企業経営は、ゴーイング・コンサーン、つまり半永続的な企業存続を目的に行われる。企業は社会の中で、その存在価値が認められて初めて存続しうる。つまり、社会や市場が要求する製品やサービスを、適正なコストと価格で提供し、適正な利益を生み出し、利害関係者(ステークホルダー)に配当や利息、給与や税金という形で利潤の分配を行うことで、社会から存続価値を認められる。
■社会の要請である、サステナビリティ「持続可能性」
最近では、さらにサステナビリティ「持続可能性」、つまり「企業が利益を上げ、将来においても顧客に製品を供給し続けられる可能性を現在において持っていること」というキーワードで表現されている。企業のサステナビリティには、上述の財務的な面のほかに、環境の側面(環境保護活動)、社会的な側面(従業員に対する取り組み、社会貢献活動)が挙げられる。
サステナビリティと企業の社会的責任(CSR)とは切り離せない関係にあり、サステナビリティを念頭に企業活動を行なうことで企業の社会的責任を果たすことになり、企業の社会的責任を果たすことでサステナビリティを向上させるということができる。
■印刷業界にも本格的な環境対応時代へ
印刷企業においても、「共生」の理念のもと、サステナブル(持続可能)な社会構築への貢献をめざすために、「地球環境」と「ステークホルダー」とのサステナビリティの追求が今後さらに重要性を増していくと思われる。このような環境問題の解決を経済と両立した形で実現すべく、経済産業省をはじめ、政府においても産業界の自主的な環境対応、いわゆる環境に配慮した企業経営や環境ビジネスの育成を推進するため、環境に配慮した企業経営の促進支援と、環境ビジネスの育成支援、の2つを柱に環境対策支援を進めている。
また、日印産連などが「オフセット印刷サービス」グリーン基準を制定し、循環型社会の構築をめざして幅広く展開している。この認定制度は、グリーン基準の「工程」「事業所の取組」の各項目の達成度を客観的に判断し印刷関連工場・事業所の認定を行い、将来的には印刷製品等にも認定をおこなおうという制度で、本年4月からオフセット印刷サービスに関連する工場・事業所の認定がスタートしている。
■企業イメージから社会的使命へ
これまでは環境対応というと、一種の企業イメージ向上、優良企業ブランドの構築と言ったプラスの側面が強調されてきた。しかし今後は、自社の事業活動の継続性はもちろん、サステナブルな社会の前提であり基盤でもある地球環境がおびやかされている状況から、二酸化炭素の増加による温暖化などの抑制は、企業イメージや企業ブランドなどを超えて、社会に存続する企業体や組織体の社会的使命、義務となりつつあり、対応が不十分な企業は市場や社会からの退出に陥る危険性があると経営者は自覚すべき時期に入ったのかもしれない。
来る10月26日(木)、印刷マーケティング研究会では、「印刷業界の環境対策最新動向」と題して、日印産連環境委員会委員長の佐々木毅氏、凸版印刷株式会社 環境推進チーム課長の富田岳人氏を招き、拡大ミーティングを開催する。
2006/10/04 00:00:00