
目次
はじめに ▼ 一般的な操作について ▼ 文書実体の入力について ▼ 内容のキーボード入力について ▼ 文書実現値の構造表示について ▼ スタイル指定 ▼ テンプレート ▼ テンプレートによる入力 ▼ 表の扱い方 ▼ 説明書について ▼ おわりに ▼ 一太郎8 SGMLエクステンション ▼
SGMLの普及のためには,普段使っている文書作成ツールがSGMLに対応することが最も望まれます。もし別のSGML対応ツールを購入しなければならなければ,費用もさることながら,新たな操作に習熟するまでの時間的損失は大きいでしょう。そうした意味から,わが国で最も著名で広く使われているワープロソフトである,株式会社ジャストシステムの「一太郎8(Office Edition/R.2U)」でSGML機能が実現されたことは,高く評価されます。つまり,「一太郎8 SGMLエクステンション(Ver.2)」は,通常の文書作成に用いている「一太郎8」の拡張機能であり,「一太郎8」の使い勝手をそのままSGML文書作成においても継続できることを最大の特長としています。
小文では,その「SGMLエクステンション」の基本的な機能について説明します。最初に事実を述べ,次に“
”印の後に評価を示します。より理解を深めるために,製品価格はかなり違いますが,同種のツールである,Adobe Systems社の「FrameMaker+SGML」(以下,FM+と略します)と一部対比してみました。仕様に対する誤解が多々あるかもしれませんが,特定のシナリオの下での評価であると思って下さい。ここに,「SGMLエクステンション」の評価版を提供していただいた同社に深く感謝します。
SGML文書を開いたり保存したりする操作は,従来のファイルメニューとは異なり,専用の《ツール→SGML》メニューから行ないます[図1を参照]。なお,《表示→ツールボックス》メニューでSGML操作のアイコンバー表示を指定しておくこともできます。
この操作は,やや紛らわしく感じます。将来のバージョンでは,どのような形式の文書でも同じファイルメニューから開いたり保存したりできるようにして,ファイルの拡張子が“.SGM”の場合にSGML文書として読み取れるようにすべきでしょう。
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▲図1 《ツール→SGML》メニュー
文章を入力したり変更したりする操作は,従来の「一太郎8」と同じで,ちょうど原稿用紙の上に文字を書くように,実際に入力された内容の範囲の外側でもカーソルを任意の箇所に置いて入力することができます。
この操作ではタグの外側に入力できることになりますが,SGML文書は定型しかないので,こうした融通性がいいかどうかは今後の課題になるでしょう。
入力するSGML文書の文書型定義やスタイル指定は,《ツール→SGML→環境設定》メニューであらかじめ設定しておきます。これによって,文書型定義とスタイル指定はデータベースとして管理されます[図2を参照]。
この方法は,他のツールのようにカタログファイルで実体を管理するよりも分かりやすく操作性が優れています。
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▲図2 環境設定
文書実現値には文書型宣言が含まれていなければなりません。文書型宣言が含まれていない場合は,警告されます。
従って,文書型定義と文書実現値を一括した一つの文書実体ファイルを入力することはできませんが,これは大した問題ではないでしょう。
文書型定義でタグの省略を指定しても,文書実現値でのタグの省略は許されず,エラーになります。
これはパーザーのバグかもしれません。
タグを直接挿入する場合は,《ツール→SGML→SGMLパレット》から行ないます。入力可能なタグの種類は,文書型定義に従ってSGMLパレットで強調表示され誘導されます。タグ名に英字を使っていても,日本語のエイリアス名が使えます[図3を参照]。
タグのエイリアスは,エンドユーザーには便利な機能です。しかし,肝心な文書型定義からの入力誘導表示は,同期が取れずにうまくいかない場合があります。また,SGMLパレットの表示幅が広すぎて内容の入力の邪魔になることが多々あります。パレットの誘導機能とデザインについては再考してもらいたいものです。
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▲図3 SGMLパレット
入力した文書が文書型に適合しているかどうかは《ツール→SGML→文法チェック》メニューで行ないます。
検証は自動的ではありませんが,SGMLパレットによる入力誘導が正確になれば問題になることはないでしょう。
ある要素の内容をBackSpaceですべて削除しても,その開始タグと終了タグは残ります。ただし,タグを含めて指定すれば削除できます。
タグだけで内容を持たない空の要素を扱うかどうかは後処理の問題かもしれませんが,FM+では,ある要素の内容をすべて削除し開始タグを削除した時点でタグの対も削除され,空の要素が生じないようになっています。
“<”や“&”といったデータ実体への参照の入力はSGMLパレットで行なえます。また,新たなデータ実体宣言を定義することもでき,それらは保存時に文書実現値に組み込まれます。“<”や“&”といった文字については直接入力しても“<”や“&”へ変換されます。
