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PAGE99基調講演 第5回コンテンツマネージメントを実現するBANTAのCentrusBANTA Integrated Media社 Digital Content Management Solutions Lab ポール・バイヤー氏 1999年5月17日
アメリカにおけるソフトの会社の利幅は,およそ50から60%と言われている.一方,印刷市場におけるマージンは7〜9%に留まっている.BANTAにおけるデジタルコンテントマネージメントは,小さい部門ではあるが,利益の貢献度としてはかなり大きい.この分野に進出することにより,BANTAの株価が上がり,株主にとっての価値も高まる.一方,印刷会社は株価が下落する方向にある.このため,ソフトウエア事業に乗り出すことは非常に困難ではあるが,戦略的には優位に立てる. コンテンツマネージメントのメリットコンテンツマネージメントシステムの導入により,ページ生成の自動化など生産時間を短縮することができる.コンテントマネージメントが1つの基盤となり,会社が成長して売上を伸ばすこともできる.BANTAではコンテンツマネージメントシステムとして『Centrus』を提供している.この導入により,工具類小売業のホームデポは11カ月半かかっていたカタログの生産プロセスを2カ月半にまで短縮することができた.従業員には,データベースの使い方,コンテント管理の仕方を習得するための再教育訓練が行われた.従来の慣れ親しんでいる方法とかなり異なっている点があるからである.人数を削減し,短時間で作業を進めるために,データベースを使いこなし,新しい技能を身につける必要があった. ソニー,松下電工,東芝などのような日本の大手電機会社は,デジタルコンテントマネージメントソリューションに適しているところが多い.多くの製品を扱い,それぞれの製品に対するマーケティングプログラムを持つためである.中央でデータを管理する必要があるし,各所でデータを使うケースもある. ヒューレットパッカードなど大手メーカーのためにもコンテントマネージメントプログラムを構築している.製品のための販促物を更新することは,時間もお金もかかる作業なので,コンテントマネージメントを行うことによって,コスト削減を図り,制作時間も短縮できる. BANTAは,印刷会社あるいはサービスプロバイダーとして,大手企業に向けてオーサリングのプロセス,マーケティングのプロセスを提供することを実現している.このためには,従来と異なった技能が求められ,大手企業に対するコンサルタント役としていろいろな問題解決の手伝いをしていかなければならない.そうなると,さらに多くのサービスを提供していくことになる. ダイナミックな情報提供を実現印刷会社は,ただ単に印刷物を売って売上を伸ばす,という従来のビジネスモデルを崩さなくてはならない.広範なサービスを提供できる会社に移行していくためには,コンサルティング業務を通じて売上を確保していくことになる.アメリカの大手印刷会社は,まさにその方向へ向かっている.投信コンサルタントのフィデリティインベストメントは,これまで,何百万ドルにも及ぶ販促資料を毎月更新するため,古いものは次々に捨てていた.データベースを使ったプリントオンデマンドの実施により,使いものにならない販促資料を一切作らずにすむようになったという. アメリカの証券取引委員会では,投資信託を購入した顧客に目論見書を送付することを投資信託会社へ義務付けている.投資信託会社は,100ページ以上にものぼる資料の要約版目論見書を送る.10ページ程度なのでコストは低減できるが,目論見書のプリプリントをすると10倍ほどの能力を必要とする. したがって,賢明な金融サービス会社は,プリントオンデマンドで印刷してコスト削減をはかる.データベースから必要な情報だけを取り出して,1冊にまとめれば,ダイナミックな形で情報が作り出せる. 部門間の情報をつなぐCentrusCentrus(http://www.centrus.com)はオラクルデータベースに接続しているコンテンツマネージメントのためのアプリケーションサーバである. 印刷会社にアプリケーションサーバがあり,顧客がQuarkXPressを持っているとする.印刷会社には高解像度データが1箇所あるいは数ヵ所に管理されている.ここでは,QuarkのゲートウエイまたはWebサーバを介して,データベースへのアクセスすることが可能である.アクセス方法は3通りで,第1は直接データベースへアクセスするJAVAクライアントを使う方法,第2はQuarkXPressのXTensionを使う方法,第3はWebブラウザインタフェースを使う方法である. Centrusの大きな特長は,企業の中のさまざまな部門の情報を接続できることである.マーケティング部門をはじめ,宣伝部門,広報部門,顧客サービス部門などを接続し,しかもアクセスの方法は1つではない. 大手企業のシステム部門は通常,最初に製造部門を担当するバックオフィスのアプリケーションをおく.製品についての文書をつくるために,ERPのソフト,製品・データ管理のソフトなどのドキュメント管理ソフトを入れる. 次に,オフィス向けとして,販売,営業部門が使うためのアプリケーションがある.通常,販売を担当する営業部はベンダーに対してアウトソースする.ここで1番の課題はデータマネジメントシステムに入っている情報を,販売促進用などの印刷物を作成するため,広告代理店に渡すという点である. 問題はデータそれぞれが独立していることである.製品情報は,製造部門や販売営業部のデータベースの一部になっており,外部のベンダーに伝えるためには,データを組みあわせる必要がある.