毎日届く新聞には多くの広告チラシが折り込まれており、スーパーや家電量販店、パチンコや学習塾、求人案内と多種多様な広告が見られる。折込広告のリーディングカンパニーである、株式会社読売インフォメーションサービス2007年3月レポートの、2006年度「首都圏年間折込広告調査Report」によれば、折込広告の2006年における1世帯1ヶ月当りの折込枚数は、首都圏平均で648.9枚、対前年比0.6%の微増であった。昨年度は0.7%の微増であり、増加傾向が鈍化しつつあるようだ。全国では、東北、東海も、堅調な伸び率(0.3%程度)であるが、北陸、九州圏の大きな減少(−2.4%程度)が2006年の特徴である。
■ダイナミックな動きを見せ始めた業種別動向
一見、全体として落ち着いているかの印象を受ける折込市場であるが、実は、その個別の動向は、比較的ダイナミックである。業種別の動向を見てみると、小売業は全体として堅調な伸びを示し、医療・化粧品は減少したものの、家電、衣料品、の伸びが全体を牽引する形になった。
またサービス業全体も堅調であるが、一時隆盛を極めた娯楽(パチンコなど)は3%程度前年割れになるものの、求人広告、外食、美容が元気であり全体的に2.2%の伸びになっている。
一方で不動産業はさらに落ち込みが大きくなり、都内で14%、都下で12%程度の前年割れとなっている。不動産は長期スパンで見ても、1996年と比較した伸長率は、
この影響とも考えられるが、地区別では、埼玉、千葉、神奈川は堅調に増加傾向を示すものの、都下では水準維持、都内では前年割れ1.6%となり、東京都とその周辺で格差の開きを見せ始めている。
■折込広告のマーケティング戦略上の位置づけ
地元商圏をターゲットにしているスーパーなどの最寄品業界は、折込チラシは、生活者の購買の最終判断に位置づけられる広告媒体であり、売上に直結する。また生活者にとっても日常の生活を送る上で必要な情報源でもある。一般的なスーパーマーケットでは売上高に対して2%程度の広告宣伝費をかけており、これはこの業種の営業利益率と同水準である。従って、マーケティング戦略上重要な販促媒体といえる。
一方、不動産、車、高級ブランド専門店などの買回品、専門業界にとって、折込チラシは、購買の最終判断というより、製品やサービスの認知、連想に位置づけられる広告媒体であり、購買行動の方向付けや計画を立てるための情報源であろう。もちろん人口減少社会に入っての市場の規模や需要の大きさの縮小も見られるが、果たして都心部の高級マンションや高級乗用車の販売促進において折込の減少は説明できるだろうか。その強いブランドの訴求力は、折込広告のみに留まらず、当然テレビCMやネットの組み合わせなど、どの様なメディアミックス戦略が効果的かを考える必要があり、そのメディア特性と相まって、訴求上消費者に与える感性、知覚品質をコントロールする上で、利用メディアへのウエイトの掛け方、軸足の置き方が異なってくるだろう。ここではより認知度を上げるための消費者への知覚品質、感性、情緒性が、大きく影響する訴求ポイントになるからである。
この様に同じ折込チラシとは言え、その役割は対象商品やサービス、またはブランド訴求点によって、マーケティング戦略上異なるものであり、その広告効果も異なるものになる。チラシの広告効果は、これまで測定することが極めて困難であったのも、この様な複雑性と情緒性の高さから来る理由による。広告効果が定量的に精度高く求められれば、そのマーケティング戦略における優位性や意義は、比べ物にならないほど大きな効果が期待できよう。
今回、新聞の販売拠点網を生かし、エリアに対してピンポイントで、地域密着した市場の情報を把握する読売インフォメーションサービスのレポートを基に、PM研究会では、折込広告市場の最新動向に関して、来る4月23日(月)に拡大ミーティングを開催します。詳しくはこちらの案内をご覧下さい。
2007/03/29 00:00:00