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第26回JAGATトピック技術セミナー 「特別講演」

ワークフロー管理システム(その3)

国際ワークフロー標準化団体 WfMC 日本支部代表
神奈川工科大学 情報工学科 教授
速水 治夫 氏

4.インターワークフロー管理システム
 企業間での電子商取引(Business to Business Electronic Commerce)を実現する際に,企業間のビジネスプロセスを統合する有力な支援機構として,インターワークフロー[10] [11]が期待される。

 その実現には,各組織の異種ワークフロー管理システムを接続し,その上に業務連携を定義して実行することになる。その課題は2つある。
 第1はワークフロー管理システム間の接続プロトコルの標準化と実装である。
 第2は,複数の組織にまたがる連携業務を統一的に記述し,各組識毎のワークフロー管理システム上のワークフローに展開し,複数のワークフロー管理システムにまたがるインターワークフローを管理/監視するインターワークフロー管理システムの実現である。
 この内,第1の課題は,前章で述べたようにWfMCおよびベンダーにより実現されつつある。
 著者らは,情報処理振興事業協会(IPA)殿の支援により第2の課題を実現するシステムの開発と実証実験を進めており,ここに紹介する。

4.1 インターワークフロー定義の特徴
 インターワークフローにおいては,各組織の自律性,独立性確保のため,ビジネスプロセスの全ては互いに公開できず,組織間の連携に関わる部分のみを公開するという制約がある。
 このため,組織共通として連携の枠組みとなる基本プロセスを定義し,それを基に各組織で詳細プロセスを定義するというプロセス記述の階層化が必要となる。

 米国パソコン流通業界では,RosettaNetというコンソーシアムのもとで,主要なメーカー,部品メーカー,卸,販売店,運送,金融,更には巨大ユーザをも含めたサプライチェーンの大改造が進められている[12]。そのために,まずパートナー企業間のビジネスプロセスを洗い出し,非効率な部分を改善した新しい「パートナー・インターフェース・プロセス(PIP)」を作成する。その特徴は,企業間プロセスの標準化であり,各社内プロセスには手をつけないとのことである。著者らが提案しているインターワークフロー定義の考え方と同じである。

4.2 インターワークフロー管理システムの構成
 現時点での本システムは,組織間の連携業務を記述するインターワークフロー定義ツール,およびその定義データをワークフロー管理システムのプロセス定義データに変換するトランスレータから構成される(図3参照)

(1)インターワークフロー定義ツール
 グラフィカルな画面で,以下のデータを定義する。これらの定義データは,ワークフロー管理システム間の接続プロトコルが必要とする情報を全て提供する。
 @インターワークフロー・リソースデータ:
 各組織で個別に管理,記述すると誤りがちな相手の組織名,連絡先名,アドレスなどのリソース情報を集中的に登録,管理する。
 Aインターワークフロー・プロセスデータ:
 各組織で個別に連携動作を定義すると矛盾が生じやすい。かといって全ビジネスプロセスを一括して定義するためには,各組織の内部処理を公開する必要がある。そこで,本ツールで公開できる範囲の連携動作(基本プロセス)のみを一括定義する。

(2)トランスレータ
 上記のインターワークフロー定義データをプロセス毎に特定のワークフロー管理システム対応のプロセス定義データ(スケルトンと呼ぶ)に変換する。なお,各組織において,必要に応じてスケルトンに内部業務を追加定義して完全なプロセス定義データにする。

4.3 インターワークフロー管理システムの効果
 インターワークフロー定義ツールは,企業間ビジネスプロセス統合を行う際に,社間プロセスを検討し,合意するまでのドキュメンテーションツールとして使用できる。合意した社間プロセスを,トランスレータにより,直ちに各社毎のプロセスに変換して分配できる。

 インターワークフロー定義ツールを使用しなくても,各ワークフロー管理システムのツールのみで社間の連携も定義できるが,相互に矛盾が生じる恐れがある。連携規模が大きくなると,矛盾の解消に相当の時間を要すると考えられる。

5.おわりに
 ワークフロー管理システムが業務革新の中核技術として期待を集めてから久しいが,実際のワークフローシステムの構築事例が参考文献[14]に多数紹介されたように,日本でも定着してきた。 今後は,企業間での電子商取引の有力な支援機構としてインターワークフローが期待される。その実現のためには,広範なシステム条件にあったワークフロー管理システム間の接続プロトコルと共に,企業間のビジネスプロセスを階層的に記述する支援系が必要である。本資料では,ワークフローの生い立ちにさかのぼって基本事項を解説し,次に著者らが進めているインターワークフロー支援のプロジェクトについて紹介した。

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