しかし,この作業は1つのプロセスの中にまとまっていない. Centrusのようなコンテンツマネージメントのソフトを使うことにより,インタフェースからドキュメントマネージメントシステムに直接アクセスできる.広告代理店やデザイン会社も,コンテントにアクセスができる.したがって,検討したり編集したりという流れが合理化できる. ニーズにこたえる多様な機能Centrusでは,(1)資産管理,(2)ワークフローの管理,(3)出版物の管理,がソリューションとして提供されている.コンテントマネージャ,セキュリティマネージャ,プロダクトマネージャなどがある.それぞれのモジュールがコンテントマネージャの方にプラグインされる.どのケースでも,ニーズ分析は必ず行われる.ニーズの分析の中でワークフローのボリュームを把握してインフラを検討する.ニーズ分析が終わった後で,顧客に特化した形のCentrusの構成を決めていく.複数の層を持ったアーキテクチャなので,次世代の技術と言えるだろう.分散型でコンテントサーバを置くことができる.コンテクストマネージャを使うことにより,索引づけや検索,ブラウジング,バージョン管理もできる.インタフェースを通して,すべてのTIFFイメージ,PDFファイル,QuarkXPressのファイルなどすべてをデータベースの中に登録することができる.データベースの中に登録した,データ資産は,複数のバージョンを持ち,各アセットについてのメタデータと属性をつけることができる.Centrusの中には,属性と関連という概念があり,関連づけされることによって,プロセスの一部は自動化できる. セキュリティマネージャはデータベースの中に入っているすべてのデータ資産のセキュリティを確保する.データ資産の役割と特権は,このセキュリティマネージャが定義する.例えば,システムにログオンしても,関係のない部署からはデータを見られないようになっている. パブリケーションマネージャはページ構成の自動化を行う.ページを作るプロセスの自動化を行う.例えば,QuarkXPressのページから自動的にPDFファイルを作ることもできる.TIFFファイルからGIFファイルも自動的に生成することができる. ワークフローマネージャは,1つのワークフローの中で,それぞれが果たすべき仕事や役割を通知していく.プロダクトマネージャは,非常に大量ないろいろな製品を分類していく. アドミマネージャ,ストレージマネージャは,物理的に別の場所にデータがあっても,それぞれのデータ資産の場所を追跡してくれる.オンラインストレージか,CD-ROMかということも把握している. 製品のスペック変更など,情報更新をする機能にはXMLを採用している.XMLはQuarkXPressと直接つなぐことができるため,Web上における配信に適している.QuarkXPressのページを自動的にアップデートすることができる.また,QuarkXPressのページデータを作成したときの元データがある,ビジネスシステムにつなげることも可能である. 検討中の機能として『プレスルームマネージャ』がある.プリントジョブに関する様々な設定をすることができる.ドット数やカラーインベントリーなどのスペックを管理する.また,別のビジネスシステムとのインタフェースをとる『カスタムインタフェース』も考えている. 現在,BANTAでは消費者向け製品のパッケージングに関心を持っている.パッケージを製作するメーカーは世界各地のプリンタを使うが,ブランドイメージも大事にしたい.パッケージングの色やプリントする場合のスペックを,世界中で統一することが必要になる.そこで,このシステムを使うことにより,そのプロセスのコントロールが可能になる. 印刷会社のビジネスチャンス対象顧客としては,およそ1億ドル規模の会社を最小単位と考えている.フォーチュン2000社くらいにリストアップされる企業である.5億ドル超のところを大手と考えている.ヒューレットパッカードは400億ドルの規模である.アプローチ方法としては,第1にディストリビューションパートナーとして手を組むという方法が考えられる.製品の再販を行い,インプリメンテーションの手伝いをする.第2は自分でインプリメンテーションを行い,顧客に対してサービスとしての販売を行う.BANTAで顧客のコンテンツを管理して,顧客はBANTAのデータベースにアクセスをすることができる. ただし,どれくらいニーズがあるのか,いくら投資をすればいいのか,いつまでにどれだけ回収しなければならないのか,結局顧客が何を求めているかということで判断される. 新規の事業として着手するということであれば,大規模なシステムインテグレーションが求められる.あるいは,インテグレーション部分だけを手伝ってもらう提携先を見い出すことも考えられる. 実際にビジネスチャンスがあるのは顧客のデータ管理ビジネスではないか.システムインテグレータやコンピュータ会社,リスト管理の会社はすでにサービスを着手しているが,グラフィックアーツ分野でコンテントの管理を行っているところはまだ存在しないという点も魅力である. Centrusシステムの費用は,フルシステムで20〜30万米ドルである.大型システムの実績はホームデポ1本である.始まったばかりのため,まだ積極的に営業を展開していないが,1999年の計画では1000〜1500万ドルを目標としている. 1日8時間のシフトで,例えば3倍のページ数を刷ることができるところは,それができないところに比べて,より多くの利益を上げられるだろう.結局,生き残れるかどうかは,効率を上げながらコストを押さえ,利益を伸ばしていく方向しかない. (通信&メディア研究会会報 通巻119号より) (C)Japan Association of Graphic Arts Technology |HOME|JAGATについて| |