SGMLパレットの実体宣言の編集ダイアログに《外部実体指定》があるにもかかわらず“ISOlat1”や“ISOtech”といった外部実体集合が扱えません。文字実体は必要に応じて逐一定義しなければなりません。これは改善すべきです。FM+では,ISOで定めた公開実体集合はカタログされていれば参照できますが,入力用のパレットはないようです。
文書実現値の構造表示は,《ツール→SGML→文書構造の表示》メニューで行ないます[図4を参照]。
文書型定義だけの構造表示はありません。文書型定義を作成したり検証することは文書作成ツールの機能の外側と考えられます。この構造表示は,FM+とほぼ同じ機能です。
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▲図4 文書実現値の構造表示
文書実現値に対するスタイル指定は,《ツール→SGML→DSF編集》メニューで行ないます。それぞれのタグに対応させて「一太郎8」のスタイルが指定できます[図5,図6を参照]。
スタイル指定は同社の独自仕様であり,DSF(Document Style Format)と呼ばれる書式割り当てファイルで表わされます。その内容は単純なテキスト形式なので,「SGMLエクステンション」の編集機能を使わなくても編集できます。スタイル指定の操作では,段落スタイルと文字スタイルを切り替えるのが少々面倒です。さらに,FM+のように,文書実現値を表示したまま同期した形で行なえるようになると,指定が効率良く進むと思われます。
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▲図5 文書実現値のスタイル指定
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▲図6 スタイル指定された文書実現値
SGML文書のテンプレートは,通常の「一太郎文書」のテンプレートである拡張子“.JTT”の文書と拡張子“.DSF”の書式割り当てファイルの二つからなります。最初にテンプレートとして項目名などを含めた入力誘導の罫線枠を作り,「定型」として保存します。次に定型文書作成ツールを使って,テンプレートの罫線枠と要素を対応付けます[図7を参照]。
SGML文書のテンプレートが罫線枠だけというのは,一つの罫線枠内で反復した「段落」を扱えるとしても,論文のような文書では無理があります。そうした文書の場合は,タグを直接挿入する方法を選択するしかないでしょう。
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▲図7 定型文書作成ツール
テンプレートによる入力では,罫線枠に入力した内容だけが実現値として出力されます[図8を参照]。この際,ウィンドウのツールボックスにおける「文字・段落スタイル切替」機能は無効になります。
テンプレートによる入力では,文書型定義に誘導された「文字・段落スタイル切替」を有効にしてスタイルを指定したほうが分かりやすいのではないでしょうか。付録のサンプル文書“htmlfake.sgm”ではHTMLに結び付けたスタイルの指定ができるようになっていますが,特別の扱いのようです。また,罫線枠外への入力については,注意事項になっていますが,禁止するようにすべきでしょう。FM+では,新規に文書を作成する際にテンプレートが利用でき,そのテンプレートによる入力では「文字・段落スタイル切替」に相当する機能が有効です。
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▲図8 テンプレートによる入力
表は罫線による表であって,SGMLとしての表は実現されていません。
罫線枠を使った表では,入力時に行や列の追加ができません。言い換えれば,あらかじめ各行や各列に一意の要素名を付けておかなければなりません。この方法では,表による表現が多用されるわが国の文書に対応できるか気掛かりです。FM+では,SGMLとしての表が可能で,表専用のスタイル指定があります。
「SGMLエクステンション」の説明書は,例も豊富で分かりやすくできています。
説明書は,制限事項・注意事項の記載は十分ですが,この評価で触れなかったことに関する項目がかなりあり,改善の余地を感じます。
| 動作環境 |
●本製品の動作には, 別売の一太郎Office8,一太郎Office8 Personal, 一太郎Office Proおよび一太郎8プレミアムのいずれかに含まれる 一太郎8 Office Editionが必要です。 一太郎7/8(単体版)では動作しません。 ●本製品は単体では動作しません。 | |
| 対応機器 | OS |
Windows 95または WindowsNT Workstation3.51/4.0
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| 動作可能環境 |
●CPU i486 DX4以上 [Pentium以上を推奨]●メモリ Windows 95 24MB以上[32MB以上を推奨]WindowsNT 32MB以上[40MB以上を推奨]*256色以上でご使用ください。 | |
| ファイル機器 |
CD-ROMドライブ+ハードディスク必須 | |
| ハードディスク 必要容量 |
10MB以上 *お使いのハードディスクのフォーマット形式や確保要領により, 必要容量は異なります。 | |
| 提供媒体 |
CD-ROM *必ずハードディスクにセットアップして使用してください。 | |
(パッケージからの引用)
(1998年12月記)