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PAGE99 報告 その1

先端企業は意外に現実派

2月3日のオープニングセッションでは、アメリカの印刷会社BANTAのソフト開発/SI部門のポール・バイヤー氏と、通信サービス会社WAM!NETのクリス・ブリスト氏、オンデマンド印刷のコンサルティング会社CAPベンチャーのチャールズ・ペスコ氏が基調講演を行った。いずれもアメリカでグラフィックアーツビジネスのフロンティアにかかわるところであり、日本でも先進的な企業から200人ほどが聴講に集まった。

かつてこの種のイベントの目玉が夢物語を語るような大風呂敷話であったのとは異なって、いずれも現実にビジネスを展開している上での話が主であった。例えば最近流行の「サプライチェーンマネジメント」の話でもあるBANTAは、何度も「friction-free」といい、新システムを立ち上げ、運用する上で、摩擦のないプロセスに移りつつあることを語っていた。

それは既存のDTPやデータベースやWEBオーサリングなどのシステムをつなげて行くことと、そこに標準化された技術を使うことで、開発の投資回収が1〜2年でできる事例の話であった。既にある技術を使って、最小限の手間やコストで効率的なシステムを構築するエンジニアリング力が問われているのである。

WAM!NETは、この3年ほどのわずかの期間で、アメリカの出版/広告/印刷業界のデータ交換の標準の地位を確立した。もう電話会社があらゆるサービスを提供する時代ではなく業界ニッチなサービスが求められていると考えて、設置や運用が容易で従量制というグラフィックアーツ分野に合わせたことを始めて成功した。

アメリカでも大手の印刷会社は技術スタッフを擁して、顧客とのオンライン化などに取り組んできた。しかしオンラインのワークフローが特定の会社に限らなくなってくると、顧客ごとの通信サポートには手が回らなくなった。出版社にとっても広告/印刷など業務関連のある会社は何十にものぼるようになった。つまり業界共通の通信手段が必要になったのである。

WAM!NETはいつでも開始できるし、通信技術者をもたなくてもよいので、システム化の意思決定を短時間に行え、ビジネスチャンスにミートできる。利用者は社内をなにも変えずに最小投資でスタートできることが、競走上有利と考えられた。この先データ共有、EDI/ECなど、通信からみの課題は多くあり、通信システムが本業のシステム化の足かせになりかねない。通信を単純に外部サービス利用と割り切ったアメリカは進み方が速い。

プリントオンデマンドというと、どうしても今までできなかったパーソナライズ/1to1マーケティングに焦点が当てられるが、チャールズ・ペスコ氏はオンデマンドの発展段階の整理をしていた。最初はアナログコピーの代わりにDocuTechを使うような段階があり、次にコンピュータに蓄積された文書を必要な時点で取り出す「ジャストインタイム」がトレンドになった。ここまでは従来の印刷のアナロジーである。

今は次の段階で、仕事がネットワーク化し、PDFのように「配布して印刷」がトレンドである。印刷物が必要な場所で印刷される。この先に、データベースを元にしたバリアブルデータ/カスタマイズの印刷をする「パーソナライズ」のトレンドが来て、さらに先にはWEB経由で必要なものを必要な時に取りに行って手元でプリントする「WEB化POD」がくるという。

しかし現状でオンデマンドのビジネスを始めるには、新技術を振りかざしても意味が無いという。今の時点ではパーソナライズはプロモーション用しかない。あくまで「ビジネス応用」こそが売り物であり、どんなサービスへの応用がよいのかは業種業態によって異なる。自社の強みは何なのかを考え、また顧客のコアコンピタンスでないものをアウトソースするように仕向けてビジネスを拡大している例が多くある。

オンデマンド印刷という「打出の小槌」があるのではない。オンデマンドの今後の進展と、サプライチェーンマネジメントやネットワークは深く関連している。従来のサービスを深化させていく中で、さらに奥行きをもたらしているのがオンデマンド印刷であるようだ。

(C)Japan Association of Graphic Arts Technology


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