■実は得意先のことをほとんど理解できていないのでは?
印刷会社の「営業」活動は、組織体系によって異なりますが、新規開拓より既存のお客様の所へ足を運ぶことのほうが確実に多いはずです。更に、他業種の営業に比べて、社内外の打合せや問合せ、事務処理などひとつの仕事にかかる手間は盛りだくさんで、いわゆる「営業」活動以外の実務が非常に多いと感じていらっしゃるでしょう。もちろん入社1,2年目は覚えることで精一杯のため、それでよいでしょう。では、4,5年目の営業マンはどうですか。
売上ノルマは増えているけれど、やり方(営業方法)は新入社員のときとほとんど変わってないのではないでしょうか。
つまり、単に印刷物を作ることのみに目線がいき、得意先でどう使われるか、どういう機能を得意先が期待しているかについて鈍感になりつつあるのです。新人のころに持っていた消費者としての視点が薄れ、経験のある営業マンに特に見られる傾向だといえます。
そのような忙しい日常の中でもっと売り上げを伸ばすためには、新規開拓をやるか、既存得意先を深耕するかどちらがよいですか?ここでは、既存得意先の信頼をつかみ受注拡大を狙うために必要なこととして、「得意先視点・消費者視点」に焦点を当てていきます。
改めて、なぜ5年目なんだ?とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
おおよそ下記の3つが5年目から連想できるのではないでしょうか。
1)印刷に関する業務は問題なく出来ている。
2)納期と数字に追われるサイクルが確立している。
3)3年以上は勤めているので、今後も自社にいてくれるだろう。
裏を返すと、
1)印刷業務はこなせるが印刷物の効果や機能に気づきにくくなっている。
2)マンネリ化しつつある。
3)できれば転職してほしくないが、それは今や未知数。
ではないかと感じています。
■人材を放って置くリスク
営業として4、5年経っていれば、確実に貴社の中では戦力のはずです。
そして、これからの戦力としても彼らに期待していませんか。
しかし、経験や知識はあるのにどうも売上は頭打ち、「企画提案せよ」と言ってはいるけれど、日々の仕事に追われていて手についていないようです。
それは1つ目にマンネリ、2つ目に適切な実技指導がないことが原因ではないでしょうか。新人のときは新しいことを覚えるのに必死ですが、4、5年目になればそれなりにこなせるようにはなります。では、そのまま数年後を想像してみてください。作業としては、ほぼ同じことの繰り返しで結果として何にも気づかず考えず来た仕事を流すだけにならないでしょうか。
もしくは忙しすぎる毎日と自己成長に疑問を抱き、彼らが新天地へ目が向くのはごく自然なことです。
新入社員教育だけで教育した気になって、後は現場で学ぶことを期待しても、そううまくいかないのは実感されているはずです。
単に「消費者視点」が大事ということだけではなく、今後は更に転職への垣根が低くなり、少子化で確実に人材は流動すると考えられます。優秀な人材の確保は難しく、人材を育成することを考えない限り、部下を指導できない管理者を多数作ってしまうことになるのです。つまり、人材を放っておくことそのものが自社の人材レベルの低下、利益低下のリスクになるのではないでしょうか。
職人さんのように「見て学べ」理論は見せるだけで納得させられるだけの上司がいてこそ成り立つものです。実際の職人と言われる世界では師匠に弟子入りすることでずっと同じ行動をとり、住込みなどで他人との共同生活し、家族ぐるみのお付き合いがあったりなど職場以外での密接なコミュニケーションにより、信頼関係が土台にあるから「見て学べ」理論が成り立っているのです。単に「見て学べ」といっているだけではうまくいくはずがありません。
■受注物(DM・チラシ)から学ぼう
忘れかけていた「視点」に気づき、養うためにはどうすればよいか。
ほとんどの印刷営業マンはチラシ・DMを受注したことがあると思います。5年も経験した人にとっては何十回も手がけたことがあるでしょう。このDM・チラシこそ考えることから遠ざかり気味の彼らが「視点」を訓練するのにピッタリの教材だと思われます。単なる紙ではなくそれらの機能を活かすための視点を持つべきであり、それは提案で成功する身近な近道なのです。
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