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PostScript面付けの今日

PostScript対応のDTP面付けソフトウエアは、10年前にカナダのUltimate Technographics,Inc.社が初めて開発した。発売当時は,CEPS全盛の時代でデジタル面付けもそれほど行われていなかったが,PowerMacの登場やイメージセッタの普及で,必然的にPostScript面付けが必要とされるようになった。さらに,CTPデバイスの普及が進む中で面付けの需要はさらに高まっており,面付けソフトに望まれる機能も増えてきている。

Impostripは,枚葉印刷からオフ輪印刷までの幅広い面付け用途に対応する自動面付けソフトウエアであり,異なるサイズのページを混在させるギャンギングを可能としている。現在バージョン6.0Jとなり,次の4つのアプリケーションで構成されている。

1.Impostrip:面付け設定,出力指示用
2.SignatureServer:面付け演算サーバ用
3.FullPlate:ギャンギング設定用
4.FullPlateRIP:プレビュー,CIP3出力

主な機能
○クライアント/サーバアーキテクチャー
Impostripは,クライアント/サーバアーキテクチャーを備えた唯一の面付けソフトである。面付け設定のフロントエンドImpostrip(面付け設定,出力指示用)は無制限にMacにインストールでき,どこからでも面付けジョブの作成から出力指示することが可能である。SignatureServerは出力指示を受け取り出力する。
○オリガミ機能による面付けを自動設定
ビジュアル仮想折丁を使用して,実際の折りをモニタ上でシミュレーションする。特に効果を発揮するのは,複数の輪転機面付けを同時に面付けする時などである。オフ輪特有の重ね折りや大型印刷機用の面付けなどモニタの上でシミュレーションしながら設定していくことができる。
○PDF1.3の面付け対応
AcrobatDistillerで作成されるPDF1.3を自動認識して面付けが行えるようになった。PDFは,今後業界の標準フォーマットとなり得る要素をもっており,それによってPDFを利用した最新のワークフローにも対応できる。
元々PDF1.2の面付けは可能だったが,実運用となるとフォントの関係が問題になっていた。しかしPDFが1.3になり,フォントがエンベッド可能となったので,RIPのフォントに左右されることなくPDFの出力が可能となった。
ただ出力フォーマットは,PostScriptであり従来のレベル2RIPからも出力が可能である。
○BrisqueICF作成
Impostripは,クレオサイテックスのBrisque Imposeシステムにも対応している。
具体的にはBrisque Page fileの面付け情報・マーク情報を含むICFファイルを作成し,Brisqueへ渡す作業をする。
○見開きドキュメントの面付け対応
ページサイズで作成されたデータを面付けするのは当然だが,見開きサイズで作成したデータを取り込み時に分割して面付けが可能となった。
これによってジョブサイズを変更する必要がないので,余分な時間が短縮される。
○約150種類のアプリケーション対応
主要なDTPアプリケーションが作り出すPostScriptに対応している。また異なるアプリケーションで作成したデータの混在も可能である。その他にもEPSやTIFF6.0に対応している。
○CIP3対応PPF出力
Ultimate社は,CIP3のメンバーであり早くからCIP3に取り組んでいた。従来まではオプションでの対応であったが,Ver6より標準でPPF出力が可能となった。
○その他の代表的機能
・エラーページ置き換え出力
・ページごとの拡大縮小,位置調整,ボトリングなど
・プルーフ用自動縮小出力
・クリープ機能
・パンチ設定対応
・自動分割出力機能
・FastPAPによる高速出力

FullPlate標準装備:ギャンギング対応
従来から異なるサイズの面付け要望があり,Ver6から対応することができるようになった。それによって殖版から大貼りまで操作は非常にシンプルでモニタ上のプレビューを見ながら仮想シート上にビジュアルに配置していくことで,誰にでもわかりやすい。
また,FullPlateではAdobe PS3RIPを使用してプレビューを高速に作成していくが,その際にはすべてホットフォルダで自動に処理していくことができる。ホットフォルダが利用できるので,データをそのフォルダの中に入れるだけですべての作業が終了する。さらにその他にも受け取ったデータにカラーバーやカットマークも配置でき,大型インクジェットプリンタでのプルーフ利用時に大いに活躍する。

面付けジョブのPDF出力などを開発中
商品構成としては,Q-P版,12Filter版,SuperFilter版と,全部で3つのタイプを用意している。対応するアプリケーションによって商品が異なり,PDF1.3の対応・ギャンギング・CIP3は12FilterとSuperFilterでのみの限られた対応である。
現在もさらなる開発を進めており,将来的には面付けジョブのPDF出力,Prinergyシステムへの対応(PJTFファイルの作成)が可能となる予定である。そのほか今後はマークの取り扱いなどの変更も予定されている。さらに,FullPlateでは大貼りの機能強化と2サイト運用ができるための開発を進めている。

2001年1月21日T&G研究会拡大ミーティング「失敗しないデジタル面付け」より

2001/04/30 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会