本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

データをシェアし、開発もシェアしよう

世の中では、同じような仕事をあちらでもこちらでもやっている場合が多い。CDとか書籍などのパッケージ媒体が発刊されると、流通業者も販売店も品目や内容のリストを制作するし、書籍なら購入した各図書館が同じように書誌情報を入力する。書籍一冊あたりの書誌データ量はたいしたことはないかもしれないが、日本中のそのような作業を累計すれば相当な量になるだろう。社会的な無駄をしているともいえる。

その作業は基本的には転記をしているだけで、何も新たな価値を産んでいない。eJapanの中で、引越しに伴って住民票データを転居先の地方自治体に転送するようなことがあるが、転居データを郵便局や宅配業者にも連絡する簡単な仕組みとか、そういった業務のサービス化が起こらず、あちらこちらでそれぞれ費用をかけて住所データのメンテナンスをしている。そういうことが多いので、日本ではIT化が進んでも新たなビジネス展開が起こらないで、ただただITを消費しているだけになりがちである。

こういう状況はあまりWeb2.0には向いていない。アメリカでAmazon.comのWebサービスとか中身検索、GooglePrint、GoogleMapというようなWeb2.0競争が起こっているのは、Web以前からさまざまなデータサービスがビジネス化していたらからではないかと思う。だからビジネスの観点からはWeb2.0の技術のことを話題にするよりは、日本でどのような情報サービスが欠けているかを考えることの方が先決ではないだろうか。

技術は移ろいゆくものであり、特にITの変化のテンポが速いといわれ、ITの進化で膨大な情報が処理できるようになる。しかし膨大な情報を入力編集して正規化するには大変な人的な手間が必要でテンポが遅い。だからテンポが速いものと遅いものの組み合わせは難しい。大量のデータを整備して実証実験を開始する頃には技術が陳腐化してしまったというようなプロジェクトが過去にいくつもあった。

Web2.0というのはこういう分野に向いていて、大規模なデータの蓄積をするところが主体となって応用開発を同時進行的に進めることがやりやすくなる。今まではデータは資産として抱え込んで人にはなかなか利用させない傾向があったが、そのために些細なサービスも含めてすべての開発を自力で行わなければならなかった。アライアンスを組んでデータをシェアするとともに、アプリケーション開発にも参画してもらう時代がくるであろう。

クロスメディア研究会 会報通巻209・2006年8月号」より

2006/09/24 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会