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印刷会社におけるチラシ効果測定サービス

小売・流通業は印刷会社に対して,高品質の印刷物を納期どおりに制作するだけでなく,「売れるチラシ」を作るためのパートナーシップを期待している。
テキスト&グラフィックス研究会では,高田印刷の高田裕彦氏に印刷会社によるチラシ効果の測定サービスについて話を伺った。

チラシの効果測定とは

昨今の消費の落ち込みや競合の増加により,流通小売業では売上がダウンしている。流通小売店,量販店の場合,新規出店で売上をカバーするのが常套手段と言われている。店舗の数が増え大型化すると,集客すべき顧客の数も増えるので,チラシ部数そのものが増加する。
印刷会社にとってはありがたいが,部数が増えてもその分広告予算が増えるわけではなく,売上総額の何%という上限が決まっているのが通常である。さらに,小売店の売上あるいは利益そのものが低下する中で,真っ先に削られるのが広告予算である。店としてはチラシをたくさん撒きたいが,予算がかけられないという状況にある。それが,印刷会社にコストダウンという形で突きつけられてくる。さらにチラシの費用対効果を高めるには,売れる商品を載せて,効果のあるチラシを出さなければ意味がないということが,効果測定を行う本来的な意義である。

ほとんどの流通業のクライアントは,チラシの効果を,来客数や各店舗の売上等で丼勘定的に判断し,その数字を見て一喜一憂している。
今回取り上げるクライアントは,これをシビアに管理し,商品1点ごとにデータをすべて取っている。チラシのレイアウトに即して数量・金額を表示し,直感的な判断ができるようにし,緻密な数字も出して,以降のチラシ制作に結びつけている。チラシ1枚の面積計算も行っている。ここの部署はチラシの面積の何%を使ったので,経費はいくらで,売れた数はこれだけである。金額としてどれだけ効果があったか,シビアにやりとりをしている。

広告宣伝の担当者にとって,効果測定は大きな意味がある。実際にチラシを制作し,効果測定を繰り返すことによって,データの蓄積ができていく。これは印刷会社にとっても重要な問題だが,商品の掲載位置やデザインが売上に及ぼす影響も,このシステムでは検証できる。この辺も効果測定としては非常に重要な要素になっている。

効果測定として提供しているデータ

(1)チラシ紙面に対応した販売実績(ビジュアル版)
(2)売上金額トップ50アイテム
(3)価格帯別販売実績
(4)部門別販売実績
(5)チラシコーナー別販売実績
(6)過去5週の販売実績履歴(商品単位)

2番目以降は,Excelデータとして提供しているので,印刷会社らしいのは,ビジュアル版である。これは,以前からクライアント内部で人手によって作成していた。チラシ紙面に販売実績のPOSデータをシールで貼り,売れたものには赤いマーカーを付け,売れないものは青いマーカーを付けるというようなことを手作業でやっていた。当然,非常に時間がかかり,3ヵ月,4ヵ月遅れでようやくできてくる。せいぜい前年実績でどれくらい売れたかを見る程度であったということである。

高田印刷では,セール終了2日後にはデータを提供しており,次回のチラシの計画段階でもこの結果を反映できるようになった。
しかし,効果そのものの判断の難しさが,クライアントの問題点として挙げられている。チラシのレイアウト以上に,天候がどうであったか,競合店のセールがどうであったかといった外部的な要因によって,売上げや利益は大きく変動する。チラシが売上実績に大きく関係することは確実だが,チラシの効果測定だけで実績を判断するのは非常に難しい。

効果測定データの作成

ビジュアル版販売実績は,チラシの商品データとPOSデータの2つから作っていく。このクライアントの場合,入稿はすべてデジタルデータで行われ,しっかりした商品管理をしている。途中で発生する変更や商品の差し替え等についても,すべてトレースしており,下版時点ではチラシに載せる商品がデータベース上に反映されている。印刷会社で紙面レイアウトが確定した段階で,改めてクライアントから商品データを受け取る。このデータと紙面とのマッチングを取るために,チラシのレイアウト上にID番号を付け,それとデータの番号を統一させ,チラシの商品データと紙面上の位置をマッチングさせる作業を行う。

下版して印刷が終わり,チラシが折り込まれてセールがおこなわれる。セール終了の翌日にPOSデータがクライアントから届く。このデータを整形した上で,あらかじめ作成しておいた商品データとJANコードをキーにしてリンクさせる。このデータを,FounderREPOという効果測定の紙面を作成するソフトに流し込んで紙面を作る。チラシの紙面上のコマには,商品の色や大きさが数種類あっても,まとめて表現されている。しかし,POSデータは,商品ごとにJANコードが振られて分れている。このマッチングを取るのにノウハウが必要である。最終的に商品データとPOSデータが結合されて販売実績として表現される。PDFにして紙に出力し,直接クライアントに届けている。

FounderREPOの特徴

効果測定のデータをチラシレイアウト上にビジュアルに表現でき,結果の良し悪しで色を変えているので,直感的に結果がわかる。また,Founder REPOでは,表示するデータのリンクを簡単に変えられ,項目を変えるとそれに応じて内容が変わっていく。数秒から10秒程度でデータの変更ができる。

高田印刷では紙で提供しているが,このソフトそのものをクライアントに持ち込んだり,クライアントに導入してもらうと,売上順位で見たとき,数量ベースで見たとき,あるいはその他のさまざまな指標で表現することができる。属性に応じてどのような効果があったかを瞬時に把握できる。
また,紙面上で面積を計測することができる。商品を掲載した枠を長方形の枠でドラッグすると,その面積の数値が把握できるので,紙面の何割の部分をその商品が占めて,効果はどのくらいあったかという検証に使うことができる。

印刷会社として何をすべきか

今までは,とにかくチラシをたくさん撒いてもらいたいというのが印刷会社の考え方であった。印刷会社も利益を確保しなければならないのは当然だが,そのためには,まずクライアントにとって価値あるものを考えなければならない。

たとえば,毎週チラシを打っているクライアントに効果測定をきちんと行うと,月末近くは効果が大きいが,月の第2週あたりのチラシは効果が少ないということが判ったとする。その時,チラシを1本やめてみようという提案をするのも,印刷会社の使命になっていくのではないか。そうすると印刷会社の売上は下がるが,クライアントにとっては折込経費など印刷代以外の経費も浮いてくる。その分を,店内装飾やPOPなどの付随的な販売促進のツールにシフトさせていくという考え方もできる。

チラシ1つとっても,それだけに固執して物事を考えるのは,印刷会社にとってもクライアントにとっても利益のあるものではなくなってくるかもしれない。
(Jagat Info 2005年7月号より)

2005/07/07 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会