今回のFAGATで報告された中国、オーストラリア、マレーシア、スリランカの印刷事情の概要を以下に紹介する。
中国からの発表はもっぱら発展する中国印刷業界の状況に関するものである(詳細は、JAGATinfo2006年9月号「ワールド・ナウ」参照)。印刷産業育成のための監督官庁の一本化、乱立する印刷企業の規制・監督による整理、そして偽商標の印刷など、違法印刷物の取り締まりに関する法律が整備され成果を上げているとアピールした。 また、5カ年計画の最終年度までに印刷出荷額を550億ドルとし、GDPに対する比率も2.5%にするとの目標が紹介され、そのための施策として印刷産業の背骨となる企業を育成することが注目された。具体的には、トップ10社全ての年間売り上げを130,000千ドル以上とし、100社までの全ての印刷会社の売り上げを13,000千ドルにすることである。
オーストラリアの印刷業界は、印刷、グラフィックアーツ、マルチメディアおよび関連業界を含めてオーストラリアの製造業の中で第4位の位置にある。企業数は5000社、従業員数は12万人、総取引額高は220億ドルである。
印刷産業が抱える問題点、今後の展望については基本的には先進国に共通するものであった。市場の成熟化、供給過剰による価格低下が問題になっており、若い労働力の確保が業界最大の問題だと指摘していた。今後の市場動向に関しては、従来の市場が伸び悩む、あるいは減少する中で、インターネット、ペイテレビなどの伸びが予測されている。したがって、産業振興施策として海外市場の取り込みを掲げている。
マレーシアの経済は順調に伸びているので、2005年の印刷産業出荷額も7.3%増になった。しかし、これからの環境を見通した時、中規模の印刷会社のM&Aを含めた統合による生産能力確保、生産性向上が不可欠であるという。
スリランカの印刷企業数は3000社、従業員数4万人、出荷額は20億ドルで、成長率は6%である。スリランカのGDPは201億ドルである。
従って、一般印刷市場では軽オフで印刷するペラ物が主体である。それ以外では主要輸出製品である衣料品、紅茶用パッケージの印刷、そして書籍類の印刷が印刷らしい仕事で、商業宣伝印刷物需要は非常に少ない。一つの特徴は、デジタル印刷機の比重の高さである。経済力の乏しい発展途上国の共通項である。
(JAGATinfo2006年9月号)
2006/09/25 00:00:00