|
速報「社内誌白書2005」/会社と社員の結びつきが今回のキーワード
株式会社ナナ・コーポレート・コミュニケーション
ナナ総合コミュニケーション研究所
社内報の企画・編集・制作を基幹事業としている当社には、秋口から社内報の編集について問い合わせが頻繁にくる。
「4月に向けて社内報をリニューアルしていきたい」「新たに社内報を創刊したい」などなど。そこでよく出てくるものとして、リニューアルの場合は 「もっと人を取り上げる企画を立て、読者である社員にもっと読まれるものとしたい」、創刊の場合は「社員が多数登場する、社員を中心とした社内報を創刊したい」というものである。
なぜ、人が中心、社員が中心なのか。社内誌白書2005<速報版>からその辺を探ってみよう。
昨今、社員の意識調査を実施する企業が増えてきた。企業側にとって、社員の自社に対する意識の低さは、やがて企業の信用の失墜にもなりかねない危険性がある。だが、調査の結果は、長引く不況の影響で「個人の生活の安定」に重きをおかれたものであった。
中堅、中・小企業における2004年度新入社員の意識調査でも、「個の時代」を象徴する結果がみられる。「自身の目指す社員像は」という設問に対し、前年度トップであった「人間関係を大切にするタイプ」から、ゼネラリスト、スペシャリストを目指す「自己のキャリアを重視する」 傾向に移行しているのだ。
特に 企業のこれからを担う若い社員にとって、会社はスペシャリスト、ゼネラリストになるための場であり、企業の中の一個人よりも社会の中の『自分』が重視され、企業側の提案する「理念やビジョン」の浸透した社員は、残念ながら減少しつつあるのが現状である。
これらのことから、企業側は自社の経営理念やビジョンを反映しながらも、変化する時代にも対応した、わかりやすく具体的な指標を定め、随時社員に対して社内報を通じてPRしていくことが必要とされているからではないだろうか。
では、そのような現場感覚と社会情勢が、どのように社内誌白書に結果に現れてきているだろうか。『社内誌白書2005』の中からいくつかを取り上げてみてみることとする。
1.『社内誌白書2005』概要
(ア) 調査対象/日本国内の企業・自治体・団体
(イ) 調査方法/郵送調査(インターネットの回答あり)
(ウ) 調査期間/2004年10月〜12月
(エ) 有効回答数/287
2.回答企業従業員規模別データ
| 1〜100人 |
101〜300人 |
301〜500人 |
501〜1,500人 |
1,501〜3,000人 |
3,001〜5,000人 |
5,001〜10,000人 |
10,001〜20,000人 |
20,001人以上 |
無記入 |
合計 |
| 11 |
27 |
21 |
66 |
62 |
32 |
30 |
17 |
7 |
14 |
287 |
| 3.8% |
9.4% |
7.3% |
23.0% |
21.6% |
11.1% |
10.5% |
5.9% |
2.4% |
4.9% |
100.0% |
3.社内広報の目的 (複数回答)
社内広報の目的を各企業では、どのようにとらえているのでしょうか。
1.社内コミュニケーションの向上 88.2%
2.社内情報の共有 87.8%
3.経営方針の周知徹底 66.2%
4.会社の現況の伝達 59.9%
5.社員の意識改革 39.0%
6.組織の活性化 36.9%
7.会社の歴史の記録 33.8%
8.企業文化・風土の醸成 27.5%
前回の上位2項目「社内コミュニケーションの向上」、「社内情報の共有」が、それぞれ90%近くまでポイントを伸ばす中、「会社の歴史の記録」(前回27.0%)、「企業文化、風土の醸成」(同21.1%)が6%以上も伸ばしたのが特徴的である。
また、「勤労意欲の高揚」(同14.5%)、「愛社精神の養成」(同6.9%)も4〜5%伸びており、企業と社員の結びつきを強化し、そのあり方を問い直す姿勢がうかがえる。なお、前回大きく伸びた「自己啓発の促進」(同13.8%)をはじめ、「社員の教育研修」(同11.4%)「業務知識の涵養」(同15.6%)など個人の能力アップにつながる項目は、わずかながらだがポイントを落とした。
どの企業も、「タテ、ヨコ、ナナメ」の社内コミュニケーションを活性化しようと努力している様子が伺える。
既にご存知の通り、タテとは、組織の上下での情報流通であり、トップダウン型の経営情報や現場の動きをボトムアップで伝えることであるす。ヨコとは、部門間の壁を取り払う情報流通であり、ナナメは、部門を超え、上下の階層を越えていくことである。
そもそも社内広報は、どのように理解すればいいのだろうか。
境忠宏氏(現在淑徳大学教授)は、 「CI 計画ハンドブック理論編」(日本能率協会)の中に下記のように記している。
1.経営理念・経営姿勢・経営方針の伝達と理解・受容の促進
