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第26回JAGATトピック技術セミナー 「特別講演」

ワークフロー管理システム(その1)

国際ワークフロー標準化団体 WfMC 日本支部代表
神奈川工科大学 情報工学科 教授
速水 治夫 氏

1.はじめに
 ワークフロー管理システムが業務革新の中核技術として期待を集めている。ワークフローとは,複数の担当者がネットワークを経由して仕事をする際に,作業を円滑に進めるために,担当者間で受け渡すドキュメントや情報の流れを管理し,自動化することである。
 ここでは,ワークフローの基本技術および標準化の動向を解説し,次に著者が提案しているインターワークフロー管理システムについて紹介する。

2.ワークフロー管理システムとは [1]
2.1 ワークフロー登場
 ワークフロー(Workflow)という言葉は,米国のファイルネット社が1985年にWorkFlo(TM)という製品を出荷した時に初めて使用されたといわれている。仕事の流れ(Flow of work)という言葉はあっただろうが,ワークフローという言葉はここから広まった。この製品は業務に使うドキュメントをイメージ・スキャナで読み込み,電子化した状態で担当者から担当者へ流していく。つまり,「ペーパーフロー」を電子的に自動化する製品だった。

 WfMC(ワークフローに関する国際標準化団体;3章参照)による「ワークフロー」の定義には,「ビジネスプロセス全体あるいはその一部の自動化であり,これによってドキュメント・情報・タスクが,手続き規則に従って,担当者から担当者へ引き継がれる」とある。ワークフローは「仕事の流れ」という意味ではなく,その自動化という意味である。ワークフローを実現するシステムがワークフロー管理システムである。

 WfMCによる「ワークフロー管理システム」の定義は,「一つまたは複数のワークフローエンジンの上で動作するソフトウェアにより実行されるワークフローを定義し,生成し,運用するシステムである。それは,プロセス定義データを解釈し,ワークフローの担当者と相互作用し,必要に応じてアプリケーションを起動する」とある。更に,「同時に,ワークフローの実行を監視し,その履歴を記録する」と付け加える必要がある。この,定義,生成,運用,監視,記録がワークフロー管理システムの5大機能である。

 以前は,オフィス業務アプリケーションを構築する際に,ワークフロー管理機能をプログラムロジックとして作り込む場合が多かった。このような業務アプリケーションの構築を容易にするため,ワークフロー管理機能をパッケージ化したソフトウェア製品がワークフロー管理システムである。ワークフロー管理システムでは,定義ツールにより,ビジネスプロセスを比較的容易に定義できる。これにより,全てをプログラムロジックとして作り込むより柔軟なシステムが構築できるようになった。運用開始後のビジネスプロセスの変更への対処も容易である。

 ワークフロー管理システムも発展しており,人間と人間のあいだの情報の流れの支援だけから拡大されている。「担当者」の全部または一部は,人間でなくプログラムの場合もある。WfMCの定義においても,「担当者 (participant)」はプログラムの場合も含まれる。この場合を,著者は「システム指向ワークフロー管理システム」と呼んでいる[1] [4]

2.2 ワークフロー管理システムの仕組み
 ワークフロー管理システムの機能構成をWfMCの定義[2]に基づいて紹介する(図1参照)

 ユーザーがワークフローを定義したものを「プロセス定義データ」と呼ぶ。ワークフローにおける作業の単位を「アクティビティ」と呼ぶ。プロセス定義では,アクティビティごとの作業内容,開始と終了の条件,担当者,関連するアプリケーションプログラムとデータなどを定義する。アクティビティ間の順序関係も定義する。

 このプロセス定義データを作成するときに使うソフトウエアモジュールが「プロセス定義ツール」である。アクティビティの実行順序,たとえば伝票の決裁ルートなどは,組織構造や人員構成に依存して決まることが多い。この組織構造などを表すデータを「組織/役割データ」と呼ぶ。決裁ルートの例でいえば,プロセス定義データに「担当者の次は上司」と定義しておくだけで,組織/役割データから具体的なルートを決定できる。

 「ワークフローエンジン」は,プロセス定義データを解釈して実行するモジュールである。ワークフローの実行を制御するために「ワークフロー制御データ」を使う。

 個々のアクティビティにおいて,担当者が実行する具体的な作業を「ワークアイテム」と呼ぶ。たとえば,決められた帳票にデータを入力することや,回ってきたドキュメントをレビューすることである。1個のアクティビティは1個ないし複数のワークアイテムからなる。

 実行中のすべてのワークフローに関するワークアイテムは,担当者ごとにまとめて管理されている。処理すべきワークアイテムを担当者ごとに一覧にしたものを「ワークリスト」と呼ぶ。アクティビティが終了するごとにワークフローエンジンは,プロセス定義データの内容に従って,次に処理すべきアクティビティの担当者のワークリストに,実行すべきワークアイテムを追加する。

 担当者に対する作業指示は,「ワークリストハンドラ」と呼ぶモジュールが出す。
 業務の担当者や監督者がワークフローの進行状況を知りたいときは,「モニタリングツール」を使う。ワークフローの実行記録を保存する機能もある。

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