス成功の秘訣
〜従来の営業活動とは何が違うか〜
主催・会場/社団法人日本印刷技術協会(杉並区和田1-29-11)
開催/2005年3月11日(金) 13:30〜16:40
ソリューションビジネスを成功させるには、従来の印刷会社の営業環境とは違った戦略、組織、人材が必要。事例をもとにソリューションビジネスを成功に導くには何が必要かを探り、ビジネスヒントにしていただききます。
●内容と講師
1.広がるクライアントと印刷会社とのギャップ-
講師/(有)ゲイン 代表取締役 杉山伸一氏
2.ソリューションビジネス成功の条件-
講師/(有)ジュッポーワークス 代表取締役 林嘉久氏
●参加費
JAGAT会員 12,600円 / 一 般 18,900円 (税込)
→→詳細とお申込はこちらで確認いただけます。
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