2.全社的動向、特に他部門の動向と現状についての相互理解の促進
3.業務情報及び職制による情報伝達の補完と促進
4.市場動向・競合動向・技術動向など外部環境動向についての情報提供及び解説による自己啓発・能力開発機会の提供
5.自社の社会的使命と役割及びその遂行活動や社会的貢献の現状の伝達による社員個々人の社会的役割確認の機会
の提供
簡単に言えば、従業員各層に企業理念を浸透させ、企業の目的や方向性を絶えず明示し、各部門でいま何が行われているのかなどの情報を可能な限り共有させることが重要であることとなる。
もっとシンプルに「何を、だれに、何のために伝えるか」という視点から考えてみると、例えば、いまはやりの社内報版「プロジェクトX」などは、成功事例を他の部署の従業員に、その部署でも実践して欲しいために伝える。ということが言える。
社内広報とは、それを伝える従業員に、なんらかの行動を促すことを目的として、情報を伝えていく、ということになるかと思う。
ただ、社内報に情報を掲載していくのではなく、その先の目的を充分に意識して、或いは逆に、その先の目的を明確にして、掲載する情報を選別していき、各メディアの特性を活かすこと。すべてのメディアを利用して伝えるのか、情報のすみ分けをするかなど、メディアミックスを考えることも必要となってくる。
4.重点を置いている社内誌の企画テーマは?(複数回答)
社内報に何を掲載するか、どんな企画を立てるか・・・
社内報担当者が一番に悩むところである。
重点を置いている社内誌の企画については、『社内誌白書2005』によると、下記のようになっている。
会社の動きの紹介 75.6%
経営方針の周知徹底 61.3%
社員の意識改革 36.2%
組織の活性化 31.0%
人間関係の円滑化 30.0%
趣味娯楽もの 22.6%
社員の意識の吸い上げ 18.8%
安全衛生意識の向上 15.3%
「会社の動きの紹介」から「人間関係の円滑化」までの上位5項目は前回と変わらず、しかし、トップ3の「会社の動きの紹介」(前回比−2.0%)「経営方針の周知徹底」(前回比−4.8%)「社員の意識改革」(前回比−3.7%)はそれぞれポイントを下げた。一方、「組織の活性化」、「人間関係の円滑化」は伸び幅はすくないもののポイントを上げており、社内広報の目的で88.2%を占めた「社内コミュニケーション」が社内誌のなかでも大きなキーワードとなっている。
では、社内報の企画を考えるには、どのようにしていけばよいのか。
その前に、社内報の編集目的が確立されているだろうか。ただ、毎月、或いは四半期一度、漫然と発行してはいないであろうか。
例えば、社内報を自社のコミュニケーションアップ誌としてとらえ
、
・情報を伝達、共有することでトップとミドルとボトムをつなぐ
・経営の中枢神経としての役割
・仕事や職場を紹介し社内への理解を深める
・個人情報を紹介し新たな輪(ネットワーク)を広げる
・個人の「気づき」「行動」のきっかけづくり
など、編集目的を明確にすることが必要である。
判断に迷ったときの判断軸となり、軸がぶれない社内報となっていくのである。毎号、軸がぶれるようだと、読み手である社員は、なんとはなしに不安になってしまう。社内の唯一の公式メディアに「ふらつきは」許されないのである。
その上で、自社の今期の経営課題も考慮しながら、今年度の年間のテーマを設定していく。その設定にもとづき、特集企画はある程度、毎号、仮でもいいので立てておく。
もちろん、その時々、仮で立てた特集企画より重要な事項が発生すれば、それを特集とすることもあるであろう。そこのところは柔軟に捉えていけばよい。
要は、いまなにを最優先で伝えなければならないかを考えればいいのである。
調査結果の上位3位までは、トップダウン型の情報伝達のようである。
それ以降に、「組織の活性化」「人間関係の円滑化」「社員の意見の吸い上げ」「趣味・娯楽もの」として、ボトムアップ型の情報伝達、社員参加型の社内報企画となっている。
トップダウンとボトムアップがほどよくバランスがとれ、双方、つまり、経営と社員の双方の主張がぶつかる、そんなコミュニケーションが図られれば、社内が活性化していくのではないだろうか。 (2005.4.4.up)
|
【関連セミナーのお知らせ】 2005年4月26日(火)開催
■クライアント動向2005シリーズ
どうなるWeb時代の社内報
〜制作体制の最新動向と印刷会社の役割 〜
社内報の企画・制作のサポート企業として定評のある(株)ナナ・コーポレート・コミュニケーション豊田健一氏に「数字で見る社内報の変化」と「社内報の上手な企画と制作」の2つの視点からお話を伺います。社内報への企画と制作サポート情報です!
JAGAT会員 12,600円 / 一 般 15,750円 (税込)
→ → →詳細とお申込は、こちらでご確認下さい。
|
→JAGATセミナーコーナートップへ
|