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地域文化資産のデジタル化と活用

地域文化資産の保存・継承

デジタルアーカイブの分野で、新たな取組みが活発化してきている。
これまでデジタルアーカイブといえば、博物館・美術館などの収蔵品のデジタル化による保存、修復、公開などに用いられることが多かった。しかし、地域の祭りや伝統芸能などの文化資産の保存・継承にも有効な手段であるとの認識が全国に広まりつつある。
各地の伝説、神話、祭り、伝統芸能、習俗などの歴史的遺産、伝統文化は、生活様式や価値観の変化、さらに過疎化や継承者の高齢化から、その保存・継承が困難なものも多い。

そこで総務省では、失われつつある地域文化を保存・継承し、情報発信拠点としての環境を整備する「地域文化デジタル化事業(デジタル・ミュージアム構想)」を推進している。
地域文化デジタル化推進協議会では、総務省、財団法人地域創造とともに、地域文化資産ポータルサイトを今年4月に開設した。全国から地域文化資産となる映像コンテンツを募集、それらをデジタル化し、サイトから動画を閲覧できるようにしている。
現在、100地域の映像を用意し、来年度も100地域の映像を追加する予定だ。また、地域別、文化資産の分類別など複数の検索機能でコンテンツの選択がしやすいようにした。

地方都市でも進むデジタルアーカイブ

一方、地域のミュージアムも、その独自性や地域性などを活かした経済活動、情報発信の拠点への進化が求められている。デジタルミュージアム構築は、事業開発や新たな経営基盤確保につながる事業と位置づけられている。また、教育、文化事業、地域コミュニティ形成、観光などへの波及効果も期待されている。
デジタルアーカイブの特性を活かし、地域内の個々のサイトを集約して見せようという動きがある。ポータルサイトに単にリンクを張るだけでなく、アーカイブの共用化や同様のユーザインタフェースを与えて、同じページ内で主要項目が一覧できるサイトもある。

地方都市レベルでも、例えば長野県上田市のデジタルアーカイブポータルサイトでは、市内のミュージアムの収蔵作品を中心に、同市に関連するその他の資料情報も閲覧できる。また、ガイドやインデックス、操作機能、レイアウトなどが共用化されているため、Webサイトの操作性も高い。
収蔵作品の一覧表示やサイトをリンクしただけでは、ミュージアムや地域の個性を示すことは容易ではない。だが、デジタルコンテンツ制作、二次利用のノウハウを持つ企業と地方自治体、ミュージアムなどが連携し、ベースとなるデータを活用したわかりやすいコンテンツが増えれば、デジタルアーカイブ構築の動きも加速するのではなかろうか。

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2006/08/17 00:00:00


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