デジタルプリンティングの可能性
2007年2月9日PAGE2007コンファレンスで開催されたグラフィックストラックの「デジタル印刷ビジネスの伸展」では、株式会社マミアナの代表取締役社長 小川真理子氏にデジタルプリンティングの可能性とデジタルクロスメディアマーケティングについてお話を伺った。
■人口減少、少子化
人口減少、少子化に伴い企業の求める戦略や行うべき戦略が売上げ拡大からシェア獲得へ急激に変化している。
2007年は、日本の総人口(日本に住む日本人と外国人)が減少に転じて3年目にあたる。日本の総人口のピークは2004年、総務省によると翌2005年10月に実施した国勢調査(確定値)で、初めて前年度から22000人割り込み、1億2776万人となった。同省の推計では、2006年10月の人口は1億2775万人で、さらに18000人減少した。
そのような環境のなか、企業の情報システムの導入目的は、コスト削減、業務効率化から、売上拡大、高付加価値化へと変化している。とくに販売および販売促進やアフターサービスに力を入れている。また、売上拡大、高付加価値効果として、新規顧客の獲得、顧客満足の向上、製品・サービス品質向上、製品・サービスの高付加価値化を期待している。
■消費者行動の変化(AIDMAからAISASへ)
情報過多の社会において、情報を整理・抽出する「検索」という能動的な行動と、1人が1つのメディアを保持することにより、体験した経験をブログやSNSを利用して情報を共有化するという行動が、消費者にとって習慣となっている。
AIDMAにあわせて、顧客の状態に応じたコミュニケーション戦略をとることができる。
1.認知度向上
2.製品に対する評価育成
3.ニーズ喚起
4.購入動機の提供
5.機会提供
以上の順にコミュニケーション目標を設定し、それぞれにおいて施策をおこなう。
AISAS理論は、従来主流であったAIDMA理論に代わって主流となりつつある。AISAS理論には、購買に際して吟味したり考慮したりするための記憶の機会が少なく、代わって検索と情報共有が購入決定の要因として重要視されている、というeコマースに特徴的なプロセスが反映されている。とくに、女性においては、この検索と情報共有が非常に重要なターゲット心理となっており、実際にこれらを意識したBLOGやSNSが多数存在している。
購入検討者・購入経験者が互いに情報を提供・収集する傾向が強く、この段階におけるターゲットアプローチが販売促進の鍵を握る。
ちなみに総務省の予測では、ブログの利用者は大きく増加し、ある調査では2004年4月から2005年10月までの1年半あまりで、認知率は73%→94%、閲覧経験者は26%→75%と大幅に増加した。
※AIDMA(アイドマ):Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)
※AISAS(アイサス):Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(情報共有)
■デジタルクロスメディアマーケティング
デジタルクロスメディアマーケティングの概念は、顧客行動をさまざまなメディアの特性を理解し接点を持ち、デジタルデータを高付加価値な情報として効果的なタイミングで提供し、興味、顧客満足度を高める顧客最適化マーケティングソリューションである。これらは、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などの従来メディアと、Webサイト、モバイル、eメール、さらにはデジタル印刷によるターゲット別アプローチによる顧客のロイヤリティ向上が重要になる。
顧客にとって魅力的な情報を伝える顧客最適化ソリューションを考える。現在、インターネットと検索エンジンの普及で、口コミや商品比較情報を容易に見つけることができるようになり、ブランド名に頼らず有益な情報をもとに選択をおこなうことができる。したがって、顧客にとっての興味、関心を魅力的に感じる最適な形で情報提供し、おもてなしすることが重要である。
そこで、オンデマンド印刷やバリアブル印刷などデジタル印刷機を利用した、データベースやコンテンツ情報の可変印刷への活用が効果的である。
オンデマンド印刷は、店頭POP・ショーカード、製品・パーツカタログ、医薬添付文書、ファンドレポートなどジャストインタイム印刷がある。また、バリアブル印刷は、One to One DMやパーソナルカタログ、プリント教材・成績表、年賀・名刺、Photoアルバムなどカスタマイズド印刷(Print for One)がある。
バリアブル印刷を利用したワンストップのパブリッシング自動化ソリューションでは、顧客情報や素材情報などのデータベースを基盤に、ドキュメント自動生成、カテゴリ分類、レイアウトなどプレ印刷アプリケーションを経て、DBMS(DataBase Management System)、XMLなどインプットデータを生成する。そのデータをもとに、自動組版エンジンをおこなうが、インプットデータとパターン定義ファイルにより、自動組版処理を実行する。
自動組版には、FormMagicやWAS、XML Automagicなどがあるが、その他処理要件に合わせて選択する必要がある。また、出力はEPS/PS(可変印刷:PPML形式/FormedPS形式/VIPP形式)がある。
各メディアの特性を理解したデジタルクロスメディアマーケティングの実施が、今後のデジタル印刷の可能性といえるのではないだろうか。
(PAGE2007コンファレンスD5セッション)
2007/03/11 00:00:00