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通販業界はどこまで伸びるのか

売上高・伸び率とも過去最高
 第23回通信販売企業実態調査報告書(社団法人日本通信販売協会)によれば,2004年度の国内通信販売市場の推計売上高は前年より9.0%増の3.04兆円であった。売上高・伸び率ともに調査開始以来の最高を記録している。 市場規模の成長率推移を見ると,1997〜1998年のマイナス成長を除けばほぼ順調に成長しており,市場規模は1999年から6年連続で拡大,今後のさらなる成長を期待させるもので,依然として市場成熟の気配は見えてきていない。
 ただし個別に企業を見れば,伸び行く会社とそうでない会社があることは言うまでもない。特に,低価格を強みにしてきた会社は苦戦を余儀なくされているところも少なくなく,5年間で売上高が半減した上に新興企業に買収された上場通販企業もある。
 伸びているのは,社長のリーダーシップのもと,経営者が理想を追って独自の製品を販売するような会社なのだという。会社の創生期から急成長期にあっては,組織力もさることながらカリスマ性が企業を引っ張って成長させるのは,どの業界でも同じであろう。例えばアマゾンは,新しいビジネスモデルを掲げて投資資金を市場から集め,創始者が誕生期から成長期に至る決して短くない年月の間,巨額の赤字に耐えつつ大規模投資をシステム構築に投じて現在の地位を築いている。

依然として大きい紙媒体の貢献度
 冒頭の報告書によれば,2004年のカタログ平均発行部数は1社当り664万部に達し,2003年より10.1%増加している。同様にリーフレットは725万部で268.0%,チラシは4,021万部と53.2%の大幅増加で,通販業界における紙媒体への期待は依然として大きい。広告媒体別の売上高構成比でも,カタログ・リーフレット・チラシが合わせて56.0%と半分強を占め,4大メディアにインターネットを加えた5大メディアの合計34.9%を大きく上回る。
 今後,メディアの多様化に伴って通販業界は販売チャネルを充実させ,さらなる成長を果たすと予想される。しかし,メディアの多様化が必然的に紙媒体の地位の相対的低下を招く可能性も想像に難くない。メディアの選択権を持つのは消費者である。消費者1人1人が,最も身近な媒体によって通販会社を探索し,最も探しやすい媒体で商品を選択し,最適な通信手段で発注するように変わりつつある。このような状況の中で,紙媒体はその位置付けを変化させつつあるようだ。

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2006/09/04 00:00:00


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