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SIG-CTP
デジタル経営戦略
Workshop

趣意書

SIG-CTP 実施の背景

「なぜ,いまを問題にするのか」

印刷の世界は,すでに成熟期から競争時代に入り,生き残りをかけた,いままでとは桁違いの納期,価格競争の時代が始まった。

今後の印刷産業の成長率は,GDP並みつまり23%程度と見られ,紙媒体については,これよりも低い12%と見られている。1985年までの印刷産業は,印刷産業全体の出荷額の伸びが,1事業所当たりの出荷額の伸びよりも高い水準で推移した。しかし,8590年は,市場全体の伸びと1事業所当たりの伸び率が丁度同じになった。

つまり,新しい事業所が出てくる余地がなくなった.さらに,9095年にかけては,1事業所当たりの出荷額が,産業全体の出荷額を上回るようになり,事業所の減少が常態化した。印刷の世界が,成熟から競争の時代に入ったといったが,以上のような事実がそれを明確に示している。

図.成熟から競争時代に入った印刷産業

これからの競争は,2つの土俵で競われることになる。ひとつは,デジタル化を基盤としたサービス化であり,もうひとつは,徹底した合理化による,価格,納期競争である。中ロット以上の印刷物市場では,後者による熾烈な競争が展開されることになる。

メガプラントへの動き

現在,上記のような新たな競争環境を視野に入れたFA化に向けての動きが,大手企業から始まっている。米国では,R.R.Donnelly & SonsQuebecor Printingといった大手,中堅印刷企業が,「メガプラント」(徹底した合理化による競争力の強化を目指して,生産機能を一貫化,統合化した大規模生産工場)に向けて動き始めている。デジタル情報化社会の中で,印刷は,生産を分散するのではなく,集中することによって媒体としての力を強化しなければならないという認識が基盤にある。

米国においては,80年代後半から停滞していたオフ輪の設備投資が活発になってきているし,合わせて,インライン・フィニッシング設備の導入もおこなわれている。また,雑誌,カタログ,新聞折込を印刷しているオフ輪業者が,CTPの導入に積極的な動きを見せており,すでに400台以上のCTPが導入されている.米国の大手印刷業は,この12年のうちに,刷版の80100%をCTP化するという目標を達成しつつあり,さらに,プリプレスとプレス以降の工程統合化をも視野に入れた設備投資を積極的に始めた。

日本においても,大日本印刷が,敷地総面積16万平米の新工場建設に着手した。また,大手企業の「5,6%のコストダウンは無理だが,2030%ならば可能である」といった視点は,上記のようなメガプラントが視野にあるだろう。大手企業の場合には,印刷のグローバリゼーションのなかで,国際競争力強化は必須のものになっていくからだ。

CTPの意義

CTPの導入については,品質の向上,フィルムレスによるプリプレスの材料費の削減などのメリットもいわれる。しかし,最も大きな効果は,製版時間と印刷準備時間の短縮による,短納期対応と印刷機械稼動率向上による生産性の向上にある。これは,工場全体のリエンジニアリングによる超低コスト,ジャストインタイムでの生産の一翼を担うものである。そのような環境を実現した工場では,工場全体の生産性が格段に高まると同時に,当然,より多くの仕事が集中することになる。

オフ輪は,中ロット市場への対応力を高ることによって,全版枚葉機の市場への浸透度を増しつつある。その理由は,やはり短納期と低価格への対応力にある。現在,日本のカラー印刷市場は,オフ輪が,枚葉印刷機の4倍という圧倒的な供給力を持って,支配しつつある。オフ輪台数は96年に対前年比53台(4/4以上は46台)増加した。これは,台数ベースで見ても,4色以上の市場に対する生産能力を3-4%アップするものである。枚葉印刷機の市場だけでみれば,20%もの供給力の増加である。最初に述べた印刷媒体の市場規模と供給能力とのギャップはさらに広がった。

CTP導入の青写真を作る時

中ロット以上の印刷市場における戦いの焦点は,従来のレベルを大きく越えた短納期と低価格ニーズへの対応力である。これからの印刷以降の生産性戦略は,利幅を上げるためのコストダウンを目指すのではなく,より熾烈な競争を生き抜くために,顧客に何を提供できるか?に基づくものでなければならない。それは,個別設備の入れ替えではなく,まさに工場全体のリエンジニアリングをしなければできないものである。CTPは,以上のような戦略の中で位置付けられるべきものである。

JAGATの「1996年度 設備導入・廃棄意向調査」の結果によれば,今後2年以内にCTPを導入するという企業が21.6%,5年以内に導入するという企業が55.1%であった。

CTPを導入するためには,2つの大きな関門を通らなければならない。ひとつは,フルデジタル化であり,もうひとつは顧客との関係作りである。いずれにしても,思い立って設備を入れれば直ぐに立ち上げられるようなものではない。いますぐ,CTPの導入を考えていない企業であっても,そのための問題整理,導入の青写真作りは,もう始めなければならない時期に来た。

(出展:プリンティング・インフォメーション1997年6月号より)


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