サンメッセ株式会社は岐阜県大垣市に本社を構え、現在では3大都市圏を中心に営業拠点を設置、商業印刷を中心に幅広くカバーし、719名の社員を擁する。同社の人材育成、教育について、総務部部長衣斐輝臣氏にお話を伺った。
教育計画は同社総務部人事課が中心となって作成している。その計画は「○○年度 教育研修計画書」として冊子化され、研修スケジュールなどが一覧表で掲載されており、全社員に配布される。この研修計画では新入社員教育(新入社員のOJTは別に開催)を含めて各部門、階層別に年間約60本の研修が計画されている。
「研修計画は新年度が始まる前に立案します。年ごとに内容を大きく変更することはないのですが、少しずつ変更しながら、効果が上がるように計画します。例えば今年、この研修はあまりうまくいかなかったから少し目先を変えようとか、今年は内部講師だったが、次年度は外部講師にしようというように内容を見直しています」(衣斐部長)
営業本部の研修は主だったものは階層別に行うが、教育のメインは1泊2日の宿泊研修で、営業の基本的事項などについての研修となる。この宿泊研修は同社が所有する専用の研修施設で行われ、50名ほどの宿泊が可能である。
営業本部だけの研修のほかに、年度によっては製造本部と一緒に研修を行うことがある。例えば新しい機器を導入した場合に製造本部が使用法を勉強するだけでなくて、営業とともに、いかにその機械を有効に活用していくのかについて一緒に研修することで、営業と製造が一体になってサンメッセとして力を発揮できるようにする。
「われわれはオールサンメッセという言葉をよく使います。この言葉は、営業本部は営業だけ、製造本部は製造だけではなくて、全社一体になって力を発揮しようということです。当社の設備や能力を最大限に生かすには、どのような仕事を取ってくればよいのかということが課題になります。営業にとってはまず自社を知ること、新しい技術を知ることが重要になりますので、そのような勉強を行っています。それには製造本部と一緒に行うことで効果が高まるのです」(衣斐部長)
通信講座は、数社の通信教育コースが掲載された専用の案内冊子を用意しており、さまざまな講座を紹介して、その中から任意のものを選択し受講する。講座には印刷に関するものから、ビジネス全般的なものまであり、大きく奨励講座と推薦講座に分かれる。奨励講座については、合格者、あるいは講座修了者に対して受講料の50%を支給している。これら通信講座については、おおむね3年間で2つの講座を受講することを目標として行っているが、強制ではない(管理者層は3年間に2講座が必修で、3講座以上が目標)。しかし、例年400人前後の社員が受講しており、18年度も415名の社員が通信講座を受講している。修了率も約80%の高率を達成している。
資格取得については、JAGAT認定DTPエキスパート、クロスメディアエキスパート、技能検定を奨励している。特にDTPエキスパートの受験に力を入れており、これまで延べで154人の合格者を出している(2006年1月現在の有資格者数142人)。 DTPエキスパート認証については、営業を中心に製版、工務関係、そして大卒新入社員に取得を奨励している。現在は、資格取得が進んだので、営業本部、製造本部の新入社員に対して受験対策講義を行っている。従って、大卒新入社員は資格を取得してから営業に配属される形になる。講師は当初はすべて外部へ依頼したが、合格者が実績を重ねることで内部講師を中心にして講義を行っている。
新入社員の採用では、大卒については、基本的に営業職として採用し、全工程を経験させるようにしている。これによって、印刷全般を捉えられるようにすること、またそれぞれの部署でのコミュニケーションを学ぶ。工場内研修は、それが営業本部に配属された時に生きてくると考えている。従って、原則として営業担当者は最低1年間にわたり工場を中心に勤務する。また、この間に適性を見ており、能力を生かせる形で配属を行うので、営業以外に配属となる場合もある。
「新入社員については、ビジネスの基本項目から、印刷全体を知って、クライアントに対して印刷物だけではない幅広い企画の提案ができるような営業と、それにこたえられる製造担当の育成が主眼となります」(衣斐部長)
DTP化に加え同社の場合は社員数が大きく増加したことにより、仕事の分業化が進んだ。その結果、以前に比べて例えば製版は製版のことだけ、印刷は印刷のことだけというように自分の専門のことしか知らないということが起きている。
分業化を否定するわけではないが、印刷の仕事をする上では、専門的な知識までは求めないが、前工程、後工程のことをある程度は知ってトータルに仕事を把握できないと、サンメッセとしての十分な実力を発揮しにくいと考えている。
「営業でも専門知識をもつに越したことはないのですが、それだけでは片寄った営業になってしまいます。クライアントの多様なニーズにこたえるにはトータルで仕事を見ることができて、何が求められているのかを把握できて、そのために何をすべきかを提案できる必要があります。新入社員の教育でも述べたように、今はメディアも多様化していますから、印刷物だけを提案するのではなくて、いろいろなメディアを含めて提案できる営業と、それにこたえられる製造本部を作っていきたいと考えています」(衣斐部長)
つまり、専門分野だけを知っていればよいということではなくて、幅広い視点で物事を見ることができて、専門知識を基礎に仕事をトータルで把握できる能力を有することが、同社が求める人材像と言えるだろう。
プリンターズサークル 3月号より一部抜粋
2007/03/31 00:00:00